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施工管理技術者(土木)_瀬戸 健吾さん
インタビュー公開日:2025.10.23

初めて担当した「現場代理人」という役割。
社長の〝代理〟として現場のすべてを担当。
プロ野球チームのホームグラウンドとなっている開閉式屋内球場がある北広島市から、札幌市まで続くサイクリングロードがあります。北広島市のマスコット、エルフィン(小妖精=エルフ)の名を冠した「エルフィンロード」です。恵庭市までの延伸に向けて工事が行われており、その一部が2025年9月に完工しました。施工を担当したのは『恵庭建設』(恵庭市)。施工管理技術者として入社8年目の瀬戸健吾さんは、この現場で初めて現場代理人を務めました。
「現場代理人というのは、社長の代理として工事のすべてを取り仕切る役割のことです。発注者(行政)への対応、作業スタッフの手配、資材発注、工事の指導、品質管理・安全管理などを、まわりのサポートを受けながら行いました」
特に、上司や先輩だけが担っていた発注者とのやりとりは、段取りなどわからないことも多く、試行錯誤の連続だったと振り返ります。
「てんやわんや、といった状況でした(笑)。要所、要所で上司にフォローしていただきながら、なんとか乗り切ることができた、という感じでしたね」
ただ、この仕事を通して現場の流れをより、理解することができ、仕事のおもしろみも実感できるようになった。そう話す笑顔が、なんとも爽やかです。
波乱含みで始まった自転車専用道路の工事。
臨機応変な対応により仕事の醍醐味を知る。
今回、瀬戸さんが担当した自転車専用道路の工事は、新たに道路と橋を建設するという仕事でした。初めて現場代理人を任されるには規模の大きな案件でしたが、当初から波乱含みだったと瀬戸さん。
「自転車道路というと、簡易なイメージがあるかもしれませんが、どうして、どうして。早くからサイクリングロードの整備に取り組んできた街だけに、工法的にもハイレベル。だからこそ、最初に難しさに直面したんです」
しっかりとした地盤を築くために打ち込む杭が、高い強度を発揮する特殊な工法だったため、扱える工事会社が限られ、かつ、北海道新幹線や半導体工場の建設などもあり、なかなかスケジュールが取れなかったのだそうです。
「9月から始まる工事でしたが、杭工事は早くても年明けになるということで、発注者と協議して工期延長を認めていただきました。そしてまずは、杭打ちを行うため仮設道路の建設などを進めました。そんなスタートで、最初からちょっと冷や汗ものでしたね」
だからこその達成感のようなものが、瀬戸さんからは感じられますが、こうして臨機応変に工期や段取りを調整し、工事内容まで考えて業務を進めていくのが施工管理の仕事であり、現場代理人としての醍醐味でもあるのだと話します。
専門職と呼ばれる仕事を目指し土木の道へ。
札幌近郊で無理なく働ける環境が入社動機。
現場代理人を務め、施工管理技術者として〝一皮剥けた〟感もある瀬戸さん。将来は専門職と呼ばれる仕事がしたいという志向を持つ中、土木工事を手がけている親戚の仕事を目にし、また、勧められたこともあり、工業高校で土木を学びました。
「高校には、多くの求人票が来ており、道外の企業も少なくありませんでした。私は、一人暮らしはしたかったのですが、地元・札幌にも近い場所で働きたいと考え、近郊の企業を中心に話を聞くなかで恵庭建設に目が向いたことが、入社のきっかけです」
家賃補助など一人暮らしにプラスの制度や車両の貸与、資格取得助成制度などの福利厚生、また、健康経営優良法人認定(経済産業省)を受けるなど、健康で働ける職場づくりに取り組んでいることも決め手になったと話します。
「土木工事は長期間に及ぶものも多く、施工期間中は現場近くで生活することが一般的な業界ですが、基本的に道央圏の仕事で、大半が日帰りで行き来できる現場ということも、私は魅力的だと感じました」
土木・建築工事の特徴として、始業時間が早朝ということがあります。最初は眠気を感じていたという瀬戸さん。それでも1年ほど経つうちに身体はすっかり〝現場体質〟となり、今は自分の生活リズムとなっているそうです。
農地から道路、橋梁・跨線橋に庭園まで。
多様な業務を経験しながら技術力を磨く。
8年前の入社直後から瀬戸さんは、さまざまな現場を経験してきました。先輩について最初に入ったのが、農作業の効率化を図るために、複数のほ場(農地)をまとめて大規模化を図ったり、用水路などを整備したりする農業土木の現場。
「その後、橋梁の補修・新設工事、JRの線路上を通る跨線橋の工事、国道・道道の補修工事など、多様な工事がありました。工事記録写真の撮影、測量、安全管理の体制などを記録する安全書類の作成などに始まり、先輩の補助をしながら仕事を覚えてきました」
280m×100mもの広さのほ場のなかを歩いて測量を行った最初の現場では、「続けていくのは無理かも、と思った瞬間も(笑)」あったと告白する瀬戸さんですが、いつしか自然に慣れていたと振り返ります。まさに、習うより慣れろ、が大切な仕事なのかもしれません。
「年末年始の休みを終えて橋梁工事の現場に行くと、ベースとなる橋台が雪で完全に埋まり、除雪で終わってしまったことも……。思い通りにいかないこともあるなかで、いかにスケジュール通りに、高い品質で完成させるかと工夫するところに、面白みを感じるんです」
恵庭市にある道の駅では、他社とのJV(*)で庭園の工事を担当。全体の測量、園路や噴水工事の施工管理など、特殊性の高い仕事により多くのことを学んだと話します。
*Joint Venture(ジョイント・ベンチャー)=複数の企業が共同で事業などを行う形態
職人さんとのコミュニケーションを大切に、
オーケストラの指揮者のようにつくりあげる。
「まったく何もない状態のところから、自分の采配でものができ上がっていき、それが半永久的に残って使われていく。土木工事の魅力、おもしろみは、スケールの大きなものづくりにあると、実感しています」
といっても、施工管理の担当者はものをつくりません。基本的に作業を行うのは施工スタッフであり、多くの職種の専門家を束ね、一つのものをつくり上げる仕事は、そう、オーケストラの指揮者のようでもあります。
「現場で作業を行う職人さんとのコミュニケーションを、何よりも大切にしています。工事の質を高めるためには現場の雰囲気が大切ですし、気持ちよく働ける現場をつくっていきたいですね」
現在は道道の拡幅工事を技術員として担当していますが、次に現場代理人を任される時は、テンパっていた最初の状況を踏まえ、余裕をもって取り組みたいと話す瀬戸さん。現場代理人を務めた自転車専用道路の話をする時、特に目がキラキラしたことに気づきました。話を聞くと、なるほどと納得。瀬戸さんはロードバイク乗りなので、工事中のサイクリングロードの全面開通が楽しみで仕方ないのだとか。「いち早く、走りに行くつもりです!」。この仕事をするために入社した。なんだかそう、言いたそうでもありました。
シゴトのフカボリ
施工管理技術者(土木)の一日
7:00
現場に到着。資材の段取り、朝礼の準備
8:00
朝礼(作業内容の確認、危険事項の周知、資材搬入の予定など)
8:10
現場作業のようすを確認した後、事務所に戻り、発注者との対応、書類作成など
12:00
昼食・休憩(事務所で弁当)
13:00
作業スタッフの責任者と打ち合わせ、現場の巡視
16:30
現場作業終了。翌日の段取り、翌週の工程の確認など
18:00
帰宅

シゴトのフカボリ
拝見!オシゴトの道具

3台のスマホ
現場では常に、会社支給のスマホを3台持ち!通話や離れた場所から現場立会を行う時用のもの、工事写真撮影のためのもの、測量機器のデータを表示する用に分かれています。レーザーを用いた測量により、杭を打つポイントを示して(位置出しをして)くれる杭ナビという測量機器と、レーザー光を正確に捉える360°ピンホールプリズムという道具によって座標が瞬時に表示される様子は、まさに最先端です。
シゴトのフカボリ
みなさんへ伝えたいこと

土木の仕事、と聞くと現場と黙々と向き合う技術者を思い浮かべるかもしれませんが、発注者さん、作業を行う各職人さん、そして社内のメンバーと常に連携しなければ仕事は進みません。そうした人と人を繋ぐのが、施工管理技術者の役割です。

恵庭建設株式会社

1956年、恵庭市で創業。土木工事のほか建設工事、地盤改良工事など幅広い事業を行っています。働き方改革。健康経営に積極的に取り組む企業です。

住所
北海道恵庭市泉町26番地
TEL
0123-32-3261
URL
https://www.eniken.co.jp/index.html

お仕事データ

工事現場の司令塔
施工管理
施工管理とは
工事を円滑に進めるためには
欠かせない仕事。

建設工事や土木工事の現場で発注者と実際に工事を行う職人さんとの間に入り、人や資材の手配、スケジュール調整、予算管理など、工事を安全かつ円滑に進め、目的を実現するためのさまざまな業務を行います。大きな施設を建てるほど、工程も複雑になるため施工管理の重要性は大きくなります。

施工管理に向いている人って?
思い通りにならなくても慌てない。

現場での橋渡し役を担うことが多いため、コミュニケーション能力は欠かせません。スケジュールやお金の管理も行うので、計画的に物事を進められる人に向いている仕事です。工事には不測のトラブルもつきものなので、状況に合わせて対応できる柔軟性がある人も向いているでしょう。

施工管理になるためには

小さなリフォーム工事から大規模な土木工事まで施工管理の領域は広く、一般的には工事会社などに入社して、現場での仕事を覚えることになります。施工管理には「施工管理技士」という国家資格があり、工事の内容によって建築施工管理技士、電気工事施工管理技士、管工事施工管理技士など6種類に分かれています。大規模な現場の管理をするためにはこうした資格も必要となります。

ワンポイントアドバイス
分野が異なる工事でも活躍可能。

施工管理の仕事は一般的には馴染みが少ないのですが、工事現場には欠かせない仕事です。建設業界で働く上で「施工管理技士」の資格が役立つ場面は多く、取得しておくと出世や転職にも有利と言われています。

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