橋本 虎大郎さん
インタビュー公開日:2022.11.30

「地図に残る仕事」というフレーズに
心が躍り入社を決意。
橋本さんのご出身は美幌町。中学卒業後は地元の農業高校に進学しました。
「だからといって、将来農業を仕事にしようとは思っていませんでした。ただ何となく…だったんです(笑)」
楽しかった高校生活は瞬く間。卒業やその先の就職が間近に迫る中、校内に貼り出された求人票の中に「芙蓉建設」という地元企業を見つけました。
「その時初めて土木建設という仕事があることを知ったんです。さらに詳しく調べると、道路を建設したり、農地の区画を広げたり、河川を改修するというダイナミックな工事だということも分かりました」
中でも橋本さんの心を惹き付けたのは「地図に残る仕事」という一節。確かに新たな道路が生まれたり、広大な畑の並びを変えたり、川の流れを整備すると、必然的に地図が書き換えられます。地図の中に自分が果たした仕事や役割が記されるわけです。
「やりがいの大きな仕事、達成感を感じられる職業だと思い、入社を希望しました」
会社の全面的な支援で
札幌の土木の専門学校に入学。
入社は2019年4月。すぐに現場に配属されるのかと思いきや、会社の方から「一年間、札幌の土木の専門学校で学んでみませんか」という提案が。
「農業高校出身なので、土木や建設の知識は全くなかったんです。先輩たちのように働きながら一つひとつ覚えていくという道もあるけれど、それよりも設備やカリキュラムが整った環境で、集中的に知識や技術を習得した方が結果的に早く成長できるのでは、というのが会社の考えでした」
しかも、授業料や教材代金、札幌への引越しの費用などは全て会社負担。おまけに通学する期間は、給与も支払われるという好条件付き!
「手取り15万円ほどになるので、下宿代や食費等の生活費もまかなえます。僕自身も専門学校の講師という教えのプロに習った方が理解も早いと思い、入学させて頂くことにしたんです」
そこから一年間、橋本さんは札幌工科専門学校の学生として土木の基礎から用語、道具や設備、測量、工法などを学びました。
「カリキュラムが充実しており、授業もとても分かりやすかったです。一年という短期間ですが、自分でも驚くほど土木の知識や技術が身につきました」
公共工事を安定的に受注。
各種制度の整備でホワイト企業へ。
橋本さんが所属する芙蓉建設は、美幌・北見を拠点とした道東エリア、岩見沢を拠点とした道央エリアで、農業土木工事、道路の維持や拡幅工事、さらに河川改修工事などに取り組んでいます。受注先は官公庁。地域の社会基盤の整備を長年担当しているため、信頼度は抜群です。
一方社内に目を向けると、少人数ながら社員間のコミュニケーションは活発。さらに社を挙げて働きやすい環境づくりに尽力している様子。
「上司や先輩たちはとてもフレンドリー。どんなことでも気軽に聞ける雰囲気が出来上がっています。また年間休日を増やしたり、有給や代休制度を整えたり、残業を無くすなど『企業のホワイト化』も強力に進めています。以前は土木建設会社は職人的な古い世界という印象がありましたが、この会社で働き始めて、そのイメージは180度変わりました」
こうした会社の取り組みが評価され、最近、北海道の働き方改革推進企業認定制度にて「シルバー認定」、退職金積立制度である建設業退職金共済事業本部からは名誉ある「理事長表彰」を受けたとか。
「働き方改革と聞くと大企業を思い浮かべますが、地方都市の小回りの利く企業だからこそ、スピーディーで効率的な改革が出来たのだと思います」
ICT・建設DXの設備機器。
簡単スピーディーな作業で残業ゼロ。
働き始めて橋本さんが驚いたのは、現代風の制度や福利厚生だけではありません。
「最初は農地の区画整備、現在は道路の拡幅の施工管理のサポートに取り組んでいるのですが、設備機器が非常に先進的なことに驚きました。例えば少し前なら測量は二人で行う手作業でしたが、今はGPS付きの最新機器にスマホを設置すればOK。一人でしかもあっという間に完了しますし、完成図面も3Dなので直感的に分かります。空からの撮影はドローン、工事状況の報告もスマホのアプリに入力するだけです。重い道具を持つことも、長時間の野外作業もありません」
こうした設備環境の進化は「ICT化」「建設DX(デジタルトランスフォーメーション)」と呼ばれ、人手不足の解消や省力化、残業の削減にも貢献する取り組みとして注目を集めています。しかし導入にはコストが必要なこともあり取り組む企業はまだ多くないようです。
「うちの会社はコストより社員の働き方を守ることが大切という考え。現場へは直行直帰が基本ですし、社内会議もZoomが主体です。こうした効率重視の職場環境もあり、年間休日は124日。残業も多くありません」
スマホやタブレット、PC作業が好き
そんな人こそ、土木建設の仕事を。
勤務する芙蓉建設は「施工管理」という現場監督の集団。野外での実作業のほとんどは協力会社に委託することもあり、必然的に橋本さんの仕事はパソコンの前が多くなるとか。
「公共事業は『エビデンス(証拠や証明)』を重視するため、書類の作成も多く、1日の大半はキーボードを叩いています。ただ使うソフトもシンプルですし、自分でイラストなども描けるため、作業自体はとても楽しいです」
橋本さんが最近感動したのは、社長の「土木建設の仕事は、今やIT産業です」という言葉。
確かに使う設備機器から日々のパソコン作業まで「IT企業に勤務している感覚」といっても過言ではないように感じます。
「こうした傾向はますます加速すると思います。土木建設はもう昔ながらの仕事ではありません。スマホやタブレット、アプリやPC作業が好きな人にこそ、この世界で働いてほしいと思いますね」
シゴトのフカボリ
拝見!オシゴトの道具

トータルステーション
スマホのGPSを活用し、ワンマンでの測量を可能にした設備機器。「かつては大変だった測量作業もこの機器のお陰で格段と手軽になったんです」
シゴトのフカボリ
みなさんへ伝えたいこと

社会人として成長するためには一人でも多くの人と接し、疑問を尋ねたり、体験を聞いたりしながら知識や情報を蓄えることが大切。
職場の最高の教科書は上司や先輩=「人」なんです。

芙蓉建設株式会社

およそ半世紀もの間、美幌・北見を拠点とした道東エリア、岩見沢を拠点とした道央エリアで、農業土木・道路・河川改修などの公共工事に取り組んでいる。

住所
北海道美幌町字東2条北1丁目12番地
TEL
0152-73-4314

お仕事データ

工事現場の司令塔
施工管理
施工管理とは
工事を円滑に進めるためには
欠かせない仕事。

建設工事や土木工事の現場で発注者と実際に工事を行う職人さんとの間に入り、人や資材の手配、スケジュール調整、予算管理など、工事を安全かつ円滑に進め、目的を実現するためのさまざまな業務を行います。大きな施設を建てるほど、工程も複雑になるため施工管理の重要性は大きくなります。

施工管理に向いている人って?
思い通りにならなくても慌てない。

現場での橋渡し役を担うことが多いため、コミュニケーション能力は欠かせません。スケジュールやお金の管理も行うので、計画的に物事を進められる人に向いている仕事です。工事には不測のトラブルもつきものなので、状況に合わせて対応できる柔軟性がある人も向いているでしょう。

施工管理になるためには

小さなリフォーム工事から大規模な土木工事まで施工管理の領域は広く、一般的には工事会社などに入社して、現場での仕事を覚えることになります。施工管理には「施工管理技士」という国家資格があり、工事の内容によって建築施工管理技士、電気工事施工管理技士、管工事施工管理技士など6種類に分かれています。大規模な現場の管理をするためにはこうした資格も必要となります。

ワンポイントアドバイス
分野が異なる工事でも活躍可能。

施工管理の仕事は一般的には馴染みが少ないのですが、工事現場には欠かせない仕事です。建設業界で働く上で「施工管理技士」の資格が役立つ場面は多く、取得しておくと出世や転職にも有利と言われています。

この仕事の求人例