杉田 怜也さん
インタビュー公開日:2023.05.17

多目的ヘリコプターの整備を担当。
笑顔が印象的な入隊5年目の陸曹。
「北部方面ヘリコプター隊」。これが、杉田怜也さんの所属です。函館・釧路・女満別・利尻・奥尻の道内各空港と、松本・静岡・名古屋などを結ぶ札幌丘珠空港。その滑走路に隣接する陸上自衛隊丘珠駐屯地の北部方面航空隊に所属する同隊で、自衛官として職務に就いて5年目を迎えました。現在は、航空機整備陸曹(三等陸曹)という職名で仕事をしています。
「職名にもあるように、任務は部隊に配置されている航空機を整備することです。私はUH-1J(ユー・エイチ・ワン・ジェイ)という多用途ヘリコプターの整備を専門に行っています」
きりりとした表情で、キビキビと受け答えながらも、常にやさしい表情で、笑顔を絶やさない杉田さん。
「整備では、さまざまなチェックポイントがありますが、例えば、燃料が通る部分は特に重要。漏れなどがないよう、慎重に確認していきます」
自らの任務に対する真摯な姿勢が、言葉の端々に感じられます。
点検・整備と、訓練時の後方支援。
自衛官としての射撃、格闘等の訓練も。
杉田さんが担当するUH-1Jは、有事の際の戦闘から救難・救助まで幅広い役割を果たす重要なヘリコプターであり、いつでも飛び立てるよう、常に整備が行われています。
「定期的にメーカーに運んで行う点検整備もありますが、それ以外は私たちが決められた箇所を点検し、不具合などがあれば修理・整備を実施します。また、燃料補給などの支援も任務となっています」
整備をするだけでなく、いわゆる試運転を行い、必ず状態のチェック・検証まで実施するという徹底ぶりです。
「整備が終わると、テストフライトで実際に飛ばし、一緒に乗り組んで、異常がないかどうか検査します。具体的には、計器類の値などを確認していくんです」
訓練などで飛び立つ前、また、戻ってきて着陸した後にも点検を行い、コンディションを保ちますが、訓練の際に後部に搭乗し、支援活動を行うこともあるのだそうです。さらに、こうした任務をこなしつつ、射撃、格闘など、自衛官としての訓練もあります。
「つい先日も、UH-1Jに銃を乗せる架台を取り付け、射手として射撃の訓練を行いました」
「レンジャー」の厳しい訓練に憧れ、
航空機にも興味があり航空科を希望。
高所での訓練もものともしないという杉田さんが陸上自衛隊に入隊したのは、叔父の影響が大きかったそうです。
「まだ自分は小学校に上がる前でしたが、自衛官の叔父が駐屯地に連れて行ってくれて、訓練を見せてもらったんですね。その時の印象がとても強く、ずっと記憶に残りました」
杉田少年が見たのは、陸上自衛隊のなかでも過酷といわれるレンジャー養成訓練。レンジャーとは、戦闘などの際に最前線に立つ精鋭部隊で、厳しい訓練を乗り越えた隊員だけがなれるのだとか。その訓練の様子に驚き、そして魅せられました。
「自分も、その訓練に参加したいという気持ちが続き、強い憧れを抱いて陸上自衛隊に入りました。『(自衛隊には多様な職種があるので)入隊してから、自分のやりたいことを探せばいい』という叔父のひと言も背中を押してくれましたね」
もともと車が好きだったこともあり、整備の仕事に目が向いたことと、『航空機に乗ってみたい』という思いもあって航空科を希望した杉田さん。レンジャー養成訓練を受けることは、今も目標の一つとなっています。
同期と支え合ってクリアした初期教育。
命に関わる仕事の重みを先輩から学ぶ。
自衛隊に入隊すると、まず3カ月の教育期間があります。ここでは自衛官としての基礎を学ぶ訓練が行われます。その後、3カ月間かけて希望職種ごとの教育・訓練が実施され、配属が決まります。杉田さんはみごと『適性あり』と判断され、希望通りの配属となりました。
「入隊当初は身体が慣れていないこともあり、訓練がきつく感じましたが、そんな時に支えになったのが、一緒に訓練を受けた同期の存在でした。励まし合い、支え合いながら乗り越えた仲間は、何年経っても大切な存在です」
こうして計6カ月間の教育・訓練を受けた後、指導担当の先輩のもとで整備の仕事がスタート。現場ではていねいな指導が行われますが、厳しい言葉が飛ぶこともあったそうです。
「整備に必要な勉強を怠ったり、聞いているはずなのに間違えた作業をしたりすると叱られます。整備は命を預かる仕事なので、それは当然のこと。指導を受けることで、正しい知識が身に付いていくんですね」
自分が整備した機体に乗り組み、訓練が無事に終了できた時、安心感と同時に任務を全うしたという気持ち、やりがいを感じるのだと杉田さんは話します。
将来は若手の教育にも取り組みたい。
笑顔をモットーに、何事も前向きに!
自衛官でありつつ、自衛官の能力、組織力に感服した出来事が、杉田さんにはありました。それは、2022年8月に発生した稚内沖での地震発生時の部隊の対応でした。
「地震が発生すると、決められた時間内に航空機を飛ばし、上空から現地を撮影してくる任務があるのですが、準備の迅速さ、無駄のなさに、自分も加わりながら感動を覚えました」
地震発生とともに飛び起き、離陸までにかかった時間はわずか15分。それを可能にしたのは、整備の賜物であることも間違いありません。
「『(整備のおかげで)操縦性が良くなった』などとパイロットから言っていただけた時はうれしいですね」
航空整備員として一定の技術に達すると、担当する機体を持つ 『機付長』になれるのだそうです。機付長となり、道外の部隊とともに任務を行いたい。一方、若手の教育にも取り組みたいという杉田さん。
「いつも自分が意識しているのは、笑顔でいること。任務も訓練も大変なことはありますが、楽しんで取り組めば前向きになれるからです」
今日も笑顔だなと先輩にも可愛がってもらえると、いたずらっぽく話します。自衛官のイメージが、180度変わりました。
(取材地 陸上自衛隊 丘珠駐屯地
シゴトのフカボリ
自衛官(陸上自衛隊)の一日
8:15
朝礼・業務開始/UH-1Jの整備業務
12:00
昼休憩
13:00
UH-1Jの始業点検・帰還後点検、給油など
15:30
体力練成ほか訓練
17:00
業務終了
シゴトのフカボリ
みなさんへ伝えたいこと

自衛隊の任務は、平和を創ること。日々、任務と訓練にあたることは、自衛官としての能力を高めるだけでなく、有事の際、災害時、国際協力の場面においても、人々の役立つことにつながると自覚し、任務を遂行しています。

自衛隊札幌地方協力本部

「自衛官等の募集及び広報業務」、「地方公共団体等との各種窓口業務」、「渉外広報業務」など、主に陸海空の自衛官の募集業務を担当。
道央圏に本部を含めて13か所の窓口と3か所の募集案内所があります。

住所
北海道札幌市中央区北4条西15丁目1
TEL
011-631-5471
URL
https://www.mod.go.jp/pco/sapporo/

お仕事データ

国民の平和と安全を守る!
自衛官
自衛官とは
国民の平和と財産を守り、
国内外の災害救助や復興支援も行う仕事。

自衛隊とは国の平和と安全を守るために活動する日本の防衛組織。その隊員として任務に当たるのが自衛官です。活動は自衛隊法という法律で厳しく定められており、領域別に陸上自衛隊、海上自衛隊、航空自衛隊に分かれています。主な任務は、平時には訓練や領海・領空の監視を行い、有事には国民の生命と財産を守る「国の防衛」、大規模災害や事故の際に人命救助を行う「災害派遣」、海外の災害や紛争の際に援助や復興支援を行う「国際平和活動」の3つ。国のために極めて重要な存在が自衛官なのです。

自衛官に向いている人って?
健康や体力に自信があり、
国や人を守るための責任感を持つ人。

自衛官は、国の安全保障を担う重要な組織。まず他者の命や財産を守るために尽力する責任感を持つことが必要です。自衛隊はチームで行動することが多いため、上下関係や協調性を理解し、コミュニケーションを円滑に行うことが求められます。また常日頃から有事の際に備えた訓練を行うため体力があり、心身共に健康でいることも欠かせません。

自衛隊員になるためには

自衛官になるには、まず日本国籍を有していることが必要であり、身体的・精神的に健康であることが求められます。また採用試験段階から学歴やキャリアに応じた職種を選べることも大きな特徴。任期制の自衛官候補生、中核を担う「曹」階級をめざす一般曹候補生、さらに歯学科や薬学部から進む衛生分野の「医科・歯科幹部自衛官」、技術系分野から入る「技術海曹・技術空曹」と細かく分かれています。

※職種について、詳しくは防衛省のホームページをご覧ください。


ワンポイントアドバイス
国と国民を守るという
唯一無二の仕事。

自衛官は国と国民の安全を守るために、日々訓練を積み、時には危険な任務に当たります。国を守るために自分たちが貢献できるという使命感は、多くの人にとって大きな魅力となります。また訓練や教育も、自己啓発につながるだけでなく、人生において大きな価値を持つかもしれません。一方、自衛官として働くには、厳しい訓練や危険な任務に当たることがあるため、就職には「国家を守る」という強い覚悟が必要です。