目黒 樹さん
インタビュー公開日:2022.07.22

家電製品などをメインで配送する、
入社3年、20歳の若手ドライバー。
ネットで購入した商品の配達、引越し荷物の輸送。また、近所で住宅の新築や下水道工事といった作業などがある際にもやって来るものといえば……そう、トラックです。こうした、身近なトラックの仕事は何となくわかりますが、よく見かける運送会社の名前が入ったトラックには何が積み込まれているのか?知っている人は少ないかもしれません。
「普段、運んでいるものは……本当にさまざまで、これとは言えないのですが、私は家電製品を扱うことが多いですね。ここ(札幌中央支店)を拠点に、家電販売店などに荷物を届けています」と話すのは目黒樹さん。入社3年目、20歳の若手ドライバーです。札樽自動車運輸では、『特別積合せ貨物輸送』という事業を行っています。これは、複数の拠点を持ち、各地で集荷した荷物を集約したあと、届け先ごとに輸送・配達するという仕組み。数ある運送会社のなかでも、手掛けている企業が少ない業態なのだそうです。
ルートや順番をコントロールして、
1日10〜40件の届け先を訪ねる。
目黒さんがハンドルを握るのは3トン車。小型トラックですが、積載量もあり、取り回しがしやすいことから、都市部では主力の車両カテゴリーとなっています。担当することが多い家電製品なら、まず、集荷センターというところから、大型トラックでメーカーの製品が中央支店に運ばれてきます。その荷物のうち、担当エリアに届けるものを自分のトラックに積み込み、配送へと出かけるというのが業務の流れ。目黒さんが担当しているのは主に札幌市の東区、白石区。家電とともに、同じ方面に運ぶさまざまな荷物も一緒に運びます。
「1カ所に大量の荷物を運ぶか、小口の荷物を下ろして周るかといった違いによって、1日の届け先は10〜40件と幅があります。それに合わせて、配送ルートや順番をどうコントロールするかがポイントです」
特に件数が多い時は、道路状況も加味して移動時間を計算するなど、専門職としてのノウハウが問われるのだそうです。
ドライバーである父親の姿に憧れ、
『運送の仕事しかない』と決意。
高校を卒業すると同時に、札樽自動車運輸に入社した目黒さん。そのきっかけの一つとなったのは、父親の姿だったと話します。お父さんもトラックのドライバー。小さいころから、家の近くを通る際にハンドルを握る姿を見ていたのだそうです。
「その姿に憧れたのと、安全・確実に荷物を届け、暮らしや経済に役立つ仕事ということを知り、高校に入学したころには、自分には運送の仕事しかないと思っていました」
札樽自動車運輸について、お父さんから聞いたことがあったこと。また、全国展開する大手企業よりも、地域に根ざした歴史ある運送会社で活躍したいと考えたことが、同社を選んだ理由だったと話します。
「トラックは乗用車と違って幅もあれば高さもあるので、ぶつけてしまうのではないか?、といった心配はありましたが、運送の仕事ということについて、大きな不安を感じたことはありませんでした」
会社の制度により準中型免許を取得。
先輩の仕事に触れながら業務を学ぶ。
早い時期から運送ドライバーの道に進むことを決めていた目黒さんですが、運転免許の取得は入社後のこと。教習費用を負担してくれる会社の免許取得支援制度によって3トン車の運転に必要な準中型免許を取得しました。
「入社するとまず教習所に入学。そして、通いながら、それ以外の時間は先輩ドライバーの助手席に同乗しました。いろいろな先輩の仕事を間近で見て、多種多様な荷物に触れた経験はとても勉強になりましたね」
コロナ禍の影響で教習所が閉鎖された時期もありましたが、半年ほどで無事、合格。それから1カ月ほど、今度は先輩に助手席に乗ってもらって指導を受けました。
「周囲に目を配り、『歩行者がいるよ』などと教えてくれた先輩がいなくなり、1人で業務を始めたころは、少し緊張しました」
そう振り返る目黒さん。今はもう、運転にも慣れ、「乗用車よりトラックの方が、断然運転しやすい」と笑います。
いろいろなところを走れることも、
ドライバー仲間ができるのも楽しい。
運送ドライバーは荷物の積み下ろしもしますが、決してハードな仕事ではないと目黒さん。
「荷物を運ぶのは、力ではなくコツ。身体に負担のかからない動かし方があります。それさえ飲み込めば疲れないんですよ」
独り立ちした当初は、移動時間を予測することに難しさを感じたこともあったそうですが、日々、走るなかで覚えていったと話します。
「普段は行かない、いろいろなところを走れることが自分には楽しいですね。時には道が行き止まりになることもありますが(笑)」
同じエリアの他社のドライバーと顔見知りになり、荷下ろしに手間取っていたら手伝ったり、雪に埋まったトラックを押し合ったり。そんな仲間が増えるのも楽しいのだそうです。
「将来は、大型トラックや牽引車にもチャレンジしてみたい」というのが目黒さんの目標。
周囲を走る車、道路状況を気にかけつつ荷物を届ける最適ルートをシミュレーション。集中力が求められる仕事ですが、それすらもモチベーションにしているように見えました。
シゴトのフカボリ
運送ドライバーの一日
8:00
出勤、その日に運ぶ荷物の積込み
8:30
トラックヤードを出発。配送開始
12:00
昼休憩
13:00
午後の配送開始
14:00
配送を終え、荷物の集荷へ
16:30
帰社、翌日の配送ルートの確認
17:00
退勤
*その日の配送スケジュールによって出退勤時間は異なります
シゴトのフカボリ
拝見!オシゴトの道具
携帯電話のホルダー
配送先のルート確認、渋滞情報のチェック等々、携帯電話は業務の必需品。しっかりと、固定できるホルダーもまた必需品です。自分のトラックが決まっており、一定のアクセサリーをつけることができます。
シゴトのフカボリ
みなさんへ伝えたいこと

荷主さんから依頼主へと届ける荷物を大切に扱うことはもちろん、それらを間違いなく安全に届けるためのトラックも大切に扱う。当たり前のことを日々、的確に実践できるよう心がけています。

お仕事データ

女性もどんどん活躍中!
トラックドライバー
トラックドライバーとは
荷物を積み込み日本各地へ。
我が国の物流を支える原動力。

荷揚げ場所から荷物を積み込み、個人宅、会社、店舗などへ運搬、配送する仕事。一口にトラックドライバーといっても「軽トラ」と言われる小型トラックもあれば、「タンクローリー」や「ミキサー車」などの大型トラックまで車種はさまざま。必要な免許も普通自動車免許や中型自動車免許、大型自動車免許、けん引免許など乗り込むクルマによって変わります。大型は高速道路も含めて長距離を走ることが多く、小型は集配所から集配所へのルート配送といった近距離の運転をすることが多いようです。

トラックドライバーに向いてる人って?
安全に、時間通りに荷物を届ける集中力。

長時間運転することが好きで、何より安全に時間通りに荷物を目的地へと届けるために集中できることが大切。荷物の重さはさまざまですが、積み込みや荷下ろしなど体を動かすケースも多いので、体力に自信があると有利です。運転中はほとんどの場合一人ですが、集配所などではお客様や同業者への最低限のあいさつは必要。

トラックドライバーになるためには

トラックドライバーは基本的に学歴はさほど重視されません。物流会社や運送会社の採用試験に応募するのが近道です。とはいえ、中型トラックであれば「中型免許」、大型トラックであれば「大型免許」、さらにトレーラーなどを扱う場合には「けん引免許」が求められます。運ぶものによっては「危険物取扱者免許」や「毒物劇物取扱責任者免許」などの取得も必要。最近ではこのような資格は入社後に会社負担で取得させてくれる企業が多いようです。

※各種免許取得の条件については全日本トラック協会のホームページなどをご確認ください。http://www.jta.or.jp/index.html

ワンポイントアドバイス
国交省も応援する「トラガール」!?

トラック運送業界は男性のイメージが強く、他業種に比べて女性の進出が遅れていたと言われています。ところが、近年は、細やかな気配りやコミュニケーション能力、丁寧な運転など、女性ドライバーならではのスキルが大注目。国土交通省では、女性の活躍を促進するため、女性トラックドライバーを「トラガール」と名付け、さまざまな取り組みを進めています。

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