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菓子製造_伊藤 達也さん
インタビュー公開日:2025.09.18

幅広いラインナップの菓子メーカーで、
加工包装と食品菌検査を担う10年選手。
「これを、着用してください」と手渡された不織布の白衣とクリーンキャップ、マスクを身につけて、手洗い、ゴミの除去、ブワッと風が吹きつけるエアシャワーを通って、現場に到着。そこでは、パートスタッフの方々が、テキパキと商品の箱詰めなどを行っていました。
「衛生管理は、食品製造の要。何よりも気を遣っています。ここは、製造の最終段階で、加工包装の作業をしています。私は、予定した数量を着実に仕上げるための管理業務を担当するとともに、一緒に作業も行います」
そう話すのは、函館市の菓子メーカー『昭和製菓』で働く伊藤達也さん。1967(昭和42)年に設立された同社は、洋菓子文化が早くから根付いた函館で、タルト、チーズケーキ、プリンやバター飴、ハッカ飴など幅広いお菓子を製造してきました。伊藤さんは入社10年。製造部門の最前線を支えています。
「焼き菓子から冷凍の生菓子まで、定期的に全商品の品質検査を実施しています。そのうち食品菌検査(細菌検査)と呼ばれる、病原菌の有無などの検出・測定する仕事も担当しています。高校時代に食品菌検査を学んだということで『抜擢』されたんです」
製品の安全管理に関しても、今やなくてはならない存在の伊藤さんです。
大手の菓子メーカーを早期に退職し帰郷。
地元で出会った自分らしく活躍できる環境。
伊藤さんが学んだのは、北海道函館水産高等学校。漁業に従事する技術を身につける学科、船舶機関の整備技術などを訓練する学科、食品の製造・販売に関する学科、品質管理を学ぶ学科の4学科があり、伊藤さんは品質管理を専攻。食品菌検査を経験しました。
「この高校で行っているウニの人工授精などの実験に興味を抱いたことと、食品関連分野の就職にプラスとなる資格を取得できることにも魅力を感じて進学しました」
食品に関する知識を認定する食品技能検定のほか、品質検査、包装技術の資格を在校中に取得した伊藤さん。卒業後は、大手食品メーカーに就職し、道外の工場に配属されますが、環境が合わず早期に退職。地元・函館に戻ることを決断します。
「ハローワークで求職活動を行い、昭和製菓のことを知りました。正直に言うと、一刻も早く職場を見つけたいと考えるなか、パッと目についた当社に応募したというのが実際のところ。それが、入社してみると見知ったお菓子がたくさん。高校で学んだことを活かせる環境もあり、運命めいたものも感じました」
就職はしたものの、すぐに辞めて帰ってきたことが恥ずかしかったと打ち明ける伊藤さん。けれども、そのおかげで自分らしく活躍できる職場が見つかったと話します。偶然のようでいて、必然だったのかもしれません。
手首の痛みで工場を離れたのを契機に、
多様な部署を経験した社内の『事情通』。
そんな伊藤さんの、最初の配属先は工場の現場。お菓子の生地をつくり、オーブンで焼き上げる仕事でしたが、実はこれも長くは続きません。中学、高校と卓球に打ち込んでいたという伊藤さん。酷使してきた手首は、腱鞘炎を発症していました。大量の砂糖を持ち上げたり、巨大なヘラで生地をかき混ぜたり。作業に慣れないなか、力任せに仕事をするうちに悪化し、痛みが出てしまったのです。
「仕事に支障が出る可能性もあったことから、上司に相談したところ、病状を心配していただき、倉庫業務へと異動になりました。とてもありがたかったですね」
昭和製菓では、製造から保管までを自社で一貫して行っています。商品を在庫として倉庫に入れ、オーダーを受けて出荷するというのが、伊藤さんが担った仕事でした。自社で在庫を管理しているのでスピーディーに注文に応えられ、計画的な生産もできるのだと、そう少し誇らしげに語ります。
「3年半ほど倉庫の仕事に携わった後、数カ月間ですが事務の仕事も担当し、その後、現在の加工包装部門に移っています」
腱鞘炎など、やむを得ない事情も背景にはあるものの、社内の主要部門を幅広く経験している伊藤さん。オーブンの調子が悪いと工場に修理に行くなど、『社内の事情通』として八面六臂の活躍ぶりです。
注文数により左右される包装室の業務量。
臨機応変、かつ綿密な準備が必要な仕事。
「現在、担当している加工包装部門は、加工室、包装室の2部門に分かれています。加工室で行っているのは、焼き上がってカットされたケーキをフィルム(内装)に入れていく作業。その日に生産された商品を、その日のうちに処理します」
生産の予定はわかっているので、加工室の仕事は業務量も明確で、計画を立てやすいことが特徴なのだとか。一方で、包装室の仕事は段取りが命、と伊藤さん。
「私は、加工室を3年経験した後、包装室に移って2年ほどになります。加工室でフィルムに封入された商品を化粧箱に入れ、さらに出荷用の段ボールに詰めるというのが包装室の仕事。出荷前の最終工程ですが、その日の注文に合わせて行う業務のため、日によって忙しさが変わります。そのなかで、いかに現場を円滑に回すか。臨機応変さが求められます」
そう話すと、心なしか表情が引き締まる伊藤さん。週末や連休前には注文が重なり、出荷数が膨らみます。化粧箱や段ボールなどの資材を準備し、予定・段取りを組み、シフト担当の上司と相談して現場に入るパートスタッフの人数を調整。「一つでもミスがあると、予定が全部崩れてしまいかねません」。現場の準備を最終的に決めるのは自分。それだけに、常に緊張感を持って臨んでいると力強く話します。
高卒後の『つまずき』がきっかけとなり
得ることができた、将来の明確な目標。
朝、パートスタッフの作業の段取りをつけたら、伊藤さんは製品ごとのストックを確認し、午後から行う在庫品づくりの準備にかかります。常に先の業務を考えながら現場にも目を配り、必要に応じて包装室の作業にも加わります。
「包装を終えた商品には、最後に賞味期限のシールを貼ります。表示する年月日は、ハンドラベラーという機械を調整して表示させるのですが、もっとも気を使うのがこの工程。賞味期限は、決して間違えるわけにはいきませんから」
昭和製菓では、全国各地の催事にも参加しています。ある時、担当の営業スタッフが、『おいしかった!頑張ってください』というお客様からの手紙を読んでくれたことがありました。「その時、つくっていてよかったと心から思いました」と嬉しそうな表情を浮かべます。
「私は包装室をまとめる立場となっていますが、製造部門、加工包装部門を束ねる立場の課長がその上にいます。工程全体を見渡しながら必要な原料を発注し、シフトを組み立てていきます。目指すところは、その役割を果たせるようになることです」
今後のステップについても、目標を持つことができている伊藤さん。高校を卒業し、つまずいたかと思いきや大逆転。多様な業務を経て、現場を担いたいというモチベーションを得ることができました。そんな伊藤さんが手がけるお菓子。函館土産は、もう迷いません。
シゴトのフカボリ
菓子製造の一日
8:00
出勤。その日の段取りの再確認、作業環境の整備
8:30
パートスタッフの作業チェック、午後からの在庫品製作の段取り
12:00
昼休憩
13:00
大口注文に対する準備。現場作業の確認および、自らも包装作業。
17:30
作業を振り返る終礼を経て退勤

シゴトのフカボリ
拝見!オシゴトの道具

ハンドラベラー
手動で日付や価格などを、裏が接着面になったラベルに印字しつつ、商品などに貼り付けることができる機器。年月日で示す賞味期限の数字は、作業前に何度もチェックします。
シゴトのフカボリ
みなさんへ伝えたいこと

工場や加工包装の現場は黙々と作業する場と思われがちですが、実は人とのつながりがとても大切な仕事。相手の立場を第一に考え、自分と異なる意見も受け止めながら、思いやりを持って接することを心がけています。

昭和製菓株式会社

1967年設立。「北海道の良質原料を使用し、安心・安全なおいしい製品をつくります。」をモットーに豊富な種類の洋菓子を一貫して製造しています。

住所
北海道函館市西桔梗町589番地39
TEL
0138-50-8080
URL
http://www.ss-showa.com

お仕事データ

商品やサービスを販売!
営業
営業とは
商品やサービスを販売し、
売上に結びつける大黒柱。

一般に自社の商品やサービスを販売するのが営業の主な仕事。企業向けに販売する法人営業と、個人にセールスする個人営業とに大きく分けられます。とはいえ、商材によってスタイルはさまざま。見込み客を訪問し売り込む新規開拓営業、固定客を中心に訪問し取引するルートセールスなどがあり、扱う金額はもちろん、顧客とのコミュニケーション方法も異なります。また、販売戦略を立てたり、課題を分析したり、時にはお客様先に同行する営業企画を担うことも。営業に共通していえるのは商品やサービスを売上に結びつける、企業にとっての大黒柱!

営業に向いてる人って?
人と接することが好きな聞き上手。

営業というと明るく元気で話し上手な人をイメージしがち。けれど、押しが強く、口が達者なだけでは売上にはなかなか結びつきません。相手を尊重し、じっくりと耳を傾けてニーズを引き出すのが得意なタイプが、トップセールスを叩き出すケースも多いようです。「人と接することが好き」で会話のキャッチボールができることが大切です。

営業になるためには

基本的には特別な資格や学歴は必要ありません。ただし、海外との取引をする上で英語力を持っていた方が有利だったり、不動産会社では「宅地建物取引士」の資格が必要だったり、就職先や業界によって専門性が求められることもあります。営業企画の場合は、市場調査や分析などの知識があると活躍の幅が広がります。

ワンポイントアドバイス
タフな反面、結果への見返りも大!

営業職の特徴としては成果や実績をあげた人に、より多くの給料が与えられる「成果給」を取り入れている企業が多いこと。その場合、ビジネスの最前線で奮闘するタフな仕事の反面、結果を残せば見返りとして大きなインセンティブを手にすることができます。

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