佐藤  杏介さん
インタビュー公開日:2023.07.11

金融機関のお堅いイメージが逆転。
地域に根ざし活性化できる仕事へ。
「金融機関にはお堅いイメージを持っていましたが、会社説明会でそれが覆されました。お客様との関係性が深く、地域に密着してるのが信用金庫です」と語るのは、大学を卒業してから道南うみ街信用金庫(入庫時は函館信用金庫)に勤める佐藤杏介さんです。
岩手県出身の佐藤さんは、高校卒業時に漠然と持っていた「地元以外のことも知りたい」という思いから、東北地方から近く観光でも何度か訪れたことがあった函館の大学に進学。所属した情報通信のゼミでは、卒業論文のテーマが自由に選べたことから、地域のイベントに参加しアンケート調査をして、地域活性化の方法について研究しました。
「イベントのお手伝いを通じて函館の魅力をより知ることができ、もっと地域を盛り上げたいという気持ちを強くしました」
そこで、就職先は全国転勤がある会社よりも、地域のために働けるローカルの会社を志望。会社説明会で冒頭の説明を聞き、感銘を受けたといいます。
「信金さんだから」という信頼と、
お客様との近い距離感を実感。
入庫当初は、受付の窓口に配属され、預金の預かりや払い出し、公共料金の振替など基本的なお客様対応を身に付けました。「事務的な話だけでなくお客様の方から積極的に会話をしてくださり、距離の近さを感じました。個人のお客様は生まれた時から、企業のお客様は事業を始めた時から利用されている方もとても多いんです。たくさんのお客様と顔見知りになりました」
その後、外回りの営業や得意先の集金業務を経て、現在も担当している融資の部門へ。個人向けには住宅ローンやマイカーローン、教育ローンなどがあり、企業向けには運転資金や設備資金のための融資など、幅広い商品を提供しています。既存のお客様だけではなく、「信金さんだから」と信用をもとに入るご紹介も多いそうです。「もともと、初対面の人と話すのは得意ではなかったのですが、まず相手の話を聞きながら、その方に合った説明の仕方を考えています」
数字からは見えない部分も大切に、
融資が通る道を一緒に考えます!
特に新型コロナウイルスの影響で、厳しい状況に置かれる企業が増えました。決算書をもとに融資を申請する書類を作りますが、どのような思いで経営しているか、今後はどのように業績を上げていくかなど、数字だけでは分からない部分を反映させるのが大切だといいます。最初は上司から教わったり、過去の書類を参考にしながら作っていきました。
「審査の結果、融資が難しい場合でも、ただお断りするだけではなく『◯◯を改善していきましょう』など、可能性を広げるアドバイスをするようにしています。実際、その後努力していただき融資を受けられたケースもありました。その業種に関してはお客様の方がスペシャリストなのはもちろんですが、私も金融の専門家として、また時にはいち消費者の立場から意見を述べることもあります」
お客様と近い距離感だからこそ、親身になって一歩踏み込んだアドバイスをする姿勢が伺えます。
金融業務に関わる多様な知識、
資格取得への努力は欠かせません。
佐藤さんがお客様と共に努力した結果、融資が決まった時が最もうれしい瞬間だといいます。「お客様が必要な時に貸し出しができるのは大きな喜びですし、その後事業がうまくいき、さらに拡大のために相談に来られるのもうれしいですね」
信用金庫の業務には、幅広いお金の知識が欠かせません。道南うみ街信用金庫では、業務に必要な知識を得るための通信教育を階層別に受けることができます。預金や融資、財務、金融法務などさまざまな内容が含まれています。さらに、他にも資格取得が推奨されており、佐藤さんは2級ファイナンシャル・プランニング技能士の資格を持っています。また、「宅地建物取引士」や「中小企業診断士」の資格も将来的に取得できるように勉強を重ねています。
さらに、企業の融資には多様な業種に関する知識も必要とされます。地域柄、水産系や観光系の事業者が多いとか。
目の前にいるお客様を通して、
お金のサポートで地域を元気に。
一つひとつがマニュアルにはできない仕事であり、いろいろな問題に直面するため、悩むことも多いといいます。「大変だと思うこともありますが、それらを乗り越えることで成長できる機会があり、やりがいにつながっています。勉強することも苦にならず、むしろ新しいことを知りたいという気持ちが強いですね」また、悩んだ時に上司に相談しやすい環境もありがたいといいます。
そして、今後の目標はやはりお客様との良い関係づくりに行き着きます。「今後もお客様が安心して話せる関係性を築いていきたいと思いますし、お客様が困った時に選んでいただける職員になりたいです」
さらに、お客様のお金に関するお手伝いを通して、地域活性化に貢献している実感もあるといいます。「まだ不十分なところもあると思いますが、融資を通して暮らしや事業をサポートをすることで、私たちが勤務している函館から道南地域全体の活性化につながるよう、目の前のお客様と真剣に向き合っていきます」
シゴトのフカボリ
信用金庫職員の一日
8:45
出勤、スケジュール確認、準備など
9:00
開店、お客様対応、書類作り
12:30
昼休憩(交代制)
13:30
お客様を訪問
15:00
書類作成、翌日の準備など
17:20
退勤
シゴトのフカボリ
拝見!オシゴトの道具
愛用のボールペンと金融電卓
すぐにメモを取れるように携帯するボールペンは、お気に入りのものでモチベーションアップ。同じく融資の時に必ず持ち歩くローン計算や預金利息計算などが簡単にできる金融電卓は、必需品です。
シゴトのフカボリ
みなさんへ伝えたいこと

いつもお客様と密にコミュニケーションを取り、「親近感」を持っていただける「信金」でありたいと思っています。

お仕事データ

お金の取り引きをサポート!
銀行員
銀行員とは
社会のお金の流れを
支える仕事。

金融業界の代表的な職業が銀行員。その三大業務が「預金業務」「貸し付け業務」「為替業務」です。預金業務はお客様のお金を預かる仕事。貸し付け業務は資金を必要としている企業や個人に利息をつけてお金を貸すこと。事業拡大や住宅を建てる際の資金繰りを支えます。為替業務は振り込みや送金、手形の発行、外国の通貨や債券を売買するディーリングです。銀行員はメガバンクや地方銀行、信用金庫・信用組合、ネット銀行などで、社会のお金の流れを支えています。

銀行員に向いてる人って?
真面目で几帳面、
そして信頼される人柄が大切。

銀行員はお客様の大切なお金を預かり、運用するのが仕事。書類の記入や確認は数字の正確性を徹底的にチェックしなければいけません。そのため、真面目で几帳面な人は向いているといえます。企業の経営状態をチェックしてお金を貸し付けることもあるので、経営や経済の知識があることは強みになるでしょう。また、サービス業の側面もあることから、人当たりがよく、信頼される人柄が求められます。

銀行員になるためには

銀行員を目指すのに特別な資格は必要ありません。総合職の場合は、大学を卒業し、新卒で就職試験に合格するのが一般的なコースです。一般職(事務職)は専門学校・高校卒でエントリーできるケースもあります。銀行員には金融や経済、不動産などの知識が必要になるため、経済学部や商学部、法学部の出身者が多いようです。また、簿記やファイナンシャルプランナーといった資格を持っているとPR材料になります。

ワンポイントアドバイス
銀行の種類は多種多彩。
最近は「ネット銀行」も注目株!

日本の中央銀行と呼ばれるのが「日本銀行」。国内で唯一紙幣を発行でき、税金や国債のお金を預かって公共事業や公務員の給与などに使っています。「都市銀行」は大都市に本店を構えて全国に支店を展開している銀行。各都道府県に本店を持ち、地域経済を支えているのが「地方銀行」です。「信用金庫」や「信用組合」は、地域の発展を目的とした金融機関で、より公共性の高い組織といわれています。ここ最近はインターネット支店の口座を開設することで、より簡単に預け入れや引き出しができる「ネット銀行」も注目を集めています。