大坂 郁人さん
インタビュー公開日:2024.05.13

エアコンやトイレなどの設置を行って、
心地良い環境をつくる設備工事の仕事。
ビルや住宅を新たにつくったり、リニューアルする場合に必要不可欠な仕事の一つに設備工事があります。たとえば、トイレ・キッチン・お風呂などの水回りと呼ばれるものや、エアコン・換気扇など心地よい環境をつくる設備などの設置・改修工事を行うことが主な仕事です。
「専門的には、給排水・衛生設備、空気調和設備などと呼ばれる分野です。これらがないと、建物ができても人が使うことができません。意識されることは少ないものの、とても重要な仕事なんです」
そう話す大坂郁人さんは、設備工事の仕事に就いて3年目を迎える、竹内設備のホープ。現場仕事も板についてきました。
「作業には慣れてきたものの、まだまだ勉強不足。上司、先輩から教えてもらうことばかりですが、2年間の経験を経て、主要な設備工事の業務知識は着実に増えてきました。これからは、工事の技術を磨いていく段階だと思っています」
そう話す表情が、引き締まります。フレッシュさと同時に、すでに少しだけ貫禄もついてきた21歳です。
専門知識を活かして作業をこなすとともに、
センスを活かして美しい仕上がりを追求。
北海道も夏には猛暑が続くようになり、エアコン不足がニュースになるなか、室内で取り付けている映像をよく目にします。その工事には、配管の中の空気を抜く真空引きと呼ばれる作業や、冷媒というガスの充填など、専門的な知識と技術が必要です。
「エアコン本体、壁などに取り付ける屋外機の設置とともに、そうした作業を的確に行うことが最低限の仕事。まずは、その基礎知識が必要になりますが、同時に、プロとしてはそれだけではだめだと考えています」
冷風や温風が正常に出て、涼しさ、暖かさをもたらしてくれれば、エアコンとしては合格ですが、プラスアルファとして、いかにきれいに収めるかがプロとして大切なことなのだと大坂さん。
「配管や配線は、そのままだと見栄えがよくないので、モールと呼ばれるカバーを取り付けて化粧=目隠しを施します。どう仕上げるかは、担当者のセンス、力量次第。先輩の指導も受けつつ、自分の感覚も活かすことができるんです」
仕上がりの美しさを含めて、快適に過ごせるビルや住まいづくりに関われることがうれしいと話します。
一つのものが完成していくという
おもしろさに惹かれて入社を決意。
地元の高校を卒業し、同じく地元にある竹内設備に就職した大坂さん。お祖父さんが電気工事士をしていたこともあり、早くから建築関連の仕事に興味を抱いていたのだそうです。
「型枠大工、鳶(とび)職など、学校に来ていた求人も目にするなか、最終的に当社を選んだのは、高校時代に1年間ほど、アルバイトをさせていただいた経験も大きいですね。エアコン取り付けの補助などを行い、自分が関わったものが完成していくおもしろさに魅力を感じたんです」
現場では誰もがやさしく、気さくに話しかけてくれたり、時には個人的な悩みを聞いてくれたり。そこで感じた温かさ、安心感も入社のきっかけになったと大坂さんは話します。ちなみに、社長は大坂さんと同じ高校(旧石狩高校)の出身。そこにもちょっぴりご縁を感じたそうです。
「資材を運んだり、現場の清掃をしたりが中心だったアルバイト時代とは違い、入社後は、技術者として設備工事に携わる責任を痛感し、最初は緊張しました。ただ、まず経験させ、それに対して修正点を指導するというスタイルでていねいに教えてもらえたおかげで、一つずつ着実に覚えていくことができましたね」
狭い天井裏での作業など、設備工事ならではの難しさも鋭意、経験中という大坂さん。大変さも含めて、日々、楽しいと笑顔を見せます。
配管の微妙な勾配がトイレの機能を左右。
現場を知るほどに職人技の奥深さを実感。
先輩の補助作業だけでなく、最近は一つの業務を任されることも増えてきましたが、経験を積み、現場を知るほどに、その難しさ、奥深さも見えてきたという大坂さん。
「たとえばトイレを設置する際は、漏水が起こらないように給水配管をしっかり締めるといった初歩的なことはもちろん、排水配管の勾配にも細心の注意が必要です」
排水配管には、トイレを使用した後の水が流れやすいように微妙な勾配(傾斜)をつけますが、その設定はまさに職人技なのだとか。勾配が緩いと水が流れにくく、逆に勾配がきつ過ぎると水だけが流れてしまい、汚物が詰まる原因になるそうです。現場で正確に計測しながら配管をつないでいく技術には経験に基づく調整が求められるのです。
「給水管などの設置が終わると、配管に圧力をかけて漏れをテストする空圧試験というものを行うため、失敗は起こらないのですが、完成後、引き渡しを経て初めて使う時には、ちょっとドキドキしますね」
といって笑う大坂さん。エアコンを設置し〝快適です!〟と感謝の言葉をかけられることもやりがいの一つ、と話します。
努力次第でどんどんスキルアップができ、
長くキャリアを積んでいけることが魅力。
竹内設備では、オフィスビルや病院から、ドラッグストア、家電量販店など、幅広い建築の設備工事を手がけています。多くの人が利用する施設に携われることも、誇りを感じるという大坂さん。工事は道内全域に及びます。
「日高の牧場では、スタッフの寮のエアコン工事にも携わりました。休憩時間にコンビニに行くと、道路を馬が歩いていて、びっくり(笑)。知らない土地で、いろいろな経験ができることにも、おもしろみを感じます」
泊まり込みの出張では、社長や先輩に地元のおいしいものを食べさせてもらうことも楽しみ、と大坂さん。入社後に太ったと笑います。この2年間で、高所作業車の操作や足場の組立など、業務に必要な資格を数多く取得してきたという大坂さん。直近では、電気工事士や配管を扱う資格なども目指しています。
「努力次第でスキルアップし、携われる仕事を増やしていけることも、この仕事の良さだと思っています、70代のスタッフもおり、長くキャリアをつんでいけることも魅力ですね」
どんな分野の工事もできるオールマイティな技術者を目指したいという、前向きな大坂さん。会社の期待を一心に受け、今日も現場に向かいます。
シゴトのフカボリ
設備工事技術者の一日
8:00
出社、社用車に乗って現場へ出発
9:00
作業開始
10:00
休憩
10:30
続きの作業
12:00
昼食・休憩
13:00
次の現場へ移動
13:30
作業開始
15:00
休憩
15:30
続きの作業
17:00
帰社、片付け、日報の作成、翌日の作業準備
18:00
帰宅
シゴトのフカボリ
拝見!オシゴトの道具
水平器とパイプレンチ
トイレなどの配管の勾配や、エアコンの背板の取り付けの際、水平や傾きを知るために使う水平器(写真手前)は必須アイテム。これがなければ正確な仕事ができません。パイプを挟んで回し、つないだり、外したりするためのパイプレンチ(上)と、継ぎ手という接続部分の作業に使うコーナーレンチ(下)も、手足のような道具です。
シゴトのフカボリ
みなさんへ伝えたいこと

設備工事は、知識を身につけるだけでなく、現場を経験して技術を磨く必要があります。日々、携わる一つひとつの作業を正確に迅速に行えるよう心がけ、どんな状況にも対処できる「一流」と呼ばれる職人を目指します!

株式会社竹内設備

2009年に設立し、石狩市を拠点として道内全域で給排水・衛生設備工事、空気調和設備工事からダクトの保温・保冷工事まで幅広く手がけています。

住所
北海道石狩市花川北1条3丁目137番
TEL
0133-62-9491
URL
http://takeuchisetsubi.co.jp

お仕事データ

機械を使った暮らしと産業を守る
機械設備メンテナンススタッフ
機械設備メンテナンススタッフとは
機械設備の安定稼働を支え
暮らしとビジネスの安心を守る。

住まいや店舗、工場、一次産業などで使われるさまざまな機械設備について、設置や修理、メンテナンスを行う仕事です。機械設備が壊れると「生活が不便」「営業ができない」など影響が大きくなるため、故障が発生した時にはスピーディーに対処したり、定期的なメンテナンスでトラブルを未然に防いだりするのが主な仕事です。現地での対応が難しい場合は一度製品を回収し、工場などで修理を行うこともあります。
機械の老朽化など、修理が難しいと判断される場合は、新しい機械への買い替え提案なども行います。

機械設備メンテナンススタッフに向いてる人って?
「なぜ?」「どうして?」を
深く掘り下げる探究心がある人。

一口に修理やメンテナンスと言っても、作業内容は多岐にわたります。消耗部品の交換や発生頻度の高いトラブルであれば、マニュアルなどを見ながら対応することが可能ですが、老朽化した機械が故障したり、原因不明の不具合が生じたりした場合は、自身の経験や同僚のアドバイスを頼りにして、自ら問題を解決していかなければなりません。
こうした仕事で大切なのは、表面的な知識を覚えるのではなく、「なぜそうなるのか」「別の場合はどうか」など、物事を追求して理解を深めようとする向上心。日頃からそのように習慣づけることで、さまざまな故障やトラブルに対応できる経験が積み重なっていきます。

機械設備メンテナンススタッフになるためには

機械設備を製造しているメーカーや販売代理店に入社したり、修理・メンテナンスを専門に行う会社に入社することで、この職業に就くことができます。多くの場合、職場の研修やOJTを通じて業務に必要な知識や技術を習得します。
仕事をするために資格は不要ですが、機械設備のメンテナンスに関係する資格として、国家資格の「技術士」、国家検定の「機械保全技能検定」などがあります。

ワンポイントアドバイス
修理メンテのプロになれば
長く活躍することができます。

機械設備には定期的なメンテナンスや修理が欠かせません。どんな機械設備を扱うかは担当する業界によって千差万別ですが、一度身に付けた知識や経験は他の業界の機械設備でも応用できることが多いです。あらゆる機械に精通したプロフェッショナルとなれば、長く活躍していけるでしょう。