工藤 拓音さん
インタビュー公開日:2022.10.11

1時間前からスタートする開店準備作業。
仕事が始まる!と気分も上がっていく。
駐車場の掃除をしたかと思えば、テーブル上のセットを確認し、店内の清掃状況をチェックして備品を整え、店のシンボルともいえる炭場に火をおこす。
「開店までは1時間ほど。その間に、お客様をお迎えする準備をします。忙しいのですが、仕事が始まるぞ! と気分が上がっていきますね」
そう話すのは、炭火焼肉をはじめ海鮮、麺類など多彩なメニューで人気の「GAjA 北野店」の工藤拓音さん。アルバイト勤務を経て、2022年8月、同店を運営する遊彩株式会社に就職しました。現在は、ホールでの接客業務のほか、食材の発注など店舗における社員が行う業務を、実際にこなしながら学び始めたところだそうです。
「発注などにはパソコンを使いますが、触ったのはほぼ初めて。最初は、文字一つ打ち込むのも大変でしたが(笑)、それでも、繰り返すうちに、ずいぶん慣れてきました」
新たな業務に少し戸惑う部分もあると言いつつ、いきいきとした表情が印象的です。
忙しい時ほど、気分が乗っていく!
ハードな練習の部活で培われた感覚。
開店直後で、まだお客様の数が少ないうちは、ホールでの接客はアルバイトスタッフに託し、工藤さんは食材の仕込みなどに入ることが多いそうです。
「キッチンからホールの状況を見て、忙しくなってきたら自分もホールに出てフォロー。合間にクレジット情報の入力といった事務作業を行っていきます」
お盆や年末年始などは、一息つく暇もないほど忙しい時間帯もあるそうですが、アルバイトのころは配膳することが精一杯で接客になっていなかった時期もあったと振り返ります。
「自分、ダメダメだなと、ちょっと落ち込みもしました。でも、忙しい中であえて人より多く動いてみたり、大きな声を出してみたりすると、モチベーションが高まることがわかり、それから楽しくなっていったんです」
忙しいほど、気分が乗っていくという工藤さん。中学生の時は全道大会の常連というバドミントンの強豪校で活躍。日々のハードな練習で自分を追い込み、結果を出していくことに、達成感とやりがいを感じていたそうです。その感覚が仕事でも生きている、と自己分析しています。
ここで働いていきたいと思えた職場。
大きな決断を経て、新たな人生へ。
進学した大学の近くにあったことが、今の店舗でアルバイトを始めるきっかけだったそうです。人と関わることが好きで、高校時代から接客業でアルバイトを経験してきました。
「同じ接客の仕事に目が向いたのは、ごく自然な流れですが、やってみると想像以上に楽しくて。ここで働いていきたいと思うようになっていったんです」
高校卒業の際、特にやりたいことも、将来的な夢も持てていなかったという工藤さん。不安を抱えるなか、出会った「GAjA」の仕事に惹かれていきます。
「このまま4年間を大学で過ごすか、やりたいと強く思える今の仕事に飛び込むか。どちらが自分にとってプラスなのか、決断するまでは、ずいぶん悩みました」
本気なら、ぜひ受け入れたい。店の上司に相談すると、そんな答えが返ってきました。ご両親に伝えるのは勇気が必要でしたが、思いを込めて話すと、「自分の人生なのだから、自分で決めていい」と背中を押してくれたそうです。入学から半年で大学を辞めた工藤さん。人生が大きく動き始めた瞬間です。
フルタイムのアルバイトで働きながら、
将来を考え、心の整理をつけた1年間。
とはいえ当時、工藤さんはまだ18歳。ある意味、可能性は無限であり、もしかすると違う仕事に目が向くかもしれない。そうした配慮から、社員としての雇用を前提としながら、およそ1年間、働きつつ考える時間を会社から与えられたのだそうです。
「本当に、ここで働いていけるのか。ほかにやりたいことはないのか。まずはじっくり考えてみては、ということでした。その間はフルタイムのアルバイトで働きましたが、1年経っても、この職場でやりたいと思えたし、しっかりと心の整理がついたんです」
社員になると、例えば、それまでアルバイトの先輩だった仲間を部下として指導する立場になります。そうした切り替えが、最初のうちは難しいかもしれない。上司からは、そんな言葉もかけられたと工藤さん。
「確かに、昨日まで一緒に現場にいたアルバイトスタッフから、社員となった自分の立場を理解してもらい、指示や注意を浸透させるのが簡単ではないことは想像できます」
でも、いつまでも学生気分ではいられない。心なしか、工藤さんの表情がキリリとします。
常連のお客様の応援も受けながら、
店舗運営、人材管理などを学ぶ日々。
「社員としては、まだスタートしたばかり。業務と心構えを身に付けながら、副店長、店長を目指していくことが目標ですが、将来は自分の店を持ちたいという夢も湧いています」
日々の店舗の運営から、売上に関することなど経営的な部分、さらにアルバイトスタッフのマネジメントなど人材管理的な部分まで、幅広く学びながら、成長していくことが第一歩だと、工藤さんは話します。
「同じ接客でも、社員になるとクレーム対応とそのアフターフォローまで担当するなど、よりお客様と深く関わることができます。接客技術についても、ステップアップしていけることを楽しみにしているんです」
顔を見ると挨拶してくれるような常連のお客様も増えてきたという工藤さん。アルバイトから社員になることを報告すると、「(アルバイトとは違って)大変だろうけど、頑張って!」と声をかけてもらったのだとか。
「お客様に応援していただいているような感じで、うれしかったですね」
だから、接客業はやめられない。今日一番の笑顔を見せてくれました。
シゴトのフカボリ
焼肉店舗スタッフの一日
16:00
出勤、駐車場の掃除、食材の仕込み、炭おこしなど開店準備
17:00
開店。仕込み業務、ホールでの接客、クレジットカードの伝票整理など事務作業
20:00
休憩
21:00
ホールでの接客、事務作業
0:00
店内清掃など、閉店作業を開始。ビール・ドリンクサーバーの清掃、調理場の清掃、炭場の後始末
2:00
閉店。勤怠関係の確認、売上の確認、退勤

シゴトのフカボリ
みなさんへ伝えたいこと

忙しいなかで、『あ、自分、動けてるな!』と感じられると、モチベーションが上がってきます。忙しくて疲れるけれど、お客様と接していることが楽しい。そんな仕事に就けたことに、幸せを感じています。

遊彩株式会社 GAjA北野店

札幌を中心に、炭火焼肉店「GAjA」3店舗、「WA!GAjA」3店舗を展開。2001年の設立以来、「地域に根付いたお店」を運営しています。

住所
北海道札幌市清田区北野3条3丁目2
TEL
011-884-1129
URL
https://hp-kita.com/gaja_yusai/

お仕事データ

おいしさと快適な時間を提供。
飲食店スタッフ
飲食店スタッフとは
接客や調理によって、
お客様に「おいしい時間」を。

飲食店の仕事は、多くの場合「ホール」と「調理」に分けられています。ホールスタッフは主に接客サービスを担当。客席への案内や注文のお伺い、配膳、会計などを行います。調理スタッフは料理の下ごしらえや味付け、調理、盛り付けに加え、キッチンの清掃や調理用具の手入れなども担うことが多いでしょう。さらに、飲食店店長がホール・キッチンスタッフのマネジメントや教育を手がけ、売上の管理や食材の発注、営業計画といった幅広い業務も守備範囲に据えながら店舗全体を運営しています。店舗の規模によっては各ポジションを兼務することもあるでしょう。これら飲食店スタッフはお互いに連携しながら、お客様に「おいしさ」と「快適な時間」を提供しています。

飲食店スタッフに向いてる人って?
明るく清潔感があり、
チームワークを大切に働ける人。

飲食店スタッフに共通して必要なのは食に対する興味はもちろん、おいしい料理とともに快適なひとときを提供したいという気持ちです。また、接客や調理をともなう仕事である以上、明るく清潔感のある人が求められます。ランチタイムやディナータイムといった忙しい時でも、お客様にスピーディーに料理を提供しなければなりません。そのため、チームワークを大切に、効率良く作業を進める力も必要です。

飲食店スタッフになるためには

飲食店スタッフになるために必要な資格はありません。高校や専門学校、短大、大学を卒業後、希望する飲食企業に入社するのが一般的です。その他、調理専門学校で調理の基礎や調理師の資格を身に付けたり、栄養士養成施設として指定認可された学校で栄養士の資格を取ったり、食に関連する学校に進んだ後に就職するコースを選ぶ人も少なくありません。ホールスタッフや調理スタッフとして経験を積んだ後、飲食店店長を目指すことも可能です。

ワンポイントアドバイス
スタッフのマネジメントが
とりわけ大切な仕事。

飲食店店長を筆頭に、ホールや調理のリーダー職を務める飲食店スタッフにとって、人材のマネジメントは売上に関わる重要な業務。部下やアルバイトをまとめ、一人ひとりが生き生きと働けるよう管理・教育することでやる気と能力が引き出されます。具体的には人員が不足しないように配慮しながら休み希望を取り入れたシフトを作成したり、元気のない人に声がけしてモチベーションを高めたり、仕事への意欲を促すことでお客様への貢献につなげることが大切です。

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