三原 悠さん
インタビュー公開日:2018.02.22

とにかく楽しかった中学生時代。
そんな学校で働ける仕事を探して…
「中学時代が楽しくて、思い出もたくさんあって…。社会人になってもあんな活気に満ちた環境で働けたらいいな、と漠然と考えていました」そう語るのは三原悠さん。現在は札幌市立東白石中学校で学校事務の仕事に就いています。
「教員の道も考えた事はありましたが、自分が特定の教科を教えているイメージが湧かなかったんです。教育に関する職業を色々調べていると学校事務という道があると知り、教員とは違った視点で教育に携われることに魅力を感じました」
採用試験に向けて本格的に勉強を始めたのは大学を卒業したあと。1年間、アルバイトをしながら試験に向けて猛勉強をし、高い倍率をくぐり抜けました。
小・中・高校いずれかに配属
学校によってやることも違う!?
中学校の事務の仕事とは具体的にどのようなものなのでしょう?
「札幌市内の学校で共通する仕事内容は主に二つ。経理事務や学校施設物品の管理などの『財政に関する仕事』と、先生方の給与などの『所属職員に関する仕事』があります。具体的に経理事務では、生徒たちの豊かな学びと育ちを保障するために、市から配分される限りある予算を『何に』『どのように』『効果的に』使うかを考えます。整備した物が効果的に活用されることで、授業の効果向上や、先生方が生徒たちと向き合う時間も増えるなど、生徒や学校を良い方向に変化させていくこともできると思っています」
その他、東白石中学校独自の取り組みとして挙げられるのが、「ホームページの更新」「学校だよりの作成」「地域の人々や、校区内の幼稚園・保育園・小学校との連携」など。仕事内容は実に様々です。
より良い教育環境を造る!
意欲次第で変わる仕事の深さ。
三原さんは、毎日時間を見つけて学校内を歩き回って、ホームページに掲載するネタを探しています。
「基本的には、毎日の授業の様子や、学校行事・イベントの告知や事後報告などを伝えることが多いのですが、たとえば雪が降った時に自主的に雪かきをしている生徒の様子など、生徒たちの日常やありのままの素顔も、地域や保護者に向けて発信するようにしています。おかげ様で、生徒たちと話をする機会も増えましたね。」
また、そうして学校全体を毎日見て回る事で、改善すべき所が目に入ってくるそう。
「例えば机が古くなって穴が開いたり、生徒たちが教室の掃除に苦労していたりするのを目にすることがあるんです。それを見逃さず、天板を新しくしたり、全クラスの掃除機を導入したり。限りある予算でより効果的に教育環境を改善するために、どうしたら良いかをいつも考えています。事務職員の意欲次第で、学校を良くしていけるんですよ」
最新の教材や実物投影機などが導入され、授業に大いに役立っているのもひとえに彼の働きかけのお陰なんですと、1人の先生が三原さんへの感謝の思いを伝えてくれました。
どんなことでも前向きに捉えます。
全ては生徒たちの教育環境のため!
長年野球をやっていた経験から、野球部の顧問を務めているという三原さん。趣味の延長だと笑いますが、メインの事務の仕事だけでも忙しそうなのに、部活まで担当するのは大変ではないのでしょうか?
「もともと前向きな性格なので、大変と思うことはないですね。生徒とふれあうことは大好きですし、彼らの成長を目のあたりにするのは本当に楽しいものですよ」
学校の規模に応じて人数が決まる事務職員。三原さんの勤める東白石中学校は小規模でありながらも、地域連携・学校力向上を目的に加配で2人配置されています。
「学校の中で事務職員の人数は少ないのですが、孤立することはないですよ。ほとんどの仕事が教員・用務員などの学校職員や、保護者・地域のみなさん等多くの人と関わりながら進めます。また、『こういう事例があった場合、どのように対応したのですか?』と近隣の学校事務の方と連絡を取り合うこともよくあります」
学校からできるマチづくり!
生徒達は将来の札幌市を担う人材。
東白石中学校事務室での取り組みの一つに、職場体験学習のコーディネートがあります。体験後には、生徒たちによるレポートの発表会が開催されるそうですが、三原さんは毎回、生徒たちの気づきや成長ぶりに驚かされるそう。
「貧しい国の支援などを行う団体で職場体験をした子が、そこで見聞した話を他の生徒たちに身振り手振りを交えながら熱心に伝えていたり、保育士の体験をした子が姿勢を低くして小さな子供と同じ目線で話をすることの大切さをみんなの前で発表したり。わずか1日の体験なのに、生徒たちはさまざまな発見や感動を経験してくるんです」
生徒の成長に関わるという事は、将来の札幌市を担う人材を育てるということだと三原さんは言葉に熱を込めます。
「生徒たちと間近に接しながら、豊かな教育環境づくりを手がけていけるのがこの仕事の面白いところ。人間性豊かな子どもたちを育むことが、魅力的なまちづくりにも繋がっていくと信じています」
シゴトのフカボリ
みなさんへ伝えたいこと

自分の意欲や取り組み方次第で、生徒の教育環境を良くしていけるのが、この仕事の醍醐味。前向きにチャレンジすることが大切です。

シゴトのフカボリ
拝見!オシゴトの道具
デジタルカメラ
ホームページに掲載する写真や校内の気づきを撮影します。心あたたまる良いネタや教育環境の改善ポイントを探して、毎日カメラを持って校内を歩き回っています。

札幌市立東白石中学校

2016年で開校50周年。「すすんで、よりよい社会をつくる人になる」を学校教育目標とし、地域の近隣事業所での職場体験学習なども行っている。

住所
北海道札幌市白石区南郷通15丁目北4-1
TEL
011-864-0984
URL
http://www.higashishiroishi-j.sapporo-c.ed.jp/

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お仕事データ

学校の運営を支える大黒柱。
学校事務職員
学校事務職員とは
事務処理や管理業務など、
学校運営に欠かせない存在。

小学校や中学校、高校、専門学校、大学などで校内のさまざまな事務処理や管理業務に携わっているのが学校事務職員。具体的には、給与の計算や備品の管理、各種証明書の発行など多岐にわたります。テストの点数や成績の管理、時間割の作成や入学手続きなど学校特有の仕事もありますが、多くの場合は一般企業の事務職とそれほど変わらない業務内容といわれています。生徒や学生と直接関わることは多くないようですが、学校運営に欠かせない存在です。

学校事務職員に向いてる人って?
真面目で几帳面な性格であり、
好印象を持たれる親しみやすさも。

入学金の管理や財務処理にも携わるため、真面目で几帳面な性格の人は向いているでしょう。パソコンを使った仕事がメインになることから、WORDやEXCELといったOFFICE系のソフトを扱えるスキルも必要です。また、保護者や生徒・学生と接することもあるので、親しみやすい人柄は好印象を持ってもらえるはず。教員やスタッフとともに仕事を進めるコミュニケーション能力も大切です。

学校事務職員になるためには

学校事務職員になるための特別な資格はありませんが、少なくとも高卒以上の学歴を問われるのが一般的。公立の学校事務職員の場合は「学校事務」「教育事務」(自治体によって異なる)などの区分で、地方公務員採用試験に合格する必要があります。国立学校では国立大学法人等職員の採用試験への合格が条件。私立の学校事務職員はそれぞれで求人募集が行われ、一般教養試験や適性検査、小論文、面接などを行うことが多いようです。

ワンポイントアドバイス
「ホワイト」な職場環境で
人気が高まっている仕事。

国公立、私立を問わず、学校事務職員の勤務時間は8時30分ごろから17時ごろまでと規則的で残業も少ないようです。少子化により、今後しばらくは子どもの数が増える見込みはなく、学校を統廃合する場合もありますが、一般企業のような形で倒産することは少ないことから安定した職業の一つといえます。いわゆる「ホワイト」な職場環境ということもあり、近年は特に人気が高まっています。