• ホーム
  • 大橋 明佳さん

大橋 明佳さん
インタビュー公開日:2017.11.01

怪我をきっかけに医療の道へ。
生活に密着する看護師を選択。
お医者さんの診療や治療をサポートするだけでなく、患者の不安や心細い気持ちをやわらげてくれるのが看護師さん。大橋明佳さんは、北海道大学病院の内科で働く看護師さんです。
中学生の時、ソフトテニス部の活動で足に怪我をして入院した際に、初めて医療系の道を意識したとか。なかでも食事や睡眠など生活に密着したサポートをする看護師に一番興味を持ったと言います。
その後、大学で看護学を専攻。3〜4年生の時は、さまざまな診療科や施設での実習も経験しました。大学卒業時に看護師の国家試験に合格。北海道大学病院に入職しました。
予測不可能な患者さんの状況。
勤務中は常にフル回転です。
看護師の職場は、外来、病棟、手術室があり、大橋さんは病棟の勤務。入職当初はリハビリ科・麻酔科病棟に配属され、6年の経験を経て現在の内科IIに異動しました。
「診療科によって患者さんの特性が違い、例えば内科IIでは人工呼吸器や透析の技術が必要など、看護の内容も変わります。その診療科に必要なスキルを身に付けなければなりません」
勤務は、日勤、準夜勤、夜勤の3交代制。薬や点滴の準備と投与、食事の配膳や介助など決まった業務の間にナースコールや急変に対応。常に忙しく動いています。
「どうしても、状態の悪い患者さんが優先になりますが、そんな時も話を聞いてほしそうな患者さんがいます。できるだけ、お待たせしないようにと考えて仕事をしています」
病気と向き合い、より良い生活を。
会話で患者さんの希望を聞きながら。
北海道大学病院の内科IIでは、膠原病や糖尿病、腎臓病など、徐々に進行する疾患を持つ患者さんが多く入院しています。寒い北海道では、毎年冬になると体が動きにくくなり、家で生活ができなくなるため入院する患者さんもいます。完治する人ばかりでなく、病気とうまく付き合っていかなければならない場合も。
「今後やりたいことやどんな生活を送りたいか、病気のこと以外にも話を聞いた上でお手伝いするのが私たちの役目です。でも、そんなことをいきなり面と向かって聞かれても話しづらいですよね。だから、体を拭いてリラックスしている時など、何気ない時に話を聞き出せるよう、看護師はみんな工夫しているんです」
相手の反応を得ることの難しさ。
それでも模索しながら関わります。
一人ひとりの患者さんに対してどのような関わりをするか…それは試行錯誤と臨機応変の連続というのが大橋さんの考え。
「例えば以前、入院していた80代の男性の患者さんは、寡黙でちょっと気難しい方。治療にも自分の考えを持っており、医師の指示に『体に悪いからやらない』と拒否することもありました」
看護師たちにもきつい言葉をかけることもありましたが、大橋さんはめげずに毎日会いに行きました。
「次第に顔を覚えてくれて、『また来たのか』って。別の病院へ転院した後に亡くなられ、娘さんから『北大病院では良い関わりをしていただきました』と感謝のお手紙をいただきました。でも、ご本人から本音を聞き出すことはできませんでした」
これで良かったのかな、と今でも時々考えこむ大橋さんですが、「相手からの反応がいつも得られるわけではない」と自分に言い聞かせているようです。
状況に合わせ寄り添う姿勢が必要。
新たな分野にも果敢にチャレンジ!
人の命や生活に関わる看護師の仕事。どんな人が向いているか聞いてみました。
「人の痛みがわかる人、そして、その場の状況に柔軟に対応できる人ですね。自分の考えが正解とは限らないので、周りの人の意見を聞いて合わせることも必要なんです」
現在大橋さんは、より患者さんの生活に密着した看護にチャレンジしているとか。
近年は国の医療政策として、在宅医療に力を入れており、大橋さんは「在宅療養支援エキスパートナース」の養成プログラムに参加し、スキルを磨いているのです。
「お家で過ごすことを望む患者さんに対し、今後どうすればより良く過ごせるか考えていきます。これからますます必要になる分野ですね」
シゴトのフカボリ
看護師の一日
8:00
出勤
当日担当する患者さんの情報収集
8:30
ミーティング、夜勤のスタッフとの交代
申し送りは、患者さんごとに各々行う
8:45
〈看護業務〉
採血、点滴準備・服薬準備
陰部・身体洗浄、シャワー
検査送り(状態が悪い場合は付き添い)
血糖測定、インスリン注射
検温、体調確認
11:30
食事介助、服薬準備、歯磨き
12:30
交代で昼休憩(入れない時もある)
13:15
休憩終わり
引き続き看護業務
16:00
準夜勤が出勤、交代
17:00
定時
18:00
勤務終了、退勤

※上記は日勤の勤務スケジュールです。
シゴトのフカボリ
みなさんへ伝えたいこと

看護師は、病気のことだけではなく患者さんの人生の一部を共有できる仕事です。「これまでこのように生きてきた、今後はこう生きていきたい」という思いを聞き、より良い人生のお手伝いをしたいと思っています。

シゴトのフカボリ
拝見!オシゴトの道具
懐中時計タイプの「ナースウォッチ」
検査の予定や点滴の時間の管理、容体が変わった時間の記録など、看護師は時間が命。手洗いをひんぱんにするので、腕時計より懐中時計タイプの時計を愛用しています。看護の雑誌で見つけ、通信販売で買いました。

北海道大学病院(看護部)

北海道大学医学部・歯学部の教育・研究施設で、高度な医療を提供する北海道を代表する医療機関。病床数は944で、約2700人の職員が勤務しています。

住所
北海道札幌市北区北14条西5丁目
URL
http://www.huhp.hokudai.ac.jp/kango/

お仕事データ

患者を献身的にサポート
看護師
看護師とは
医師の診察や診療を補助し、
患者さんや家族をケア!

看護師は医師の診察や診療を補助し、患者さんや家族の助けとなる仕事。勤務する病院や担当の診療科によって異なりますが、注射や点滴、採血、問診や検査、入院患者の身の回りのお世話、カルテの記入など非常に多くの業務を受け持ちます。主に外来看護師、病棟看護師、オペ室看護師、ICU看護師などがあり、患者さんと最も接点がある医療従事者として医療現場では重要な存在です。

看護師に向いてる人って?
ホスピタリティ精神にあふれている人。

筆頭にあげられるのは「人のお世話が好き」なタイプ。ホスピタリティ精神にあふれている人は看護師に向いています。また、基本的に立ち仕事であり、人の生死に関わることも多いので体力と強い精神力が必要。最近では「チーム医療」としての意識と協調性を求められるため、コミュニケーション能力も欠かせません。

看護師になるためには

国家資格の「看護師」が必要です。その資格を取得するには、文部科学大臣指定の学校もしくは厚生労働大臣指定の看護師養成所を卒業し、看護師国家試験に合格しなくてはなりません。看護師の資格を取得できる学校は、主に4年制大学、3年制の短大・専門学校があります。また、高校看護科の3年と看護専攻科2年合わせて5年一貫看護師養成課程がある高校からの道もあります。

ワンポイントアドバイス
准看護師との違いは?

看護師は「厚生労働大臣の免許を受けて、療養上の世話、または診療の補助を行う」ことに対し、准看護師は「都道府県知事の免許を得て、医師、歯科医師、または看護師の指示を受けて療養上の世話、または診療の補助を行う」役割。准看護師は国家免許ではなく、医師はもちろん看護師の指示を受けなくてはならないのです。

この仕事の求人例