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水尾 朋香さん
インタビュー公開日:2023.11.17

新設される自動車専用道路の
除雪を行うための施設を担当
国際的なリゾート地として開発が進んでいる倶知安町のニセコエリア。夏のアクティビティ、冬には世界有数の雪質でウィンタースポーツを楽しむため、海外からの観光客が多く訪れるなか、札幌などからのアクセス向上のため、後志自動車道の終点・余市ICから倶知安町に至る倶知安余市道路が建設中です。
「私は現在、自動車専用道路(高規格道路)の除雪を行うための施設整備を担当しています。除雪車の車庫・作業員の詰所・融雪剤の保管庫からなる、全長約150mに及ぶ施設です」 
新しい道路の高架橋(脚の部分)のそばにある広大な現場で、基礎工事や型枠工事のようすに目を凝らす水尾朋香さん。きびきびと動いては、作業スタッフと何やら会話を交わしています。小樽開発建設部施設整備課というのが、水尾さんの勤務先です。
「小樽開発建設部は、北海道開発局の出先機関として、国が行う開発事業のうち後志管内で行われる治水事業、道路事業、港湾整備事業、農業農村整備事業、水産基盤整備事業、防災対策などを担っている組織です」
小樽開発建設部が担当しているのは主に後志エリア。施設整備課での仕事は、その名前どおり国の施設を整備すること、と話しつつ図面に見入っています。
国が実施する公共工事の管理をしつつ
現場のスタッフに学び知識を得る日々
国の施設のなかでも、開発建設部の施設整備課が担っているのは、インフラなどに付随する建物の新築工事・改修工事など。水尾さんがまさに今、携わっている除雪のための施設をはじめ、トンネルの照明などのコントロールを行う電気室、河川の増水に対応するポンプ車の車庫、ダムのゲートの制御を行う管理室等々、多岐にわたっています。
「魚を荷揚げする場所に架ける屋根など、港湾関連の施設も担当しています。これは、まさに屋根だけですが、集まってくる海鳥の糞を防ぐために必須の施設なんです」
いずれも、国が実施する公共事業なので、まず、業務や工事の入札(*)が行われます。そして担当する設計者・施工者が決まってからが水尾さんの出番。設計事務所と打ち合わせを重ねて図面を作成し、工事が始まると工程・品質・現場の安全などを監督しています。
「私たちは、国の施策に基づいて的確に工事を進めるための指導を行う立場ですが、まだわからないこともあり、作業スタッフに積極的に聞き、吸収することを心がけています」
絵を描いて工事の手順を教えてくれるなど、親切な作業スタッフが多く、とても勉強になっているのだと水尾さん。謙虚に、かつ貪欲に知識を得ながら、成長を続けています。


*国や自治体が工事や業務などを行う際に、それを請負うことを希望する企業等に、価格などを提示してもらい、そのなかから契約する企業等を決定する仕組み
職員宿舎の改修工事を通して得た自信と
試行錯誤の過程で感じた自分自身の成長
水尾さんは、ものをつくる仕事に携わりたいと考えて大学で建築を学びますが、道路など土木分野にも興味を抱き、〝地図に残るような〟施設に携わりたいと思うようになっていったそうです。
「国が実施する事業なら、そうした施設を担うチャンスがあるのではないかと考えたことが北海道開発局に目を向けたきっかけ。また、仕事とプライベートをはっきり分けたかったので当初から公務員を目指していました」
入局後は公共施設の設計などに携わり、2年目に留萌開発建設部へと異動。施設整備課の担当となって3年間を過ごし、今は小樽開発建設部でも同じ部署に所属しています。
「施設整備課では、北海道開発局の職員宿舎の建設・改修も行っています。留萌開発建設部時代、ある宿舎の外壁の塗り直しと屋根の防水工事を担当したのですが、上司が私に外壁の色決めを任せてくれたんです。迷いながらも、上司にアドバイスをもらいながら色を決め、完成した姿を目にした時、〝自分、頑張ったな〟と思えて自信につながりました」
改修工事は入居者が住んでいる状態で行うため、音の出る作業の時間が限られるなど、新築にはない難しさもありましたが、試行錯誤しながら解決していく過程を経て、自分自身の成長も実感できたそうです。
他部門のスタッフと話をするなかで、
知らない世界に触れられるおもしろみ
「車庫には、どんな除雪車が入るのか。作業員の詰所や融雪剤の保管庫では、どんな作業を行うのか。現在、担当している除雪のための施設では、そうした使う側の視点を知ることが大切になります。たとえ同じ除雪という用途の建物だとしても、現場ごとに設計条件は異なり、それに合わせて施設を整備していく必要があるんですね」
そのため、除雪に使う施設であれば、同じ小樽開発建設部の道路部門の担当者に話を聞きにいくことも多いそうです。先ほど話に出た港湾の屋根にしても、対象となる現場にはどのようなものが必要なのかといったことを、港湾部門の担当者にヒアリングし、設計を進めていきます。
「そうやって他部門のスタッフと話をする機会があることで、知らない世界に触れられることにも、私はおもしろみを感じています。自分の勤務先ながら、部署が違えば業務内容はわからないもの。北海道開発局が行っている幅広いジャンルの仕事について、理解を深められることが楽しいですね」
公共の建物については、基本となる仕様などは決まっていますが、その建物が使われる分野について知り、現場の状況を知ってアレンジを行うことで、いわば〝一品もの〟の建築をつくれることもやりがいに感じると水尾さんは話します。
北海道開発局だから建設に関われる
博物館・資料館などにも携わりたい
施設の整備は、設計を行う設計事務所の担当者、工事をする施工会社と密にやりとりをしながら進めていきます。他部門とのやりとりも多いなかで、経験を積むごとに人とのつながりの大切さを強く実感するようになったという水尾さん。
「日頃から、職場の誰とでも積極的にコミュニケーションを図ることを意識しています。そうすれば、業務もスムーズに進められますし、わからないこと、困ったことがあっても、お互いに相談し合える。そんな関係づくりができるよう常に心がけています」
水尾さんが施設整備課で今、携わっているのは、あまり知られることはないけれど、私たちの暮らしや産業を支える重要な役割を果たしている特殊な建築ですが、北海道開発局ではさらに多様な施設の建設も行っています。
「たとえば2020年に白老町にオープンしたウポポイ(民族共生象徴空間)のような、博物館・資料館などもその一つ。国が整備するこうした施設にも、将来的には携わってみたいとワクワクしています」
博物館なら、収蔵物の保管方法や展示方法などに関する知識も得ることができ、さらに知らない世界に触れられるからと水尾さん。北海道開発局だからこそ関われる建築のおもしろさ、奥深さを、目を輝かせて聞かせてくれました。
シゴトのフカボリ
国家公務員の一日
9:00
出勤。メールの確認、現場の図面・施工計画書など工事書類のチェック
11:30
現場へ出発
12:00
途中で昼食をとり、休憩後に現場に到着
13:00
現場事務所で設計事務所などと打ち合わせ
14:00
工事の進捗状況の確認
14:30
工事が仕様書通りに行われているかといった品質管理、現場の安全管理などを実施
17:45
終業、帰宅
シゴトのフカボリ
拝見!オシゴトの道具
ヘルメット・作業服
現場に入るための基本装備。いずれも、ごく一般的なものですが、これらを身につけると気持ちがシャキッとし、現場モードに切り替わります。ちなみに、最近のヘルメットはプラスチック製でとっても軽く、快適です!
シゴトのフカボリ
みなさんへ伝えたいこと

どんな仕事も一人ではできません。建築は、多くのスタッフの力が必要になりますし、専門分野を扱う他分野との連携も必須。コミュニケーションが良好なら、困った時でも自然にサポートし合うことができます。

国土交通省 北海道開発局 小樽開発建設部

北海道開発局の出先機関として、後志エリアにおいて道路、治水、港湾整備、農業農村整備、水産基盤整備といった幅広い事業を担っています。

住所
北海道小樽市潮見台1丁目15番5号
TEL
0134-23-5193
URL
https://www.hkd.mlit.go.jp/ot/index.html

お仕事データ

「国」に関わるスケールの大きなシゴト。
国家公務員
国家公務員とは
国民のために予算を有効に運用し、
暮らしやすい社会づくりに貢献。

国に勤務する公務員として、国全体に関わる業務を行うのが国家公務員。内閣府や財務省、法務省、外務省といった国家機関に在籍し、治安や外交、税金関係、農業、工業、商業、労働、厚生、社会福祉、教育、文化など、国全体の行事や国民に関わる業務の企画立案から手続き、運用、事務処理を担います。国家公務員の種類は大きく分けると総合職と一般職と専門職の3つ。総合職は制度や法律の改正案、政策案のとりまとめなど、いわゆる「キャリア官僚」。一般職はその実行・運営役を担うイメージです。一方、専門職は、「刑務官」や「国税専門官」などの専門的な知識を必要とする仕事。このように職種や業務内容の幅広さは国家公務員の魅力の一つです。ただし、いずれも、国民のために予算を有効に運用し、暮らしやすい社会に貢献するという使命があります。
※その他、選挙や国会の議決によって選出される大臣や副大臣、自衛官や裁判所職員といった「特別職」もあります。

国家公務員に向いてる人って?
国や国民に役立ちたいという思いが強く、
責任感も携えたリーダーシップが必要。

国家公務員は、日本国憲法によって「国民全体の奉仕者である」と定義されています。そのため、常に公正な視点を持ち、国や国民の役に立ちたいという奉仕の精神を人一倍持っている人に向いているでしょう。国の政策や法律に関わるなどスケールの大きな業務に携わることから、強い責任感を持って自ら進んでいけるリーダーシップも求められます。多くの仕事は日本の未来にも影響を与えることもあるため、グローバルな視野と柔軟な発想力も不可欠です。

国家公務員になるためには

国家公務員になるためには、国家公務員採用試験に合格することが必須。自衛官や裁判所職員などの特別職はそれぞれの機関が採用試験を実施します。国家公務員採用試験には、総合職試験(院卒者試験)・総合職試験(大卒程度試験)、一般職試験(大卒程度)、一般職試験(高卒程度)、専門職試験、経験者採用試験があります。合格後に希望する官庁を訪問し、面接試験に合格すると採用です。

※国家公務員の試験については、詳しくは人事院のホームページをご確認ください。https://www.jinji.go.jp

ワンポイントアドバイス
国家公務員を目指すなら、
英語を勉強しておくのもオススメ。

一般的な国家公務員を目指すにあたり、特別な資格は必要ありません。ただし、英検やTOEICといった英語力の証となる資格は有利に働くようです。というのも、グローバル化が進み、訪日外国人の数も増えているため、英語力の高い人はプラスの評価。平成27年度からは、「総合職試験(院卒者試験・大卒程度試験)」のすべての区分において、TOEFLやTOEICなど指定の英語試験のスコアに応じて、最終合格者の決定の際に一定の得点が加算されます。英語力を高めておいて損はないといえるでしょう。