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施工管理技術者(建築)_鈴木 大樹さん
インタビュー公開日:2025.06.06

工事のディレクター、施工管理。
一人前の技術者を目指し勉強中。
「現在は、1階床スラブ(*1)のコンクリートが打ち上がり、壁の配筋(*2)を行っている段階です。これから、型枠を組んで生コン(*3)の打設に入っていきます」
専門用語を交え、すらすらと説明してくれるのは鈴木大樹さんです。札幌の公共工事を中心に、市内および近郊で土木・建築工事を手がけるアイケン工業に入社して現在4年目。施工管理を担当しています。施工管理とは、工事をスムーズに進める役割を担うディラクターのような存在です。
「工事の計画を立ててスケジュールを組み、現場で行われる作業を見守りながら調整を行って、最終的に高品質な建築物などをつくりあげていくことが施工管理の仕事です。大きな責任を伴う役割ですが、それだけに大きなやりがいもある・・と聞いています(笑)。というのも、私はまだその業務を覚えている段階。この仕事は幅広い知識と技術、さらに経験も必要な仕事なんです」
一人前の施工管理技術者を目指したいという思いのなかに、〝今、この仕事が楽しい〟という気持ちが強くあることが、感じられます。
*1床スラブ:コンクリート製の床
*2 配筋:コンクリートの強度を高める鉄筋を配置すること
*3 生コン:工場で製造して運んでくる、固める前のコンクリート
専門知識ゼロから建築の世界へ。
マンションの現場に興味津々!
健康的な日焼けが、現場での活躍をうかがわせる鈴木さんですが、大学の専攻はまったくの専門外。入社時、建築に関する知識は文字通りゼロだったそうです。
「中学時代、実家が建設業などを営んでいる同級生が多く、自分も鉄筋加工のアルバイトをするなど、建築という分野が身近にあり、その世界にずっと興味がありました。そこで就活でも迷わず、建設業に目を向けたんです」
星の数ほどもある建設会社のなかから同社に目が向いた大きな理由は、札幌を拠点としていること。地元から離れたくないという思いがあったのだそうです。そのうえで、「面接をしていただいた社員の方の印象がとてもよかった」ことが入社の決め手だったと話します。
「初めて目にした現場は4階建てのマンションで。そこで、衝撃というか強い印象を受けたました。マンションは、こんな工事を経てできるんだ、天井や壁のなかはこんなふうになっているんだ…。実家もマンションだったこともあり、秘密を知ったようでおもしろさを感じました」
マンションがつくられていく過程を、最初から見ていくうちに、どんどん興味が強くなっていったのだそうです。身近に感じていた建築、その現場で改めて魅力を感じ、覚えていきたいという気持ちが湧いてきました。
更地から建物ができる過程にワクワク。
聞けば教えてくれる職人さんに感謝。
現場で使う図面を描き、工事の予定を立て、鉄筋・型枠・大工・電気・設備など各作業を行う職人さんを手配し、必要な資材・機材を用意します。工事が動き出すと、品質を含めて図面通りに仕上がっているかを確認しながら、スケジュールや予算を管理。それらすべてが施工管理の仕事です。「現場の作業」のイメージが強い業界ですが、施工管理は事務所内で、様々な段取り・調整にかける時間も多い仕事です。
「入社後はまず、先輩について実際の工事を見るところからスタートしました。同時に、建設現場の安全を守るために作成が義務付けられている『安全書類』の作成を教えていただきました」
(この安全書類には、現場に入る職人の名簿、安全教育の実施報告書など、20種類以上もあるのだそう)
各種工事が順序よく行われ、更地だった場所に一つの建物が完成していく。その様子にわくわくし、魅力を感じたという鈴木さん。それだけに勉強熱心で、現場の職人さんからも多くのことを学んだそうです。
「最初のころ、わからないことがあって聞きに行くと、集中力が求められる作業の最中だったことから、怒られてしまい……。作業に関する知識が浅く、空気が読めなかったというか、配慮不足だったんですね」
けれどもその後、休憩時に〝さっき聞いてきた話、あれはこういうことなんだよ〟と教えてくれたのだそう。職人さんはちょっと怖そう、というイメージも抱いていたそうですが、聞けば答えてくれるやさしい方ばかり、と顔をほころばせます。
打ち合わせ、品質管理など広がる業務。
ミスも糧にしながら、新たに学ぶ日々。
現在、鈴木さんが担当しているのは、札幌市内で建設されている5階建ての賃貸マンションの現場。職人さんとのちょっとした打ち合わせ、資材の手配、品質管理も担当するようになるなど、任される業務が増えてきました。
「品質管理というのは、施工された部分の検査を行い、報告書としてまとめるといった業務です。図面通りに、きちんと施工されているかどうかを確認する、重要な役割です」
ちょっと自信ものぞかせる鈴木さんですが、これまでにはミスもいろいろあったのだと告白します。たとえば、打ち合わせ通りに資材の発注ができておらず、作業が遅延してしまうこともあったそうです。
「それでも、まだ経験の浅い私に対して、職人さんはやはり、やさしく励ましてくれて——。せめてものお礼に、自分ができる範囲で作業のお手伝いをさせていただきました。こうしたミスからも、学んでいる日々です」
書類作成などの事務仕事より、職人さんと話している時間が楽しいと笑う鈴木さん。
「常に現場にいる職人さんは、工事を妨げたり、危険が生じそうなポイントをよくわかっていて、教えてくれます。普段から積極的に会話をすることを通して、話しやすい、話してくれやすい関係づくりも心がけています」
想像よりも事務作業の割合が多い仕事。
施工図の作成をマスターすることが目標。
「施工管理技術者として独り立ちするには、多様で幅広い役割と業務を覚えていく必要があります。私の次の目標は、施工図を書けるようになること。そのためには、設計図を読む訓練が必要で、現在、勉強中です」
設計図をもとに、どんなふうに工事を行うかを、具体的に記したのが施工図。技術的な知識が必要になり、難しいのだそうです。「施工管理は工事を動かす仕事ですが、実際に1日中現場にいるのは1カ月のうち5、6日程度。
それ以外は、書類を作成したり、工程を調整したり、施工図を確認するといった、現場事務所での業務が中心なんです」
そのため、想像していたより体力的な負担は少なく感じているそうです。
ただし、「細かい事務作業は苦手。現場にいる方が楽しい」と笑います。街で建設現場に出くわしたら、何をやっているんだろうと、思わず覗き込んでしまうこともあるのだとか。建築にすっかり〝はまった〟ようすですが、一方で週休2日制ももちろんうれしいと話します。小学校から大学まで取り組んだサッカーは、今も続けているといい、オフの時間もしっかり楽しんでいます。
「自分の家がほしいですね」と呟く鈴木さん。住宅建築にも興味が広がっています。
シゴトのフカボリ
施工管理技術者(建築)の一日
8:00
現場に到着(直行直帰)、職人さんと打ち合わせ、現場を確認
9:30
事務所に戻り、工事段階に応じて必要になる書類などを作成
12:00
昼食・休憩
13:00
職人さんからの問い合わせなどに答えるため現場に顔を出しつつ、事務所で書類作成など
16:45
現場の点検、進捗の確認
17:00
現場作業終了、戸締りをして帰宅

シゴトのフカボリ
拝見!オシゴトの道具

安全靴
現場で必須の安全靴ですが、好きなものを選ぶと会社が購入してくれます。私の現在のお気に入りは、アシックスの安全靴。おしゃれ、というより、好きなものを身につけているとちょっとテンションも上がりますね。
シゴトのフカボリ
みなさんへ伝えたいこと

現場の職人さんは、無口でちょっと怖い人が多い。そんなイメージはありませんか。私も実は、そう思っていましたが、一見、強面(コワモテ)のような方ほど、優しかったりします。職人さんと話すのが大好きです!

アイケン工業株式会社

1945年、採鉱・土木建築業で創立。以来、札幌に拠点を構え、土木・建築・舗装業の分野で公共工事をメインとしてインフラ整備などに携わっています。

住所
北海道札幌市南区常盤6条2丁目122番地13
TEL
011-591-8321
URL
http://www.aikenkogyo.co.jp/index.html

お仕事データ

工事現場の司令塔
施工管理
施工管理とは
工事を円滑に進めるためには
欠かせない仕事。

建設工事や土木工事の現場で発注者と実際に工事を行う職人さんとの間に入り、人や資材の手配、スケジュール調整、予算管理など、工事を安全かつ円滑に進め、目的を実現するためのさまざまな業務を行います。大きな施設を建てるほど、工程も複雑になるため施工管理の重要性は大きくなります。

施工管理に向いている人って?
思い通りにならなくても慌てない。

現場での橋渡し役を担うことが多いため、コミュニケーション能力は欠かせません。スケジュールやお金の管理も行うので、計画的に物事を進められる人に向いている仕事です。工事には不測のトラブルもつきものなので、状況に合わせて対応できる柔軟性がある人も向いているでしょう。

施工管理になるためには

小さなリフォーム工事から大規模な土木工事まで施工管理の領域は広く、一般的には工事会社などに入社して、現場での仕事を覚えることになります。施工管理には「施工管理技士」という国家資格があり、工事の内容によって建築施工管理技士、電気工事施工管理技士、管工事施工管理技士など6種類に分かれています。大規模な現場の管理をするためにはこうした資格も必要となります。

ワンポイントアドバイス
分野が異なる工事でも活躍可能。

施工管理の仕事は一般的には馴染みが少ないのですが、工事現場には欠かせない仕事です。建設業界で働く上で「施工管理技士」の資格が役立つ場面は多く、取得しておくと出世や転職にも有利と言われています。