白鳥 裕太 さん
インタビュー公開日:2019.08.09

感じよく接してくれた駅員さん。
自分もこうなりたい、と今の道へ。
電車や地下鉄を利用している人にとっては、身近な存在である駅員さん。今は地下鉄の駅員として働く白鳥裕太さんも、自分がお客として接していた時の印象から、今の仕事を目指すようになりました。
「高校生時代に、部活帰りに笑顔で挨拶をしてくれた駅員さんが、とても感じが良かったんです。人と関わる仕事がしたいと思ったのもあり、駅員の試験を受けました」
採用後は、1カ月半にわたる座学の研修を受け、地下鉄に関する法律や規則などをみっちり学びました。
駅員は覚えることがたくさん。
接客は特に重要な仕事です。
研修後は、いよいよ駅での勤務です。最初の1カ月半は、指導担当の先輩がついてくれて、現場で業務を学びました。
「地下鉄独自の標識から切符やICカードの決まりまで覚えることが多く、なかなか思うようにできなくて不甲斐なさを感じました。特に、接客は未経験だったので、慣れるまでは一番苦労しましたね。上司や先輩のやり方を見て、本当にプロだと思いました。一言目の声の掛け方で、お客様の反応が変わるんです」
札幌市の地下鉄では、お客様に気持ちよく利用してもらうためのおもてなしを徹底しており、白鳥さんも先輩を見習い笑顔の接客に努めていると、次第に感謝やお褒めの言葉をもらえるようになりました。
お客様の安全を守るため、
駅の中で外で活躍しています。
駅員の仕事は、実に多岐にわたります。混雑時はホームでのマイク案内や安全確認、一日の売上金を回収して確認する収納業務、券売機やゲートでの接客対応、急病人の対応など、お客様に安全に利用してもらうために必要な業務がいっぱいです。外の巡回も駅員の業務の一部で、夏は自転車整理、冬は北海道ならではの雪かきもしています。
札幌市の地下鉄は7つの管区に分かれており、担当エリア内の駅を行き来して勤務しています。日勤と泊まり勤務があり、泊まりの場合は最終列車を発車させた後、事務所で業務を行い、仮眠室で就寝。朝は5時20分に起きて、始発列車に備え準備を行います。
積極的に取り組める職場環境。
憧れの上司が目標です。
白鳥さんに、駅員に向いているのはどんな人か聞いてみると、「元気で素直、積極性がある人」。明るい接客が必要であり、体力勝負の仕事でもあります。さらに、「積極的に仕事に取り組んでいると、上司も認めてくれます。一生懸命やった上でのミスは責められないので、伸び伸び働けています」と、職場環境の良さも垣間見えます。
特に目標としているのが、現在担当するエリアの主任。「自分が上の立場になった時に、こんな風に部下に接したいと思っています。公社の野球部でも一緒で、プライベートでもお世話になっています」
ずっと駅で働きたい!
喜ばれる応対を目指して。
「これからも、ずっと駅で働きたいです」と白鳥さん。今後は大通駅やさっぽろ駅など、利用者が多い大きな駅でも経験を積んでみたいと意気込みます。
また、地下鉄全体で力を入れている、お客様へのおもてなしにも尽力していきたいといいます。お客様とは積極的に関わるようにしており、例えばお子様向けに用意している地下鉄のシールを手渡すと、とても喜ばれるとか。「地下鉄は、旅行者の方も大変多く利用されます。『札幌に来てよかった、また来たい』と言っていただけるような接客を心掛けていきます!」
シゴトのフカボリ
地下鉄駅員の一日
9:00
出勤・点呼
(体調確認、業務引継ぎ及び指示伝達事項の確認等)
9:10
事務室及び改札口(ゲート)での接客対応等
12:00
昼休み
13:00
駅構内の巡回、収納業務(売上金の回収、精査)等
17:00
夕ラッシュ対応(ホーム放送による安全確保、改札口トラブル対応等)
24:00
終業対応(シャッター閉扉、駅構内残留客確認等)
1:00
仮眠
5:20
起床、始発対応準備(シャッター開扉、各種機器の動作確認等)
7:45
朝ラッシュ対応(ホーム放送による安全確保、改札口トラブル対応等)
9:00
点呼・退勤(業務引継、次勤務の確認等)
(一例/泊まり勤務の場合)

シゴトのフカボリ
みなさんへ伝えたいこと

仕事を通して、何事も一生懸命やることが大切だと実感しています。全力でやっているから成長できますし、その頑張りを上司も見ていてくれます。

シゴトのフカボリ
拝見!オシゴトの道具

駅員の全てが詰まった「駅務手帳」
勤務中に携帯している手帳です。業務前の点呼の時に出勤確認を行ったり、その日の業務の注意点を書き込んだり、規則や外国語の対応表が付いており、毎日活用しています。

お仕事データ

電車を利用する人をサポート!
駅員
駅員とは
安全・正確な鉄道の運行を支え、
便利で快適な社会づくりに貢献。

人々の足として暮らしを支えている電車や地下鉄。そのダイヤに沿って安全・正確に鉄道を動かし、便利で快適な社会づくりに貢献しているのが駅員です。乗客の案内やホームでの安全確認、駅構内のアナウンス、緊急時の対応など多彩な業務を担当します。また、発券機や精算機の管理、売り上げの集計といった業務に関わる人も。駅員は鉄道サービスの世界では欠かすことのできない重要な仕事です。

駅員に向いてる人って?
時間の管理がキチンとでき、
安全第一に行動できる人。

鉄道は細かな時間の単位でダイヤが決められており、始発から終電までそれに沿って運行しなくてはなりません。自分のスケジュール管理やタイムマネジメントが得意な人は、駅員に向いているでしょう。また、鉄道サービスは大勢の乗客の命を預かることから、安全第一に行動できる責任感の強さも必要です。駅員は乗客と接する機会も多いため、コミュニケーション能力や臨機応変な対応力も求められます。

駅員になるためには

駅員として働くために特別な資格は必要ありません。高校や専門学校、短大・大学を卒業後、各鉄道会社や各都市の交通局などの採用試験に合格するのが一般的です。採用試験の内容は各企業によって異なりますが、将来的に幹部候補として働く「総合職」と、事務の仕事を中心に行う「一般職」、車掌や運転士として働く「現業職」といった区分で採用活動が行われることが多いようです。

ワンポイントアドバイス
駅員や運転士にも、
女性が増えてきています。

鉄道サービスに携わる仕事といえば、かつては男性の職場のイメージ。ところが、最近は人事や経理といった事務系の仕事だけでなく、駅員や運転士といった現場にも女性の姿が増えてきています。「お客様にサービスを提供する」という要素も強い仕事になるため、女性のきめ細やかな対応や気遣いが評価されるケースもたくさんあるようです。