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佐々木 香織さん
インタビュー公開日:2025.01.09

新しい学校で、
新しいことに挑戦したい!
高校生活は、一瞬で通り過ぎてしまう大切な青春の時間。その中で、専門教科を教えるだけでなく、部活動や学校行事のサポート、さらには生徒一人ひとりの進路支援も行う高校教師。そんな多忙ながらやりがいのある仕事をされているのが、今回ご紹介する佐々木香織先生です。
佐々木先生は、教職に就いて最初の7年間、市立札幌豊明高等支援学校で担任業務の傍ら作業学科では紙工、工業、クリーニングを担当しました。しかし、その後新しい挑戦を求めて、開校予定の新設校市立札幌みなみの杜高等支援学校への異動を希望します。
「新設校の立ち上げは異動の時期である3月から始まりました。異動が決まったときは本当に嬉しかったですね」と語る佐々木先生。当時、異動が決まる1年前から「新しいことを始めたい」という気持ちが心の中にあったそうです。「前例があると動きづらいことも多いので、あえて新しい環境で挑戦してみたい」と考え、みなみの杜高等支援学校への異動を決意したのだそう。そして、現在、この学校で8年目を迎えています。

※高等支援学校〜知的障がいのある生徒が企業就労を目指して就労スキルなどを学ぶ特別支援学校
教師が自ら体験し、
生徒のインターンシップを支える。
佐々木先生は、現在「進路支援部(校務分掌)」と「職業ゼミ(今年度新設教科)」の授業、さらに「陸上部顧問」という多岐にわたる業務を担当しています。
その中でも進路支援部は、生徒の進路を支える重要な役割を果たしています。学校全体で進路支援を行う中でも、佐々木先生たちは生徒のインターンシップの調整や新しい企業の開拓、さらにインターン後のフォローアップを担当しています。
「例えば、インターンシップの受け入れ可能な企業を見つけて、生徒たちの希望や適性に合いそうな企業を提案します。それぞれの企業と生徒がうまくマッチするように面談を行い、一緒に進路を考えるんです」と佐々木先生。さらに、卒業後の支援も行っており、企業訪問をして困りごとを相談したり、必要に応じてアドバイスやフォローアップを提供しているそうです。
「開校当初は、授業内容や3年間のカリキュラムをゼロから作り上げる必要がありました。私はインターンを見据えながらも企業から直接、作業工程などを学んだ上で授業計画を作成していました」と振り返る佐々木先生。手探りの状態から、自ら学んで、生徒のために新しい環境を整えてきたそうです。
向き合う数が多いからこそ
生徒との信頼関係が厚い。
佐々木先生に、進路支援を通して感じるやりがいについて伺いました。
「一番のやりがいは、生徒一人ひとりに人生のターニングポイントを作るお手伝いができることです。それぞれの生徒に合った企業を探すため、企業開拓は常に欠かせません。だからこそ、生徒の希望とインターン先の企業がうまくマッチしたときは、本当に嬉しいですね」と笑顔を見せます。
生徒の希望する進路を卒業時に得られるように、学校では2年生の後期から、生徒・保護者・担任・実習担当または進路支援担当が参加する四者面談を行い、計画的に準備を進めるそうです。
「私たちの学校では、生徒と教師が向き合う機会がとても多いです。そのため、学習内容も生徒一人ひとりの特性に合わせて工夫しています」と話す佐々木先生。さらに、校訓である「らしくあれ」の精神に基づき、生徒自身が『自分らしさ』を追求し、やりたいことを自由に挑戦できる環境を整えています。
特に印象的なのは、コース自体を生徒と一緒に作り上げていること。「生徒が『これをやりたい』と思ったときは、じっくり話し合い、生徒の発想を取り入れて一緒に形にしています」
このように、生徒たちが自分のアイデアを実現できる環境があるからこそ、教師と生徒の距離は近く、信頼関係も非常に厚いと感じられます。
生徒の夢を支えることは
自分のミッションでもある。
新しいことを始めて分かった、大切にすべきことについて尋ねると、
「人との『関わり』です。生徒の進路をサポートするためには、企業と学校の垣根を越えて架け橋になることが必要です。例えば、生徒がインターンをする際には、企業に受け入れ環境を整えたり、社内での理解を深めてもらえるよう協力をお願いするなど、『関わり』を大切にしています」と話す佐々木先生。これは、学校が開校した当初から続けている姿勢であり、現在も変わらない信念だそうです。
仕事へのモチベーションについては、
「『現場にヒントがある』。これは毎日実感しています。企業の現場から進路支援について教えていただくことがとても多く、学びの連続です。生徒の進路や夢がかかっているので、現場での実際の業務と授業内容に差が出ないよう常に気を付けています」
進路支援は、高等支援学校の教師としての役割であるだけでなく、佐々木先生自身にとっても「自分のミッション」だといいます。その真摯な姿勢は、生徒の未来を本気で支えようとする強い意志を感じさせます。
じっくり向き合う時間が
生徒の未来をつくる。
最後に、佐々木先生に今後の目標について伺いました。
「生徒一人ひとりに時間をかけて関わることは、これからも自分の軸として続けていきたいですね。世の中は常に変わり続けています。その時代に合わせたニーズに対応しながら、多様な人材が活躍できる社会の実現を目指したいです」と、決意を込めた表情で語る佐々木先生。
「この仕事の推しポイントは、人との出会いがたくさんあること。それは生徒だけでなく、お世話になっている企業さんも含まれます。いろいろな人と繋がれることは、この仕事ならではのやりがいです。生徒一人ひとりにじっくり向き合い、それぞれの目標を一緒に立てていくので、人と深く関わりたい人にぜひ勧めたいですね」と笑顔を見せてくれました。
生徒とじっくり関わることは、生徒を深く理解することに繋がり、また、生徒の進路実現への架け橋となる。それは、生徒にとって新たな一歩を踏み出す勇気となるんです、と情熱に満ちた表情で繰り返し語っていました。



※取材場所 市立札幌みなみの杜高等支援学校(札幌市南区)
※取材 市立札幌新川高等学校有志
・writing 矢内 このはさん(1年)
・photo   柴田 有優生さん(2年) 堀 愛佳さん(1年)
シゴトのフカボリ
高校教師の一日
7:30
出勤・授業準備
8:20
職員会議・生徒登校
8:45
進路支援部打ち合わせ
9:00
授業/外勤
12:30
給食
13:00
授業
16:00
放課後・企業との打ち合わせ
16:30
退勤

シゴトのフカボリ
みなさんへ伝えたいこと

自分の中の軸やルーツを大事にしてください。それが『これがあるから自分は活躍できる』という自信や根拠になると思います。今までの経験を振り返ることで、自分を深く知るヒントが見つかるはずです。そして、やりたいと思ったことは夢や憧れで終わらせず、ぜひ挑戦してみてください!

市立札幌みなみの杜高等支援学校

2016(平成29)年に開校した札幌市立の高等支援学校。校訓である「らしくあれ」をモットーに、生徒一人ひとりの個性を大切にした教育を行っています。おもてなしの心や感謝の気持ちを育み、地域に根ざした学校づくりを目指しています。

住所
北海道札幌市南区真駒内上町4丁目7番1号
URL
https://www.minaminomori-h.sapporo-c.ed.jp/

お仕事データ

授業や学校行事の運営を。
学校教師
学校教師とは
児童や生徒一人ひとりと向き合い、
学習や生活を指導する仕事。

公立・私立の学校で、生徒に学習や生活を指導するのが学校教師。満6~12歳の児童を対象にした「小学校教師」と国語や数学、英語など単一教科を専門に生徒に教える「中学校教師」「高校教師」に分けられます。学校教師の仕事は多岐にわたり、授業はもちろん、担当クラスの受け持ちや、部活動の顧問として活動することも。また学校行事の運営や地域社会との協力活動なども仕事のひとつ。子どもたち一人ひとりと向き合うことは大変な反面、やりがいも多く感じられます。

学校教師に向いてる人って?
面倒見の良い性格で、
指導力を発揮できる人。

学校教師は、児童や生徒に対し責任感を持って向き合える面倒見の良い人に向いているでしょう。さまざまな仕事を抱えながらも、日常生活の小さな問題解決から、進路についてのアドバイスなど、その都度一人ひとりに対して根気強く向き合う辛抱強さも求められます。また児童や生徒を引っ張っていくための指導力も必要です。

学校教師になるためには

学校教師になるためには「教員免許」が必要です。具体的には、小学校教師は「小学校教諭免許」、中学校教師は「中学校教諭普通免許」、高校教師として働くためには「高校教諭普通免許」と、それぞれの教員普通免許を取る必要があります。資格取得後は、公立・私立で採用方法は異なりますが、各施設が実施する教員採用試験に合格すると晴れて学校教師として働けるようになるでしょう。

※教員免許の取得については、詳しくは文部科学省のホームページをご確認ください。http://www.mext.go.jp/

ワンポイントアドバイス
ところで副担任の仕事って?

副担任は、担任をサポートしながら学級運営に携わっていく教員。担任が休みの日は代わりにホームルームを開いて生徒の生活指導を行い、出欠の確認をすることもあります。担任と比べて副担任には自由な時間が多く、一人ひとりの生徒と密に関わりやすいというメリットも。そうしてより良い関係を作り、スムーズな学級運営を進められるように担任をフォローするのが副担任の役割です。

この仕事の求人例