川村 範行さん
インタビュー公開日:2024.10.10

出かける時は
「バスに乗って」が基本
特別企画記事/ この記事は、「路線バス運転手の魅力を発信する」をテーマに「札幌ばんけい(ばんけいバス)」「ジェイ・アール北海道バス(JRバス)」「じょうてつ(じょうてつバス)」「北海道中央バス(中央バス)」の様々な年齢層の現役バス運転手に、志望の動機や仕事の内容、やりがいなどをインタビューした、札幌市による「特別企画記事」です。

札幌市民の身近な公共交通としておなじみの北海道中央バス。札幌市内・近郊で多くの路線バスを運行するほか、札幌と旭川、函館、釧路などを結ぶ都市間高速バスも運行する道内最大規模のバス会社です。
今回お話を聞いた川村範行さんは同社の平岡営業所に勤務するバス乗務員。営業所が管轄する約20系統の路線バスの運行に携わっています。
「バスは子供のころから身近な存在でした。父は出張がちで母は運転免許がなく、出かける時はバスに乗るのが当たり前の環境。今まさに自分が乗務している『清田団地線』をホントによく利用していました」
バス運転手の仕事にも密かなあこがれを抱いていた川村さんですが、高校卒業後に就職したのは飲食業界。調理補助や営業職で2年ほど勤務しました。
「進路指導の先生に言われるままに就職先を決めてしまい、正直、飲食業界に特別な興味があったわけではないんです…。退職後はいくつかアルバイトを経験し、最後に働いたのはコールセンター。いわゆる『クレーム窓口』のような部署で、なかなか仕事に慣れることができず、毎日くたくたになって帰宅する日々を送っていました」
自分の意志で初めて選んだのが
バス乗務員
通勤にはバスを利用していた川村さん。疲れてバスに揺られ、ふと見上げた先にあったのが、バス乗務員の募集広告でした。
「こっちのほうが楽しそうだな…と思ったんです。大きなバスを操って、たくさんのお客さんを乗せ、四季の移ろいを感じながら走る―。子供の頃、バスの運転手にあこがれていたことも思い出して…」
当時、自動車で北海道一周旅行をするぐらい運転そのものも好きだった川村さん。広告には2種免許の取得支援制度があることも書かれており、「ダメ元」でチャレンジを決意したと言います。
「それまでに就いた仕事はどれも誰かの勧めや、“なんとなく”で選んだものばかり。乗務員の仕事は初めて自分の意志で選んだ仕事でもあるんです」
晴れて採用試験に合格した川村さんは、同社グループの自動車学校で2種免許を取得。その後、乗務員として必要な運転技術や接客ノウハウを習得していきました。配属先では上司の指導のもとで実際の運行ルートを走る路上教習も行われ、内定から“一人デビュー”までは3カ月ほどだったと振り返ります。
乗務に備えて運行ルートの
“予習・復習”が日課に
「初めて一人で乗務した日のことは今でもよく覚えています。前日の夜には自分の車で運行ルートを“予習”しましたし、それでも出発前は緊張して手足が震えました」
デビューからしばらくは、時間を見つけては、自分の車で運行ルートの予習・復習を繰り返していたという川村さん。「時々、自分の車なのにバス停で止まりそうになったりして(笑)」と懐かしそうに笑います。
「最初のころは、乗務が終わると手足に痛みを感じるくらい、全身が疲れ果てていました。緊張のあまり、力が入りすぎていたんですね。バスから降りると足が棒のようになっているのも日常茶飯事でした」
バスは普通自動車と異なり、運転席が前輪よりも前にせり出しています。バスを運転する際は“自分の体が先行して、後から車体が付いてくる”ような感覚があり、緊張に拍車をかけていたそう。
「デビューから1年が過ぎるころに、『今日は体が疲れてない!』と思えた日があり、ようやく肩の力を抜いて運転できるようになったと実感した瞬間でした」
「当たり前」を守る
運転技術を追求したい
入社から9年。今では平岡営業所の中堅乗務員として活躍する川村さんは、どのような思いで日々の仕事に取り組んでいるのでしょう。
「お客さんからすると当たり前と思うかもしれませんが、なめらかな走り出しやスムーズな加速、バス停とドアの位置を合わせた停止など、乗っている人にやさしい運転ができると今も嬉しい気持ちになるんです。心の中で『今のブレーキ操作は良かったぞ!』なんて(笑)」
バスが目的地に無事に到着することも乗客にとっては当たり前。しかし川村さんはその「当たり前」を自分の技術で守っていることに誇りを感じていると続けます。
「お客さんから『ありがとう』『ご苦労さま』と声をかけてもらえるのも本当に励みになります。私は清田区で育ったので、子供の頃からの知り合いが乗車してくることもしばしば。『生活の足』として身近な人たちの役に立てるのも、この仕事の醍醐味ですね」
親の仕事を間近で
見られることが羨ましい
プライベートでは5歳の子どもを持つ父親である川村さん。乗務するバスに家族が乗車することもあると、はにかんだ笑顔を見せます。
「親が言うのも変ですが、自分の子どもを、羨ましいと思うんです。私の父は建設業でしたが、どんな仕事をしていたのかはほとんど知りません。不在がちだったのも、本州に出張に行くことが多かったから。それが少しさみしくもあって…。
一方、うちの子どもは、近所を歩いているだけで私が乗務するバスに出くわすこともあります。自分が子どもの頃と比べると、恵まれているな〜って思ってしまうんです(笑)」
シゴトのフカボリ
バス運転手の一日
6:30
出勤、安全点検
6:45
アルコールチェック・乗務前点呼
7:00
乗務開始
12:00
休憩
13:00
再び乗務
17:30
乗務終了、金庫処理、アルコールチェック、洗車
18:00
退勤
※中央バス運転手の一日(早番の例)
シゴトのフカボリ
みなさんへ伝えたいこと

路線バスの乗務員は、市民生活に不可欠な公共交通を支える仕事。「自分が働く姿を子どもたちに見てほしい!」そんな気持ちになれるんです。

シゴトのフカボリ
拝見!オシゴトの道具
乗車カバン
両替機が対応していない1万円札、5千円札を両替するための千円札や、バス車内で販売しているバス乗車券などが入っています。

北海道中央バス株式会社

札幌市内及び近郊の路線バス、都市間バスを中心に、グループでは観光、飲食、建設など幅広い事業を展開。2023年には設立80周年を迎えました。

住所
本社:小樽市色内1丁目8-6
バス事業部:札幌市中央区大通東1丁目3 中央バスターミナルビル3F
TEL
011-221-5167(バス事業部) 
URL
https://www.chuo-bus.co.jp

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お仕事データ

安全・確実にお客様を輸送
バス運転手
バス運転手とは
お客様を気づかいながら、
目的地へと安全に走行!

バス運転手の仕事は「路線バス」「高速バス」「観光バス」「送迎バス」に大きく分けられます。路線バスは地域住民の足となり、決められた時間とルートを安全に走行。高速バスは出張や帰省のお客様を乗せて、主に都市と都市を結ぶ高速道路を走ります。観光バスは修学旅行や団体ツアーなどの観光に使われる観光産業の要。送迎バスは介護施設や幼稚園、各種スクールなどを利用する人の移動手段です。いずれもただ運転するだけではなく、乗務前の車両点検や空気圧チェック、乗車中に具合が悪くなった方の対応など、お客様の安全を守るための気づかいを求められます。

バス運転手に向いてる人って?
ふだんから健康管理の意識が高く、
マジメにコツコツ頑張れるタイプ。

お客様を安全に目的地まで運ぶためには健康管理が重要。体調の悪化から集中力を欠いてしまったり、運転できなくなってしまうと思わぬ事故につながりかねません。乗務前には健康チェックを行いますが、運転手として働くからにはふだんから心身の状態を把握しておく必要があります。また、常に時間を気にしながら、正確に運転することが求められるので、マジメにコツコツ頑張れる人も向いているでしょう。お客様と会話をするなど人と接するのが好きなタイプも活躍できるはずです。

バス運転手になるためには

バス運転手に必須の資格が「大型第二種自動車運転免許」。この免許の取得条件は普通自動車運転免許か大型一種自動車運転免許、もしくは大型特殊自動車免許を取得し、通算3年以上が経過していること。バス会社の多くは、「養成制度」を持ち、会社負担で大型第二種免許を取得させてくれるので安心してください。入社後は停留所の位置や地理の勉強、アナウンスの練習、実技訓練など研修の手厚いところがほとんどです。

ワンポイントアドバイス
バス運転手の労働環境は改善傾向に。
活躍のフィールドも広がりそう!

かつてはバスの運転手といえば長時間労働で過酷な仕事のイメージ。ところが、ここ最近は高速バスの事故などにより安全管理が見直され、各社は若者や女性の積極的採用、人材定着のための取り組みに力を入れて労働環境を改善しているようです。地域に欠かせない路線バスはもちろん、シニア層向けの観光バスツアーや電車が通っていない地域のコミュニティバスなど、バス運転手のフィールドも広がっています。

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