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高﨑 和範さん
インタビュー公開日:2022.09.16

多くの人が利用する交通インフラ、
バスを整備するという重要な仕事。
「やってみたら、意外とすんなりできることが多くて。ちょっとした発見でした」
そう振り返るのは、北海道中央バス札幌整備工場の整備士、高﨑知範さん。子どものころから、何かをつくるのが好きだったことも関係するのか、整備の作業を始めてみると、手先が器用なことを自覚できたと話します。
通勤・通学に、買い物・レジャーに、帰省にも欠かせないバス。私たちの足として、日々、市街地を循環し、都市間を結んでいます。自家用車万能の時代ですが、利便性・安全性が高く、環境にもやさしいバスが、大切な交通インフラであることに変わりはありません。
「普段、何気なく目にするバス。それを、自分の手で整備しているんだと考えると、すごいことだなと思うんです」
入社6年目に入り、整備士としての貫禄もでてきた高﨑さんですが、多くの人が利用するバスを任されているという責任を改めて感じるのだと、引き締まった表情で話します。
年間に600台以上の車検整備を担い、
バスのスムーズで安全な運行を支える。
札幌整備工場が担っているのは、バスの車検整備業務。札幌の東区・北区と小樽や石狩を走る路線バス、高速バスなどが、年1回の車検時期に合わせて入庫してきます。工場の整備士はシャシ班、電気班、ボディ班というグループに分かれていて、高﨑さんはシャシ班。バスのボディを除く幅広い部分を担当しています。
「整備では、タイヤを外してブレーキ周りを点検したり、マフラーに破損がないか調べるほか、パッキンなどの劣化状況や、車内の手すりの状態などもチェックしていきます」
ブレーキの力を伝えるバルブなど、主に安全に関わる部分は、劣化の有無に関わらず車検のタイミングで交換します。こうした点検を行い、必要に応じて修理を行った後、さらに点検を経て工場内で車検業務が行われます。
「4人1組のシャシ班で、1日1台の車検整備を行うのが標準的な流れ。シャシ班は2班あるので、休日を除くと年間600台以上の車検整備を行っている計算になりますね」
そのおかげで、スムーズで快適なバスに乗車できると考えると、頭が下がる思いです。
工具を手に動き回る業務に興味。
やさしい先輩のもとで成長を続ける。
特別に車が好きでも、バスに興味があったわけでもなかったと話す高﨑さん。北海道中央バスで知人が働いているという友人からの紹介がきっかけで入社を決めたのだそうです。
「小学校から高校まで野球に取り組み、身体を使ってきていたので、身体を動かして働きたいと考えていました。そこで聞いた整備士の仕事。工具を手に動き回り、点検・修理を行うという業務に興味を抱きました」
知識、経験ともにゼロからのスタートでしたが、入社後の研修で点検箇所のバラし方などについて実習があり、教えられてやってみると、自然に作業になじめたのだと話します。
「整備業界は恐い職人がいて、怒鳴られて……というおっかないイメージもあったのですが(笑)、入ってみるとみなさん、やさしい方々。ただ、最初は迷惑をかけることばかりでした」
点検では、例えば班の4人のメンバーが一つずつタイヤを担当して作業を行いますが、先輩3人は完了しているのに、自分は終わらない……。ちょっと焦ったと振り返りつつ、照れる高﨑さん。そうした経験を繰り返しながら、成長を続けてきました。
慣れは禁物、慎重さが求められる仕事。
1日1台の車検を終えた時がやりがい。
高﨑さんは、ちょっとイレギュラーな業務も経験しています。
「私が入社した年は、バス車内の料金表示器を、デジタル化されたOBC(On Bus Computer)ビジョンへと切り替えるタイミングで、その作業のメンバーとなり、営業所を回って、一つひとつ交換作業を行いました」
それは仕事に就いて半年ほどのころ。まだ何もわからないなか、3カ月ほどかかって「数え切れないほど!」(高﨑さん)の交換作業を担いました。物量が多く、大変さも感じた一方で、多くのバスに触れ、愛着が深まったと話します。そして、仕事にも慣れてきた今、逆にその慣れが怖いと自覚する気持ちも強くなっているそうです。慣れるとつい、散漫になって怪我をしやすかったり、声かけを疎かにすれば事故につながる危険もあるからです。
やりがいは、1日1台の車検を終えた時に感じると高﨑さん。毎日、やりがいや達成感を得られる仕事はそうそうないかもしれません。
2級整備士の資格取得が当面の目標。
営業所で、後輩の指導にもあたりたい。
入社後、1年間の実務経験を経て3級整備士を取得した高﨑さん。今冬(2022年)、2級整備士の試験に挑みます。取得すれば、営業所への異動もあるのだとか。
「営業所では、両替機の故障など電気関係の知識が求められます。電気系については一から覚えなければならず、楽しみでもあり不安もある、というのが正直なところ。いずれにしてもまずは、2級取得が目標です」
新型のバスには近年、運転士が急病などを発症した際にバスを減速・停止させることができるEDSS(Emergency Driving Stop System)という装置がついています。こうした新しい装置・技術などについて、常に学んでいくことが求められるバス整備士の仕事。
「新しい知識を身につけ、異動があるなら新たな経験として吸収しつつ、後輩を教える立場としても活躍できるようになりたいですね」
先輩の自覚も芽生えてきた高﨑さん。ちなみに休日は、友人と出かけることが多いそうです。
「ほとんど自家用車。バスに乗ることは、あまりないですね」
ちょっと苦笑いのバス整備士さんです。
シゴトのフカボリ
バス整備士の一日
8:25
出勤、アルコールチェック、ラジオ体操
8:35
全体ミーティング、班ミーティング
8:40
車検整備作業開始
10:30
休憩
10:35
車検整備作業
12:00
昼休憩
12:50
車検整備作業
15:00
休憩
15:10
車検整備作業
17:30
作業終了、退勤
シゴトのフカボリ
拝見!オシゴトの道具
タイヤドーリー
車検整備のたびに脱着するバスのタイヤは1本40〜50kg以上。その作業を行うために必須の道具です。油圧ジャッキが台車に取り付けられている機械で、タイヤの運搬にも使います。
シゴトのフカボリ
みなさんへ伝えたいこと

車両を良好な状態に保ち、人々の安全・快適な移動を守るのが、バスの整備の仕事。技術を発揮するだけでなく、乗車される方を想像しながら、ていねいに、正確に作業を行っています!

北海道中央バス株式会社

1943年の創業以来、路線バス、高速バス、観光バスを運行するほか、不動産、旅行等々、地域に根ざした多角的な事業を展開しています。

住所
北海道小樽市色内1丁目8番6号(本社)
TEL
0134-24-3301
URL
https://www.chuo-bus.co.jp

お仕事データ

車のトラブルを未然に!
自動車整備士
自動車整備士とは
クルマの故障を修理し、
定期的な点検で事故を未然に防止!

乗用車やバス、トラックなどさまざまな自動車を整備し、故障を修理するほか、定期的なメンテナンスや調整、分解や組み立ても担当。仕事は大きく分けて「点検整備」、「緊急整備」、「分解整備」の3つ。「点検整備」は、車検や定期点検でベルトやブレーキの摩耗、オイルの状態などをチェックして、消耗した部品を交換。「緊急整備」は、急を要する事故や故障による整備・修理のことです。「分解整備」は「オーバーホール」と呼ばれ、エンジンやミッション(変速機)など自動車の重要な機器を分解し、点検して不具合や故障箇所などがあれば整備・修理します。

自動車整備士に向いてる人って?
最新の技術やメカニズムを
学ぼうとうする向上心が必要。

クルマや機械の構造・仕組みに興味があることは大前提。ここ最近は自動運転技術をはじめ、自動車業界の進化が目覚ましいことから、新しいメカニズムやテクノロジーを積極的に学ぼうとする向上心が必要です。自動車整備士の仕事には地道な作業も多いので、コツコツと取り組む忍耐強さも求められます。

自動車整備士になるには

国家資格の「自動車整備士」取得が必須。高校卒業後、国が定める自動車整備士養成学校(2年制の自動車整備士専門学校や自動車短期大学など)に進み、自動車整備士技能検定(二級)に合格した上でディーラーや整備工場などに就職するのが一般的です。4年制の専門学校や大学には一級の受験資格が得られるところもあります。また、養成学校を卒業せずとも、実務経験を重ねた後に資格を取得するのもOK。詳しくは国土交通省のホームページをご確認ください。
http://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_tk9_000003.html

ワンポイントアドバイス
自動車整備士の資格の種類。

実は自動車整備士の資格といっても種類はさまざま。レベルは「1級自動車整備士」「2級自動車整備士」「3級自動車整備士」があり、ほかにも各々の分野について専門的な知識・技能を有する「特殊整備士」も。一般的に求められる2級自動車整備士のなかでも、「2級ガソリン自動車整備士」「2級ジーゼル自動車整備士」「2級自動車シャシ整備士」「2級二輪自動車整備士」に分類されます。自動車の技術革新が進んでいる今、より高度な自動車整備ができる1級自動車整備士が注目を集めています。

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