西村 栄祐さん
インタビュー公開日:2021.05.06

ホームゲームの運営を担当して3年。
シーズン開幕に感じるワクワク感!
ピッチの中央でコイントスが行われ、ホイッスルが鳴ると、いよいよキックオフ。高揚した表情、緊張の面持ちで芝の感触を確かめる選手たち。会場全体に、これから始まるゲームへの期待感が広がっていき、独特の興奮に包まれます。
「新シーズンの最初の試合は、”いよいよ、はじまるぞ!”と、私自身もワクワクするような気持ちが湧いてきます」と話すのは、株式会社コンサドーレの西村栄祐さん。楽しみな気持ちと同時に、シーズン中の忙しさを想像し、身が引き締まるような思いにもなるそうです。
北海道のサッカークラブとしてJ1で活躍する北海道コンサドーレ札幌。西村さんは、このクラブの競技・運営部という部署に所属し、主にホームゲームの会場運営および競技運営を担っています。憧れだったというクラブのフロントの仕事に就いて3年目。物静かな中に浮かぶ、いきいきとした表情が印象的です。
予想来場者数を踏まえて、
アルバイト・警備スタッフへの情報共有
西村さんの仕事の一つである会場運営というのは、札幌ドーム・厚別競技場でのホームゲームの際に、観客への案内や誘導、安全管理などを通して、安心してゲームを楽しんでもらえる環境をつくることです。
「私の役割は、会場運営の実務を担うアルバイトスタッフ・警備スタッフを含めたスタッフさんへの情報共有。こうした人員を集めてくれる協力会社さんに情報を伝えることが、大切な仕事となります」
ゲームが行われる曜日や時間帯、対戦相手などで来場者数は変化します。また、2020年はコロナ禍でゲーム中止が相次いだこともあり、’21年の開幕戦は多くの観客が来てくれるのではないか――。
「たとえば、そうした条件も加味しながら予想される観客数などを考え、人員配置の参考にしてもらえるよう伝えます」
シーズンに入ると、こうした業務の繰り返しとなります。手間のかかる仕事ですが、多くのファンが集まるゲームの準備の最前線に立てることが大きな喜びなのだそうです。
ゲーム中には試合の流れをチェック。
札幌を訪れる対戦相手にも情報提供。
一方の競技運営は、その名称どおり、競技に関連する仕事。これもホームゲームが対象です。
「代表的なものが審判員との情報共有。選手入場後のイベントなど、その日のスケジュールを伝え、段取りを把握しておいてもらいます」
そうすることで、スムーズな競技運営を促します。また、キックオフやハーフタイム後の再開時間などを管理し、定刻にゲームを進めるという役割も担っているそうです。
「ゲームが始まると、試合の流れを見て、得点した選手、警告を受けた選手などを確認。アナウンスに正確な情報を伝えるほか、スタンドにも目をやり、安全面にも常に気を配っています。」
また、札幌を訪れる対戦相手に会場の動線や控え室を示した図面を提供し、ストレスなくゲームに臨んでもらえるような配慮も行います。アウェイでは逆に、同様のサポートを受けるそうです。会場のスタッフとともに、フロントのスタッフの心遣いがあってこそゲームは成り立っているのです。
サッカー少年からコーチの道を経て
クラブの運営に関わる仕事へと転身。
2019年に今の仕事に就くまで、西村さんはコンサドーレ北海道スポーツクラブでサッカースクールのコーチをしていました。自身もサッカー少年でしたが、やがて指導者になりたいと思うようになっていったのだそうです。
「小学校の時、サッカーを教えてくれたコーチが大好きで、自分もそういう大人になりたいと感じたことが、きっかけですね」
大学に入ると、所属していた小学校のチームで子どもたちを教えるようになります。そのチームの監督の紹介で、北海道コンサドーレ札幌が立ち上げたサッカースクールのコーチのアルバイトを大学4年の時に始め、そのまま採用となって3年間勤務しました。
「クラブの関連スクールに所属するなかで、今度はクラブでの運営に関わってみたいと思うようになり、上司や周囲に話していました。するとある時、クラブで人員を増強することになり採用に。それが、今に至る経緯です」
強い思いを持っていれば、チャンスは訪れる。そんなことを体現しているような西村さんです。
コンサドーレを知ってもらい、
サッカーの魅力を広めていきたい。
大学時代には、アルバイト代を貯めて国内外の試合観戦に出かけていたという西村さん。印象に残ったのが、マンチェスター・ユナイテッドFC(イングランド)のオールド・トラッフォードというスタジアムでした。
「小学校の頃から憧れていたスタジアム。足を踏み入れただけでうれしくて。ただ、それ以上に感動したのが、サッカーを楽しむ文化が根付いていること」
最寄りの鉄道駅からスタジアムへ向かうサポーターの楽しそうな雰囲気、スーパープレーには敵味方なく惜しみない拍手を送る姿。そんな、サッカーの魅力を広めていきたいと思うようになったそうです。
「まずは、北海道コンサドーレ札幌というチームについて、道民の方々にもっと知ってもらうこと。まだ漠然としていますが、将来的には、そんな活動にも取り組みたいと思っています」
サポーター同様、勝てばうれしいし、負ければくやしいと話す西村さん。今日もスタジアムの片隅で試合を見つめています。
シゴトのフカボリ
プロサッカーチーム運営管理の一日
7:30
スタジアム入り、会場設営準備開始
11:00
メンバー表の記入
12:00
スタジアムに到着した選手への対応
12:30
審判員、試合の責任者(マッチコミッショナー)とともにピッチ(ゴールネット、フラッグなど)の確認
13:45
選手入場の準備
14:00
キックオフ、試合の流れおよびスタンドのチェック
16:00
試合終了、撤収開始
20:00
撤収完了、帰宅(直帰)
シゴトのフカボリ
みなさんへ伝えたいこと

この仕事を始めて驚いたのが、数多くのアルバイト・警備スタッフがチームワークよく動いて、始めて試合が成り立つということ。一人ではできないことでも、チームワークがあればできるという印象を深くしました。

株式会社コンサドーレ

札幌市を中心とする北海道をホームタウンに、道内初のプロスポーツチームとして誕生した北海道コンサドーレ札幌を運営しています。

住所
北海道札幌市豊平区羊ヶ丘1番地
TEL
011-777-5310
URL
https://www.consadole-sapporo.jp

この企業の他のインタビュー

お仕事データ

チームを支える縁の下の力持ち。
プロスポーツチーム職員
プロスポーツチーム職員とは
広報や営業、企画などの面から、
選手やファンをサポート!

野球やサッカー、バスケットボールなど、プロ選手が所属するプロスポーツチームの運営に携わるのがプロスポーツチーム職員。マスコミに対応する広報、スポンサーを開拓する営業、ファンの集客数アップにつながる企画、選手の契約管理、さらに経理といった幅広い業務を担います。選手の入団交渉や所属選手の処遇の変更など人事面もサポート。選手とお客様のために、チームの経営や試合を支える縁の下の力持ちです。

プロスポーツチーム職員に向いてる人って?
スポーツを楽しむ気持ちを抱き、
ファンのニーズを理解できる視点を持つ人。

第一にスポーツを楽しむ気持ちが必要。とはいえ、営業にはコミュニケーション能力やビジネスセンス、経理には金銭感覚が求められるなど持ち場によって適性は異なります。そのため、幅広いことに興味を持ち、自ら学べる積極性が高い人に向いているといえるでしょう。「どうしたら多くのお客様を楽しませることができるのか」を考えるには、ファンのニーズを理解できる視点も大切です。

プロスポーツチーム職員になるためには

プロスポーツチーム職員には特別な資格は求められません。大学や専門学校を卒業し、プロスポーツチームの運営企業に就職するのが一般的です。ただし、人気が高い職業である一方、採用人数が多いわけではないようなので、各チームのホームページなどの求人情報をこま目にチェックすると良いでしょう。種目やスポーツチームによってはインターンから職員の募集や斡旋をすることもあるようです。 

ワンポイントアドバイス
メディカルスタッフとして
プロスポーツチームに携わる道も。

プロスポーツチームの中には、スポーツトレーナーをはじめとするメディカルスタッフを抱えるところもあります。選手のコンディショニングや応急処置、リハビリ計画の作成などを担う責任のあるポジションであり、人数が多いわけではないので狭き門。スポーツトレーナー専門の学科を設ける専門学校や大学に進み、「アスレティックトレーナー」「柔道整復師」「鍼灸師」といった資格を取得すると有利です。

この仕事の求人例

ほかにもあります、こんな仕事。