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自動車整備士_成田 一樹さん
インタビュー公開日:2025.07.23

どんな車も修理できる
まちの頼れるドクターとして。
海のまち、余市町と小樽市銭函で1963年(昭和38年)から続く株式会社余市自動車工業は、軽自動車から大型車、特殊車両まで幅広く取り扱い、整備・点検や自動車保険など、車に関するあらゆるお悩み事を解決できる「マチの修理工場」として地域で親しまれています。
「余市も銭函も車が欠かせない地域ですし、潮風でサビやキズが発生しやすいので、車のお悩みを抱えている方が少なくないんです」
真摯な様子でこう受け答えをしてくれたのは、同社に勤めて9年目の成田一樹さん。工業高校卒業かと思いきや、意外にも水産高校のご出身だとか。
「父親の出身校だから…という単純な理由で入ってみたら、自分は船の上はあまり好きじゃないと気付いてしまって(笑)。実習でハワイ沖で1か月くらい船の上で滞在したことがあったんですけど落ち着かなくて、『やっぱり陸の方がいい』と実感。そんな時、授業でエンジンの仕組みを学ぶことがあって、元々車も好きだったし、機械いじりが好きだったのでいいなと思っていたら、ちょうど『未経験OK』の余市自動車工業の求人が出ていたので応募したんです」
失敗の分だけ、
成長スピードも早かった。
2016年4月、高校を卒業してすぐに余市自動車工業に入社した成田さん。授業で少しふれたことがあるとはいえ、知識はほとんどない状態からのスタートでした。
「当初は『職人の世界は厳しそう』というイメージを持ってて緊張していたんですけど、入ってみたら気さくで面倒見の良い先輩ばかりで。それどころか、若い自分を歓迎してくれて、今振り返るとかなり過保護に扱ってもらえたように思います」
入社してはじめに教わったのは、車の下回りのサビ止め塗装。そこからタイヤやオイル交換、車検のサポートやエンジンの分解…と、少しずつステップアップしていきました。
「一般的な乗用車で覚えると思っていたら、その時たまたま大型トラックしか整備工場に入ってなかったみたいで、いきなり大きく難しい車両から相手をすることになりました。でも大変な車から覚えたおかげで、結果的にその後ラクになったと思います」
半年で車検を任されるなど、先輩たちも目を見張る早さで成長していったという成田さん。しかしあるパーツを10個以上も壊してしまうなど、失敗も多かったそうです。
「タイヤの部分にハンマーで叩いて入れるパーツなんですけど、均等に力を入れていかないと上手くはまらなくて、何度も何度も壊しちゃって(笑)。でもそのたびに先輩が『壊すつもりで叩いて感覚を覚えて!』なんて、温かく見守りながら根気強く教えてくれたんです。この『失敗してもいい』という方針のおかげで、人一倍成長できたのだと思います」
人見知りを克服して
お客様に寄り添う整備士に。
成田さんは技術面での成長と同時に、意外な部分も変化していったと振り返ります。実はもともと、人と接するのに苦手意識があったとか。
「当社は修理・整備専門ですのでディーラーさんや中古車屋さんのようなフロントスタッフがいなくて、お客様とのやりとりも整備士が行うんです。自分もお客様と話す機会が自然と増えていったおかげか、気付けば世間話まで楽しめるようになってました。中には暑い中で作業していると『お疲れさま』って飲み物を差し入れてくれる方もいて、本当にありがたいと感じています」
整備する上でコミュニケーションは大切にしているそうで「車は高額だからこそ、お客様の要望に応え、きちんと説明する必要があります」と成田さんは続けます。
「どんな小さな修理や交換でも、とにかく直すのが余市自動車工業の特徴でもあるんです。ご連絡をくださる方の中には『この車じゃないとダメ』と現在乗っている愛車に強いこだわりを持つお客様もいて、中には『そろそろ買い換えをしたほうが…』という古い車もあるのですが、お客様のご要望にできるだけ寄り添い、希望通りに修理できるようなんとか工夫を凝らして修理してするのが自分の役割。これは厳しいかも…と思った車を修理して、やっとのことでエンジンがかかった瞬間、『この仕事をしていて良かった!』と実感します」
10年経ってもまだまだ!
奥が深い整備の仕事。
整備士の仕事は資格が必須と思われがちですが、実際には持っていなくても幅広い業務を行えるのだそう。成田さんも「三級ガソリン自動車整備士」の資格を取得したのは、入社から3年後のことでした。現在はさらなるスキルアップを目指しています。
「今はトラックも乗用車も、ほとんどの整備はできるようになりましたし、エンジンのオーバーホール(分解)も1人でできます。でも2級の整備士資格は持っていないですし、あと、最新のコンピューター診断についてもまだまだ勉強中。入社して10年近くになりますが、まだまだ奥が深くて勉強のしがいがある世界だと思います」
また、新たな分野への挑戦も視野に入れています。
「修理や整備だけでなく、板金塗装の技術も身につけて、『ちょっとぶつけちゃって…』みたいなご要望も叶えられるようになったらいいなと思っています。実は自分、綺麗好きなんですけど、だからこそ綺麗に仕上げることにはこだわれるかなあ、なんて…」
最近では友人から車の相談を受けることも増え、仕事以外でも技術が役立っているという成田さん。
「友達から『ちょっと車の調子が悪い』って電話がかかってくることが増えました。『車屋がいると心強いなあ』なんて褒めてもらえるのも、この仕事のいい所です」
働きがいのある環境で、
これからも成長していきたい。
余市自動車工業での働き方は朝8時から夕方5時までで、残業はほとんどありません。冬が本格化する前に除雪車の整備が立て込む時期があるそうですが、その際は板金担当の先輩たちも一緒にチームワークで乗り切るそうです。
「弊社は困った時は先輩たちが全力で助けてくれる安心できる環境です。一方で、チャレンジしたいことはどんどん任せてくれるし、数をこなしたり新しい資格を取得したりするとキチンと給料としても反映してくれるので、やりがいも充分です。どんなに綺麗事を言っても、働く上での安心感やお給料は大切ですから、自分は恵まれた職場環境にいるなと感じています」
自信に満ちた表情でこう応えてくれる成田さん。最後に、読者へメッセージをいただきました。
「若いうちは夢がない、やりたい事が見つからないという方が多いと思いますが、実際に手を動かしてみると見えてくるものがあります。自分はじっとしていられないタイプなので、体を動かすこの仕事を選んで正解でした。単純かもしれませんが、慣れ親しんだ地元で汗を流して、帰ったら美味しいビールを飲む。それだけで結構幸せです(笑)」
シゴトのフカボリ
自動車整備士の一日
7:40
出社
8:00
朝礼・作業開始
10:00
休憩(15分)
12:00
昼休憩(1時間)
13:00
作業再開
15:00
休憩(15分)
17:00
退勤

シゴトのフカボリ
みなさんへ伝えたいこと

どんな仕事も結局は「やって覚える」が一番!失敗を恐れて行動できないでいるよりも、失敗してでも行動して学んだほうがいいと思います!

シゴトのフカボリ
拝見!オシゴトの道具

ツールボックス
はじめは会社にあるものを使っていましたが、自分が使いやすくて気に入っているメーカーのものを少しずつ買い足していきました。いい仕事道具はモチベーションが上がります!

株式会社余市自動車工業

1963年(昭和38年)創業の自動車整備工場。整備から車検、板金、保険、ロードサービスまで、車に関するサービスをワンストップで提供。観光・スクールバス事業「北海道ハートバス」も展開。社員数は約200名。

住所
余市郡余市町大川町16丁目5番地(本社)
TEL
0135-23-4123
URL
https://www.41jiko.com

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お仕事データ

車のトラブルを未然に!
自動車整備士
自動車整備士とは
クルマの故障を修理し、
定期的な点検で事故を未然に防止!

乗用車やバス、トラックなどさまざまな自動車を整備し、故障を修理するほか、定期的なメンテナンスや調整、分解や組み立ても担当。仕事は大きく分けて「点検整備」、「緊急整備」、「分解整備」の3つ。「点検整備」は、車検や定期点検でベルトやブレーキの摩耗、オイルの状態などをチェックして、消耗した部品を交換。「緊急整備」は、急を要する事故や故障による整備・修理のことです。「分解整備」は「オーバーホール」と呼ばれ、エンジンやミッション(変速機)など自動車の重要な機器を分解し、点検して不具合や故障箇所などがあれば整備・修理します。

自動車整備士に向いてる人って?
最新の技術やメカニズムを
学ぼうとうする向上心が必要。

クルマや機械の構造・仕組みに興味があることは大前提。ここ最近は自動運転技術をはじめ、自動車業界の進化が目覚ましいことから、新しいメカニズムやテクノロジーを積極的に学ぼうとする向上心が必要です。自動車整備士の仕事には地道な作業も多いので、コツコツと取り組む忍耐強さも求められます。

自動車整備士になるには

国家資格の「自動車整備士」取得が必須。高校卒業後、国が定める自動車整備士養成学校(2年制の自動車整備士専門学校や自動車短期大学など)に進み、自動車整備士技能検定(二級)に合格した上でディーラーや整備工場などに就職するのが一般的です。4年制の専門学校や大学には一級の受験資格が得られるところもあります。また、養成学校を卒業せずとも、実務経験を重ねた後に資格を取得するのもOK。詳しくは国土交通省のホームページをご確認ください。
http://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_tk9_000003.html

ワンポイントアドバイス
自動車整備士の資格の種類。

実は自動車整備士の資格といっても種類はさまざま。レベルは「1級自動車整備士」「2級自動車整備士」「3級自動車整備士」があり、ほかにも各々の分野について専門的な知識・技能を有する「特殊整備士」も。一般的に求められる2級自動車整備士のなかでも、「2級ガソリン自動車整備士」「2級ジーゼル自動車整備士」「2級自動車シャシ整備士」「2級二輪自動車整備士」に分類されます。自動車の技術革新が進んでいる今、より高度な自動車整備ができる1級自動車整備士が注目を集めています。

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