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石川 亮太郎さん
インタビュー公開日:2019.07.19

牧場の仕事に興味を抱いたのは、
衝動という他ありません(笑)
白老町の石山地区。のどかな田舎道の突き当たりに、赤い三角屋根の牛舎や広い敷地で伸び伸びと過ごす牛たちが見えてきました。ここは黒毛和牛の繁殖(子牛を産ませること)から育成(子牛を育てること)、肥育(牛を太らせること)までを一貫して手がけるウエムラ牧場。ファームレストランや加工品まで展開し、多くの人においしさを届けています。
ここで牧場スタッフとして働く石川亮太郎さんは白老町のご出身。クルマに興味があったことから白老東高校の自動車科(当時)に進み、自動車整備士の資格を取りました。
「卒業後はガソリンスタンドに就職しました。人と接する仕事は好きでしたが、30歳の節目にふと新しいことに挑戦したいと思い立ったんです」
そんな時、石川さんが見つけたのはウエムラ牧場の求人情報。
「牧場の仕事にチャレンジしたくなったのは、もう衝動という他ありません(笑)。唐突な転職に妻も驚いていましたが、ウエムラ牧場の会社形態や労働環境、福利厚生に納得してくれました」
未体験の仕事に挑戦したいと、
上司に素直に伝えました。
石川さんは接客業の経験を買われ、入社からほどなくファームレストランに配属されました。ホール係としてお客様が喜ぶ姿を見たり、地方の催事で商品が売り切れるところを目の当たりにしたり、いかにウエムラ牧場の黒毛和牛が愛されているか感じたといいます。
「お客様の笑顔を見られるところがウチで働く醍醐味だと分かりました。けれど、入社前に思ったように、未体験の仕事に挑戦してみたいという気持ちが抑えられず…。半年ほどが経ったころ、マネージャーに牧場の仕事をやりたいと打ち明けました」
ウエムラ牧場は従業員の希望にできる限り応える柔軟な社風。レストラン部門の仲間たちに惜しまれながらも牧場や生産現場で働くことにOKが出て、牛のお世話をしたいという念願が叶いました。
一口に餌やりといっても、
牛に合わせた工夫が必要です。
石川さんが最初に担当したのは、お産を控えた母牛の面倒を見る分娩牛舎。まずは先輩方から牛の基本的な扱い方や体調管理の方法、何より自分がケガをしない作業の進め方をしっかりと学びました。
「例えば、一口に餌やりといっても工夫が必要です。気の強い牛がご飯を独り占めすることなく、皆に均等に食べてもらえるよう、餌を置く位置も考えなければなりません」
ウエムラ牧場では出産は獣医が担当します。石川さんは補助役に回りますが、それでも無事に生まれるかどうかは緊張の連続です。
「難産の場合は子牛を引っ張ることもあり、祈るような気持ちになります。一方、ウエムラ牧場では年間で一頭の母牛から一頭の子牛を生むのが目標。事故があっては経営に響くことも意識しなければなりません」
命を育み、命をいただいて
もらうことが僕らの使命です。
石川さんは分娩牛舎を3カ月ほど経験し、現在は子牛のお世話をする育成牛舎を担当。ここでの仕事は、肥育のステップに向けてしっかりと餌を食べられる丈夫な胃をつくることなのだそうです。
「牛は一頭一頭の性格も違えば、個体差もあるんです。餌のタイミングを変えるなど、どうやったらたくさん食べてくれるのか試行錯誤する毎日。だからこそ、よく見ることが大切。例えばいつもよりソワソワしていたら病気を疑ったり、時には触れてあげることで傷を見つけたり、観察することがいい牛づくりに直結すると思います」
ところで、自分が愛情を注いだ一頭が、やがて出荷されていくことに悲しみは?
「う~ん…ないというとウソになります。思わず涙ぐんじゃったことも(苦笑)。だけど、それが僕らの、そして牛たちの使命。育んだ命をいただいてもらい、お客様が笑顔を浮かべてくれるのが何よりのやりがいです」
畜産の現場のイメージより、
ハードではありません。
畜産の現場というと、生き物を相手にするだけに休みなく働くイメージ。実際のところはどうなのでしょうか?
「ウエムラ牧場は7時~17時の勤務時間で4週6休の好環境。牧場の人数が十分なことに加え、役割分担や牧草栽培の外注といった効率化も図っているからです。もちろん、夏の暑さや冬の寒さは大変ですが、会社組織としての運営がきちんとしているので、イメージよりもハードな働き方ではないと思います」
石川さんは以前に比べて子どもと過ごす時間も増え、自然の中で働くことで感性が磨かれたとか。
「僕は和牛の生産に携わるようになってからまだ1年未満。分からないことだらけですが、まずは一人前になって周りから信頼される人材になるのが目標です。いずれは、ウエムラ牧場の場長を目指したいと思っています!」
シゴトのフカボリ
牧場スタッフの一日
7:00
出勤
7:10
朝の餌やり/掃除
10:00
休憩
10:30
除角/去勢
12:00
昼休憩
13:00
夕方の餌の準備/場内の見回り/牛の体調管理
15:30
休憩
16:00
夕方の餌やり
17:00
退勤
シゴトのフカボリ
みなさんへ伝えたいこと

この仕事はやがて人の命となるおいしさをつくり上げること。これ以上ないやりがいを感じます。また、今までは当たり前過ぎて気がつかなかった季節の移ろいもたっぷり楽しめる仕事です!

農業生産法人白老和牛王国  
上村牧場株式会社

繁殖から育成、肥育までを行う北海道では数少ない黒毛和牛の一貫生産農家。ウエムラ和牛は脂のさらりとした甘味に加え、赤身の深い旨味を楽しめるのが特徴。「生産から製品まで、牧場内ですべて手がける生産者だからこそ、表現できる美味しさがある」をモットーに、記憶に残る味を紡いでいます。

住所
北海道白老郡白老町字石山109-20
TEL
0144-83-4929
URL
http://wagyu-oukoku.com/

お仕事データ

肉や乳製品、卵を生産。
畜産・酪農家
畜産・酪農家とは
牛や豚、鶏、羊などを育て、
人の命をつなぐ生産物を!

畜産・酪農家は牛や豚、鶏、羊といった家畜を育て、乳製品や肉、卵、皮革などを生産する仕事。肉牛や豚、鶏を飼養して畜産物(肉・卵など)を生産するのが畜産農家、乳牛を育てて牛乳や乳製品をつくるのが酪農家と大別されます。畜産農家は主に飼養する家畜の餌やりや体調管理、畜舎の清掃、理想の肉質に向けて太らせる作業などを行います。酪農家は乳牛のお世話に加え、搾乳、繁殖(生乳を出すために出産させる)、牧草の栽培などが主な役割。最近は乳牛と肉牛を飼育する「乳肉一貫複合経営」も増えているようです。

畜産・酪農家に向いてる人って?
動物が好きであることに加え、
家畜と根気強く向き合える人。

畜産・酪農家は牛や豚、鶏、羊などと毎日ふれ合う仕事。動物が好きな人には向いているでしょう。一方、力仕事が多かったり、家畜を病気やストレスから守るために日々チェックを欠かせなかったり、大変な作業も少なくありません。そのため、仕事に根気強く向き合う姿勢も求められます。生き物を相手にすることから、勤務時間や休みが不規則なケースが多いという覚悟も必要です。

畜産・酪農家になるためには

畜産・酪農家になるために必要な資格や学歴はありません。一般的には農業・畜産系の学科やコースを置く専門学校・短大・大学に進学し、知識や技術を習得する人が多いようです。また、家業を継ぐ他、中学・高校卒業後に牧場に就職し、餌やりや牧草づくり、農機具の扱い方などを現場で学ぶこともできます。畜産・酪農家として新規参入するには大きな資金や経営スキルが必要なため、まずは牧場で経験を積むのが第一歩でしょう。

ワンポイントアドバイス
担い手をサポートする自治体が増え、
牧場の労働環境も改善傾向に!

畜産・酪農家の戸数は減少傾向にある一方、日本の食糧を支えるために不可欠な仕事。そのため、担い手を呼び込むための誘致や支援、就農サポートを行う自治体も増えています。また、畜産・酪農家は休みなく働くイメージでしたが、最近は搾乳や餌やりをサポートする酪農ヘルパーを活用したり、牧草の収穫などを外部に委託するコントラクターを活用したり、労働環境の改善に力を入れている牧場も多いようです。

この仕事の求人例