松森  隼 さん
インタビュー公開日:2023.06.02

税務のサポートを通して経営を支援。
その実感に、やりがいを感じ始める。
税理士という仕事(資格)は聞いたことがあっても、どんな業務を行っているのかについては、知る機会はあまりないかもしれません。税理士法という法律によるとその業務は、税務代理、税務書類の作成、税務相談となっています。これらは、税理士にしかできない独占業務と呼ばれるもので、企業の適正な納税を支えることが大きな目的です。松森隼さんが勤務するフューチャークリエイトは、法人として税理士活動を行っている企業で、各種コンサルディングにも強みを持っています。
「企業や団体が、税に関する手続きなどを円滑に行えるようサポートしていくことが、私たちの仕事。日々のお金の流れを記録するとともに、決算書類などを作成します」
専門知識も必要になる税務を企業自身が行うのは難しいケースも多いため、その代わりに実務を行うのが松森さんたちというわけです。
「私たちが扱うのは主に数字ですが、それらは経営に直結するもの。お客様の成長を支えるという役割を担っているという実感に、やりがいを感じるようになってきています」
入社から1年半、仕事の意義と面白さに目覚めたと、生き生きとした表情で話します。

営業部門から記帳を行う部門まで、
各部門が業務を分担して税務事務を代行。
日々、帳簿をつけ、経費や売上をまとめた書類を作成。それらをもとに決算書類を作成して、税務署に申告する。企業のいわば一部門のような役割を担い、年間を通して関わっていくのが税理士法人の仕事ですが、フューチャークリエイトでは、独特のスタイルでサービスを提供しているとのことです。
「一人の担当者が、受け持った企業・団体の税務全般に関する業務をまるごと代行するというのが一般的です。これに対して当社では、業務ごとに担当者を置いて分業するというスタイルをとっています。私は『記帳代行』という業務のみを担当しています」
クライアントである企業の窓口となり各種の相談に応じる営業部門、営業で使う資料の制作部門、決算業務を行う部門、そして松森さんが従事している記帳代行部門と、それぞれが連携して一つの企業の税務事務を行うというのが同社の特徴。各部門で常に情報交換を行い、「担当者が不在で対応できない」という状況を減らしていくことを目指しています。
「当社には、興味がある、やってみたいという業務に就き、スキルを磨いていくことができる環境があります。また、関心をもった業務に移り、知識の幅を広げることも可能なんです」
お客様からの質問に答えることも。
「ありがとう」のひと言がうれしい。
松森さんは現在、さまざまな業種の企業を担当し、記帳代行業務を行っています。記帳代行とは、売上や経費など、企業の「お金の動き」を、もっとも間近で見ていく仕事なのだそうです。
「クライアントから請求書、領収書といった書類を受け取り、それらを正確に帳簿につけていくというのが、基本となる業務です。そして、業種やお客様によって帳簿のつけ方が変わってくるので、慣れが必要な部分も多いです。例えば1カ月間のお金の動き、会社の動きをわかるようにすることが仕事といえますね」
その結果をもとに決算書類が作成されるとともに、経営面の分析などを行い、営業担当者が企業に対して助言を行っていくという流れで、連携が行われていきます。
「記帳代行の業務にあたっては、お客様とお会いすることはほとんどないものの、電話で質問などをする機会はありますし、その際、例えば最近なら、秋から導入される予定のインボイス制度(適格請求書等保存方式)に関することなど、ご質問を受けることも増えてきました」
記帳代行の業務の範囲外ですが、自分なりに調べてみて、営業担当者に確認してもらい、直接、お答えすることもあるそうで、その際にかけられる「ありがとう」のひと言がとにかくうれしいと、目を輝かせます。
経理の知識で家業の役に立ちたい。
その思いが税務事務という道を開いた。
松森さんが税務の世界を目指すことになった理由には、ご両親が営む家業も関係しているのだそうです。
「実家は農家を営んでいます。特定の産品において、地域でも有数の品質を誇っており、ゆくゆくは、兄が継ぐことになっていますが、私も何かのかたちで事業の手助けがしたいと考えるなかで、経営数字に強くなれば、役に立つことができるのではないかと思ったんです」
農家に限らず、個人経営の事業では、適正な申告を行うための税務事務は負担になりがちなのだとか。両親が書類作成などに苦労する姿を見て、いつかそのサポートを通して、これまで育ててもらった恩返しがしたいと思うようになったのだと話します。
「この道に進みたいと話した時、父母がとてもうれしそうな顔をしてくれました。やはり負担もあったのだとわかり、改めて意欲も湧きましたね」
経理のことを学ぶための進路を検討するなかで、高校で説明会を開いた専門学校の担当者から、税理士・会計士という資格も目指せると聞き、進学を決めました。現在も、同じ学校の社会人コースで税理士資格に向けた勉強を続けている松森さんです。
お客様にしっかりと寄り添いながら、
誰からも頼りにされる存在になりたい!
資格取得を視野に入れながらも、最近、徐々に考え方が変化してきていると話す松森さん。
「税理士になることがお客様の安心や満足につながるのだと考えていたのですが、資格以前に、いかにお客様に寄り添い、仕事を通してメリットを還元できるかということを、大切にしていきたいと思うようになりました」
そんな松森さん、社内では委員会活動にも熱心に取り組んでいます。分業制で業務を行うスタッフが、仕事の領域を超えて交流する場としてさまざまな委員会が設けられています。松森さんが活動するのは「MVVC委員会」。
この委員会の目標は「中小企業をパワフルに!」という想いの【ミッション】、社員の関係性の質を大切にし、一人の天才ではなく「集合天才」を生み出す【ビジョン】、会社としてお客様に提供したい価値【バリュー】、行動や意思決定をするうえで意識してほしい「自律性・素直さ・コミュニケーション・ポジティブ・順応性」の5つの社内文化【カルチャー】、この【ミッション・ビジョン・バリュー・カルチャー】(MVVC)を社内に浸透させていくことだといいます。
「こうした活動の場のほか、業務でも、お客様からはもちろん社内からも『松森さん!』と頼られる存在になることが目標です」
柔和な印象のなかに、将来への前向きな思いが溢れています。

シゴトのフカボリ
税理士事務職員の一日
8:30
出勤、朝礼。部門内での共有事項の確認など
9:00
お客様から渡された資料をもとに記帳代行業務
12:00
昼休憩
13:00
記帳代行業務
15:00
委員会活動
16:00
記帳代行業務
17:30
業務終了、退勤
シゴトのフカボリ
拝見!オシゴトの道具
電卓
記帳代行業務にあたっては、学生時代から愛用し、手に馴染んだ電卓を使用。正確さとスピードが要求される仕事だけに、相棒のように慣れ親しんだ道具が欠かせません。
シゴトのフカボリ
みなさんへ伝えたいこと

ミスは、往々にして思い込みに囚われたりしたような時に起こります。うまくいかない時ほど、素直に見直すほか、先輩の意見を聞き、実践することを心がけています。そうすると、見えなかったことが見えてくるんです。

税理士法人 フューチャークリエイト

2007年に設立した税理士法人。「日本中の中小企業をパワフルに!」をミッションに、税務から企業運営全般に関するコンサルティングを行っています。

住所
北海道札幌市白石区東札幌4条6丁目4番12号
TEL
011-887-8058
URL
https://www.f-crt.com/

お仕事データ

「税」に関する専門家!
税理士
税理士とは
税務相談や税金の申告書の作成で、
社会に貢献する重要な仕事!

税理士は、企業や個人の税務相談や税金の申告書の作成などを行うプロフェッショナル。税金に関する法律やルールを専門的に扱い、お客様が税務上の問題を抱えた際にアドバイスをすることが求められます。具体的には、会計帳簿のチェックや決算書の作成、税務申告書の作成や提出など、幅広い業務を担当。税務相談の場合は、顧客の状況に合わせた最適なアドバイスをすることもあります。税理士は、税務に関する知識や専門性を生かし、社会に貢献する重要な仕事の一つです。

税理士に向いてる人って?
論理的思考ができて数字に強く、
倫理観や公正さも重んじられる人。

税理士に向いている人は、論理的思考ができ、数字に強い人。正確性や細かい作業が好きなことも素養の一つです。法律や税制についての知識を常に勉強し続けることが必要です。税理士には、コミュニケーション能力も必要。顧客とのやりとりがスムーズに行われるよう、分かりやすく説明するスキルも求められます。倫理観や公正さを重んじることも大切です。

税理士になるためには

税理士になるには、「税理士試験に合格し、2年以上の実務経験を積む」「税務署で23年以上勤務し、指定条件を満たす」「公認会計士または弁護士の資格を取得する」の3つの方法があります。最も一般的なのは大学の法学系、経済学系、経営学・商学系学部へ進学し、税理士試験の合格を目指す道のり(受験資格は学歴や実務経験によって細かく規定されているので注意が必要)。合格後、会計事務所や税理士法人に就職し、2年以上の実務経験を積んだ後、税理士としての業務を開始することができます。

※税理士試験について、詳しくは国税庁のホームページをご覧ください。
https://www.nta.go.jp/taxes/zeirishi/zeirishishiken/zeirishi.htm

ワンポイントアドバイス
国際税務に関するニーズが高まり、
コンサルティングも求められる仕事。

日本では企業や個人に対する税務の専門家である税理士が必要不可欠。また、税制改正の度に税理士の需要が高まる傾向にあります。近年では、国際化やグローバル化が進む中、企業の国際税務に対するニーズが高まっているため、その分野が得意な税理士も引く手あまた。法律や経営に関する知識も必要とされるため、コンサルティングの立場として求められるケースも増えています。