吉村 向日葵さん
インタビュー公開日:2024.03.19

接客も、事務的な業務にも携われる、
「薬局事務」の仕事に惹かれて入社。
車の窓を開けて処方箋を渡したら、駐車場で待機。調剤が終わると、おなじく車に乗ったまま薬を受け取れるという、画期的なサービスに興味を抱いたことが入社のきっかけになったと話す吉村向日葵さん。
「短大への通学路にあったナカジマ薬局の店舗に、『ドライブスルー薬局』というひときわ目立つ看板があって、毎日、なんとなく眺めながら、ずっと気になっていました。就職活動の時、学校に来ている求人票のなかにこの薬局名を見つけ、調べてみたんです」
企業研究を進めていくと、今度はその仕事に関心が湧いていきました。職種は薬局事務。名前は事務職のようですが、デスクワークだけでなく、接客の要素もあることに惹かれたのだそうです。
「接客の仕事はやってみたいと思っていましたが、一方でパソコンに向かうような業務にも憧れがあって、薬局事務は、その両方に関わりながら、いろいろなことにチャレンジできるところがいいな、と思いました」
自分自身はこれまで、病院にかかることがあまりなく、薬局を訪れる機会も少なかったという吉村さん。なじみが薄い世界だったからこそ、かえって目が向いたのだと話します。
患者様の受付から、処方箋のデータ入力
会計までを行い、調剤薬局を支える仕事。
医師の診察を受け、病院で発行された処方箋を持って薬局に行くと、一番最初に対応してくれるのが薬局事務スタッフ。その業務を担う吉村さんの、仕事の始まりです。
「受付に立って処方箋を受け取り、お薬手帳の有無や、場合によっては保険証を確認。それが終わると、処方箋の内容を〝レセプトコンピューター〟という専用のシステムに入力し、お薬代を会計するというのが一連の仕事の流れになります」
「処方箋の入力は、自動化が急速に進んでいて、QRを読み込むだけで、薬の内容などが取り込まれるようになっていますが、一方で、人の手でなければできないこともあります。たとえば、処方された薬をジェネリック医薬品(後発医薬品)に変更するといった場合には、その内容を入力する必要があります。その湿布は1日何枚、どこに貼るのか、といった内容も手で打ち込みます」そして最終的に吉村さんが入力した内容と、薬剤師さんが、調剤された薬をチェックし、患者様に手渡されます。
調剤により発生する報酬の請求を行う
レセプト業務も重要な業務のひとつ。
処方箋の受け取り、データ入力、調剤の一部補助、会計といった患者様に関係する一連の業務のほか、日計業務といって毎日の出納事務、売り上げの計算業務を行い、会社へ報告するのも薬局事務の仕事なのだそうです。
「どの業務も、薬局事務の大切な仕事ですし、いずれも入社時の研修で基礎を学び、日々の実践を通して覚えてきましたが、当初、苦労したのが〝レセプト業務〟でした」
レセプト業務というのは、保険適用となる薬について、薬ごとに決められている報酬(調剤報酬)を請求するための手続きのこと。受付で入力した処方箋のデータは、専用のコンピューターシステム(レセプトコンピューター)に蓄積されており、そのデータのチェックを行うことが主な仕事となります。
「薬の種類や数、社会保険か国民健康保険か、お薬手帳やマイナンバーカードの有無などによって調剤報酬の額が変わります。そうした点に誤りがないか、月初めに確認作業を行います。算定基準となる調剤報酬点数というものが2年ごとに法律が改定となるため、絶えず情報も更新する必要があるなど、ずっと勉強です」
そこには大変さもあるものの、常に学ぶべきことがあるのが楽しいと吉村さん。
笑顔で対応、常に目配りを欠かさず、
無事に帰っていただくまでを見守る。
「〝患者様中心主義〟という企業理念も、私がナカジマ薬局で働きたいと思わせてくれたキーワードでした。医療の主役は常に患者様であり、患者様の健康をトータルサポートすることが最重要であるという考え方です。人に尽くすという、そのスタンスに共感を覚え、ここで働きたいと思いました」
個室のように仕切られた投薬口には椅子が置かれ、落ち着いた雰囲気のなか、薬剤師がじっくり説明しながら薬を渡します。そうすることで、患者様の不安や疑問を取り除くよう、取り組んでいます。
「薬局事務の私たちは、真っ先に患者様と向き合うこともあり、笑顔でていねいな対応を心がけています。また、混み合っている時なら〝ただいま、少々お時間を頂いておりますので、お車でお待ちいただいても大丈夫ですよ〟とお声がけをしたり、小さなお子さまが飽きないように、アニメなどのビデオを流すなど、待合室にはいつも目配りをしています」
高齢の患者様なら、タクシーの手配が必要ではないか確かめたり、重い荷物があれば車まで運んだり。無事に帰っていくまで、見守ることも自分の仕事なのだと話す吉村さん。入社動機となった〝患者様中心〟を、今は自ら実践しています。
効率よく動けるように工夫しながら、
気持ちが休まるような環境をつくる。
ていねいな対応と同時に、患者様の様子を観察しながら、的確な対応ができるよう、吉村さんは心がけているそうです。
「たとえば、インフルエンザなどで発熱があり、具合の悪そうな患者様がお越しの際には、喉を潤せるよう、ウォーターサーバーの場所を予めお伝えするなど、少しでも負担を減らしていただけるよう意識して対応しています」
患者様の様子をうかがい、処方される薬の説明をしながら、不安を取り除くのは薬剤師さんの仕事。まさに薬剤師さんがいてこその薬局ですが、その業務を支え、患者様とコミュニケーションを図る薬局事務の仕事は、調剤薬局の雰囲気も左右しているようです。
「患者様にとって気持ちが休まる場となるよう、環境を整えていくことも薬局事務の大切な仕事だと思っています。そうしたなか、〝ありがとう〟〝頑張ってね〟という言葉をかけていただくことがうれしいですし、もっと頑張ろうという気持ちになります」
さらに経験を重ね、薬局事務としてのスキルを高めていきたいと話す吉村さん。今日もとびきりの笑顔で患者様をお迎えしています。
シゴトのフカボリ
薬局事務の一日
8:30
出勤、店内の清掃、調剤機器などの立ち上げ
9:00
店舗オープン。受付
12:00
昼食・休憩
13:00
受付、会計
17:30
閉店。日計業務、到着した薬の整理
*月初めには、業務の合間にレセプト業務を行います
シゴトのフカボリ
みなさんへ伝えたいこと

患者様は疾患、症状などのある方々なので、手際よく対応することと同時に、少しでも居心地のよい場を整えることを意識しています。その一つが笑顔。忙しい時でも、笑顔を忘れないようにしています。

シゴトのフカボリ
拝見!オシゴトの道具
ハンドクリーム
処方入力では、パソコンを使うので、指先が乾燥しやすく、ハンドクリームは必需品。常に携帯しています。

株式会社 ナカジマ薬局

1977年の創立以来、北海道を中心に約60店舗を展開する調剤薬局チェーン。「患者様中心主義」という理念のもと、かかりつけ薬局として在宅医療にも取り組んでいます。

住所
北海道札幌市中央区北10条西24丁目2番15号
TEL
011-633-2345
URL
https://www.nakajima-phar.co.jp

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会社をサポートする重要な裏方!
事務職員
事務職員とは
データ入力や書類作成、来客対応など、
幅広いオフィスワークを担当。

オフィス内でデータ入力や書類の作成、電話対応、来客対応といった幅広いオフィスワークを担うのが事務職の仕事。具体的にはお客様情報や日々の売上の入力、会議の議事録や見積書・請求書の作成、入金・出金・振替といった伝票処理、郵便物の仕分け、備品の発注やメンテナンスの依頼、会議室の準備や来客への飲み物の提供など、仕事内容は多岐に渡ります。働く会社によっては、勤怠管理や給与計算など人事・労務部門の仕事、決算業務の補助など経理部門の仕事を任されることもあります。

事務職員に向いてる人って?
人を支えることに喜びを感じ、
正確に物事を進められるタイプ。

事務職は職場を裏方から支えるサポート役としての仕事が多くを占めます。人を助けることに喜びを感じるタイプには向いているでしょう。また、お客様情報や売上といった重要なデータを扱うことから、集中力があり、正確に物事を進められる力も必要です。事務職は社外からの来客や電話に対応することも多いため、会社の窓口として丁寧に接する人当たりの良さも求められます。

事務職員になるためには

事務職に必須の資格はありませんが、主にパソコンを使って仕事をするため、Word、Excel、PowerPointなどのパソコンソフトの基本操作ができるとベター。「Word文書処理技能認定試験」や「Excel表計算処理技能認定試験」、「PowerPointプレゼンテーション技能認定試験」などを取得しておくと有利でしょう。高校や専門学校、短大・大学を卒業後、各企業や団体に就職するのが一般的です。

ワンポイントアドバイス
ワークライフバランスを
重視したい人にはピッタリ。

事務職の仕事は幅広い一方、それぞれがルーチンワークになっているケースが多いようです。イレギュラーなトラブルや急を要する業務がない限り、定時に帰りやすい職種といえます。プライベートを重視したい、家事や子育てに時間を割きたいなど、ワークライフバランスを重視した働き方を望む人にはピッタリです。

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