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農協職員_森田 竜人さん
インタビュー公開日:2026.05.27

組合員である農家さんのための組織。
農作業が始まる季節に感じる高揚感。
「今ごろ(4月中旬)はちょうど、米の播種(種まき)が始まる時期です。農家さんでは発芽した種籾(たねもみ)を、育苗箱と呼ばれるプラスチック容器に蒔いて、田植機で植えられる大きさの苗まで育てるのですが、そのための土が大量に必要となります。5月には大豆が始まりますので除草剤、夏は殺虫剤やカビを防ぐ農薬の需要が高まります」
天候が気になるのか、時折、窓の外に目をやりながらそう話すのは『ながぬま農業協同組合(JAながぬま)』の資材部に勤務して5年目になる森田竜人さん。農業協同組合(農協)は、組合員である農家さんの農業技術の指導、肥料や農薬など必要な資材の共同購入、収穫物の販売などを行う組織です。金融事業(JAバンク)も扱っており、農家以外の人も利用することができます。
「3月から6月にかけては、米をはじめ農作物の栽培で最も大切な時期であり、農協職員の仕事も1年のうちで一番忙しくなります。早朝から、足りなくなった資材を『届けてほしい』と電話が鳴ることも珍しくありません」
雪も融けて暖かさが増し、それだけでもワクワクするような季節のなか、自分たちがサポートする農作業の1年が始まる。そんな高揚感のようなものが、その言葉からは感じられます。
農薬の共同購入・配送から始まる1年。
急ぎで届けるなど忙しいなかの充実感。
資材部営農資材課営農資材係。これが、森田さんが所属する部署の正式名称で、文字通り、農業を営むうえで必要となる各種資材を取り扱うセクションです。森田さんはここで、主に農薬の販売・供給を担当しています。
「メインとなるのが、農薬の共同購入です。冬になると各農家さんは、翌年の作物の選定・栽培方法・収支予算などを決める営農計画を立てます。そして、それに沿って必要な農薬を農協に予約していただきます。私たちは、そのオーダーを取りまとめて農薬メーカーなどに発注。そして春になると、入荷した大量の農薬を、農家さんごとに仕分けして、配送するというのが年間の最初の作業になります」
農薬や資材の配送は、専門の職員が行うほか運送会社にも委託して行われます。また、森田さんは普段、農協本部から歩いて1分ほどの「資材センター」という店舗兼倉庫にいますが、そこに直接、農薬などを買いに来る農家さんも少なくないのだとか。
「足りなくなったものを急遽、買いに来る農家さんが、晴れた日にはひっきりなしにやってきますし、『悪いけど、もってきて!』と呼び出されることもあります(笑)」
そのため、特にこの時期は忙しいと言いつつ、どこか充実した様子にも見える森田さんです。
農業、農協への親近感もきっかけに、
JAカレッジで多数の資格を取得し入組。
森田さんは、『ながぬま農業協同組合』がある長沼町の出身ですが、農業と直接、関係があったわけではありません。地元の長沼高校を卒業後は民間企業に就職して工場で勤務し、この農協には転職で入組しました。
「3年間ほど工場で働くなかで、違う世界も見てみたいと思うようになり、転職を決意。ちょうどそんな時期に、農協で働く友人から仕事の話を聞く機会があったのと、祖父が実家の隣で麦や大豆を栽培しており、農業、農協には親近感があったことも入組のきっかけとなりました。また、JAカレッジという学校があったことも魅力に感じた一つでしたね」
JAカレッジとは、一般財団法人北海道農業協同組合学校の愛称で、JA職員として必要な知識や実務を学ぶ1年間の教育機関です。高卒以上27歳未満であれば受験することができ、将来、JAの中核を担う人材育成の場として多くの学生が学んでいます。
「JAカレッジでは農協の歴史、理念などを学ぶほか、実務に必要な資格を取得するカリキュラムがあり、とても興味深かったですね」
農薬を扱うために必要な劇物毒物取扱者をはじめ、フォークリフト免許、危険物乙種4類、ファイナンシャルプランナー、ワープロ検定など、実に幅広い資格を取得しました。
提案を喜んでもらえることがうれしい。
農家さんに合わせた的確な対応を心がける。
JAカレッジで学んだ後は、希望する農協の採用試験に臨みます。森田さんは地元にこだわり、首尾よくながぬま農業協同組合に採用となりました。そんな森田さんには、入組1年目に経験した忘れられない出来事があるといいます。
「ある農家さんに、電話で叱られたんです。トラクターのロータリーに使うボルトの注文でしたが、その種類についての農家さんの認識と、知識不足だった私の理解にズレがあって…。今は、普通にお話しする仲ですが、その時は電話対応の難しさを痛感しました」
農家さんは、農業のプロフェッショナルです。豊富な経験と知識を持っています。一方で、新しい資材や農薬など、まだ試したことのないものもあります。だからこそ、森田さんにとって「提案すること」も大切な役割のひとつです。
「私がお勧めした除草剤を使ってみたら、『これまでより草が減って作業が楽になった。調べてくれてありがとう』などと喜んでいただけると、やはりうれしいですね」
農家さんに負けないような知識を身につけ、頼りにしてもらえることも、やりがいにつながるのだと森田さん。決して嘘をつかないことと、急ぎのオーダーには農家さんごとの状況を判断して届けるタイミングを図るなど、的確な対応を心がけていると話します。
仕入れからアフターケアまで

農協ならではのサービスを届ける。
今や、農業資材を農家さんがインターネットで直接購入することも珍しくないそうです。それも時代の流れですが、だからこそ農協ならではのサービスが大事なのだと森田さん。
「共同購入で肥料を仕入れて販売するという話をしましたが、農家さんもどうしても忘れたり漏れたりすることがあります。そんな時、さまざまなルートを駆使して仕入れ、お渡しするとか、販売後のアフターケアにも力を入れ、農協から買っていただけるようなマインドをつくることも大切な仕事です」
資材を通して農家さんとの最前線に立つ『営業担当』という役割も担っています。
「収穫の時期には、農協職員の多くが農産物の受け入れ施設で作業を手伝います。資材の担当者は米などをフォークリフトで下ろす作業が中心ですが、普段は合わない職員と話し、一緒に作業するのも楽しいですね」
農機具のライトを煌々と照らし、夜遅くまで収穫作業を行っている畑を見ると、進捗や出来具合が気になるという森田さん。
「2021年にブロッコリーの集出荷施設が完成し、特産品として期待が寄せられています。農業も、それにともない農薬も変化していくものです。その動きを捉えるのも仕事ですね」
真顔で話したかと思ったら、農薬が積まれた倉庫へと風を切って走っていきました。
シゴトのフカボリ
農協職員の一日
8:15
出勤、注文などのメールチェック
9:00
注文の取りまとめ、請求書、見積書の作成
10:00
電話注文への応対、資材センターの店舗業務
12:00
昼休憩
13:00
小口の注文品を農家さんへお届け
15:00
伝票整理、各種支払いの確認
16:00
翌日の発送確認
17:00
退勤

シゴトのフカボリ
みなさんへ伝えたいこと

営農指導、資材、農産物の販売、金融、さらに管理部門と、農協にはさまざまな機能があり、それぞれの担当が力を合わせて、農家さんを支えています。その結果として、地域の農業を守り、振興していくという役割にやりがいを感じています!

シゴトのフカボリ
拝見!オシゴトの道具

カッターナイフ
農薬や肥料などは、崩れないようにバンドやラップで固定された状態で入荷します。それらを切って、バラす時に欠かせない道具で、常にポケットに入っています。特別なものではありませんが、なければ仕事にならない必須アイテムですね。

ながぬま農業協同組合(JAながぬま)

1994年に、北長沼農協と長沼農協の合併により誕生。麦、大豆の生産に取り組んできたほか、近年はブロッコリーの生産に力を入れています。地域に根ざした総合農協として、営農支援、農産物販売、金融事業などを通じ、農家さんと地域の暮らしを支え続けています。

住所
北海道夕張郡長沼町銀座北1丁目5番19号
TEL
0123-88-2223
URL
http://www.ja-naganuma.or.jp

お仕事データ

営利を第一にしないシゴト。
団体職員
団体職員とは
公益性の高い事業に携わり、
広く社会に貢献する職業。

団体職員という名称は法律で定められた定義はなく、「営利を第一に追求せず」に公共のための事業や公益性の高い仕事に従事する人を指す通称。一般には企業や公務員以外の非営利団体で働く人をいいます。活躍の場は芸術施設を運営する財団法人や環境整備を担う団体、防災コミュニティネットワークなどのNPO法人、JAや生活協同組合など、幅広い組織。総務や広報、施設運営など所属団体によって仕事内容はさまざまですが、いずれも広く社会に貢献するという手応えを得られます。

団体職員に向いてる人って?
社会のために働く意欲があり、
細かな確認作業や接客が得意な人。

団体職員の多くが公益事業に関わる仕事をすることになるため、人や社会のために働きたいという意欲がある人に向いています。また、団体職員が担う仕事には、事務作業も少なくないため、PCの操作や確認作業が得意な人は馴染みやすいでしょう。所属によっては接客をすることもあり、コミュニケーション能力のある親しみやすい人柄が求められることもあります。

団体職員になるためには

団体職員になるためには、一般企業と同じように、高校や専門学校、短大、大学などを卒業後、求人情報を出している団体に応募するのが一般的です。団体の中には、学歴や年齢制限、特別なスキルや資格、ある程度の職務経歴を求められるケースもあるので、まずは就職を希望する団体の募集状況をチェックしてみましょう。

ワンポイントアドバイス
景気に左右されにくい、
安定性がある仕事!

団体職員は「準公務員」ともいわれ、事業の公共性が高いという点は公務員と共通しています。そのため、景気の悪化などの影響を受けにくく、安定して働くことができるところもメリットです。非営利組織や団体は日本全国にあるので、仕事に安定性を求める場合は選択肢の一つとしてオススメできます。