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原田  真奈さん
インタビュー公開日:2022.08.23

「遊びたい」から「作りたい」
そして「描きたい」へ。
アニメやゲームの世界で働くCGクリエイターたち。原田さんはゲーム制作の現場でビジュアル制作(主に絵コンテ制作)のシゴトに携わるデザイナーです。
「この業界で働く人はみんな同じだと思うけれど、私も小さな頃からゲームが大好き。幼な心に、いつか自分もゲーム制作に携わりたいと思っていました」
高校に進学したあたりから、漠然としていた夢が少しずつ現実的に。原田さんはゲーム自体をプログラムするのではなく、ゲームのビジュアルや世界観を描いてみたいと考えるようになります。
「時間を見つけては様々なキャラクターを考えたり、オリジナルの背景画を創作してみたり。好きな絵師さん(イラストレーター)ができて、その人の仕事ぶりや作品もチェックしていくようになりました」
そんな思いが高じ、高校卒業後は札幌のデザイン専門学校に進学。キャラクターCG学科を専攻し、キャラクターデザインやアニメーションの制作に没頭していきました。
卒業制作を目にした人事担当から
「弊社に応募して」のオファー。
ゲームやアニメ好きな仲間たちと過ごす学生生活は、瞬く間に過ぎていきました。気付けば就活の時期。
「学校で学んだ2D、3Dのキャラクター制作のノウハウを活かせること、学生時代に傾倒したアクションゲームを制作している職場であること。この二つを条件に就職先を探しました。地元の札幌が第一志望でしたが、希望の仕事に就けるなら道外でもいいとも思っていました」
そんな熱のこもった就活に取り組む原田さんのもとに、うれしいニュースが飛び込んできます。原田さんを含む全ての学生が、オリジナル作品を披露する『卒業制作展』。原田さんの作品を見た企業の採用担当から「ぜひ弊社の新卒採用に応募して」という連絡が入ったのです。
「うれしかったですね、自分の作品を認めていただいたということですから。日頃からコツコツ努力を積み重ねれば、いつか必ず実を結ぶ… 改めてそう思いました」
原田さんにラブコールを送った会社の名前は、株式会社サイクロンゼロ。札幌を拠点に数々のゲーム制作を手掛けるプロ集団であり、現在の原田さんが勤務する職場でもあります。
文字をビジュアルにする、
面白さとやりがいと大変さと。
現在原田さんは社内のデザイナーや社外のクリエイターとチームを組み、スマホ用のロールプレイングゲームの制作に取り組んでいます。
「私の担当は、ゲームのところどころに盛り込まれるムービーの絵コンテの作成です。絵コンテとはテキストで書かれたシナリオをもとに、キャラクターの背景の構図や風景を考えたり、それらを動かしたり、そこにセリフやナレーションを組み合わせたりする『絵で見る台本』のようなもの。ゲームの世界観やストーリーを表現するムービー、その具体的なイメージをビジュアル(視覚化)にしていくする大切なプロセスです」
例えばシナリオに「ここでキャラクターAが亡くなる」という一文が記載されていた場合、どんな状況で息を引き取るか、最期はどんな動作をするべきかなどを考えながら、その場面の詳細を描いていくのが彼女の役割。
「もちろん自分勝手に描くのではなく、ゲームの世界観やキャラクターの性格、前後のストーリー展開などと照らし合わせながら、慎重に描き進めます」
とはいえ、淡々と進行する、無音で効果を高める、感動的にするなど、その表現方法は多彩。原田さんのアイデアは…
「キャラクターの手の中から、生き残る者たちへの希望を託した魂が浮かび去っていく…という風に描いてみました。ドラマティックでしょう?」
日頃からアイデアの素を
頭の中に蓄えておくこと。
ビジュアル制作というクリエイティブな仕事に携わる原田さん。頭の中はいつも新しい発想でいっぱいかと思いきや…
「いえいえ、毎回絞り出すように描いているというのが本当のところ。自信満々で描いたビジュアルにもかかわらず、上司やディレクターにダメ出しされることもしばしばです。改善点のアドバイスをいただき、すぐに描き直すこともありますが、どんなに頑張ってもいいアイデアが浮かばない時も…。そんなときは気分転換が一番。スマホの動画や雑誌をながめ、全く違う物語や映像からヒントを得たりします」
ゼロから発想するのは至難の業。だからこそいろんな作品に触れ、参考になる部分を探しだし、それを応用したり進化させたりしながら、アイデアの素として頭の中に蓄えていくことが大切というのが原田さんの考え。
「だから時間が空けば映画を見たり、本を読んだりしています。また街ブラしたり、アウトドアやダンスを楽しみながらも、なにか参考になる場面はないか、ヒントにつながる出来事はないかって考えたりしていているんです」
大きなプロジェクトに参加している
喜びと手応えを味わいながら。
原田さんが絵コンテを担当するゲーム、その制作にかかわるクリエイターの数は100人以上。キャラクターの設定やストーリー展開などの根幹的な業務から、効果音や背景の描き込み等の詳細な作業まで、それぞれが明確に分業化された仕事を担当します。
「私がお会いしたことがあるのはほんの数名で、残りの多くの方とは最後まで接することはないでしょう。それでもたくさんのクリエイターの想像力や技術力がこの作品をつくりあげているのは実感しますし、微力ではあるけれど自分もその一翼を担っていることを誇りに思います。作品の完成までまだ時間がかかりそうですが、その分、出来上がったときの感動はとても大きいはず。今から楽しみです」

※下記は、原田さんが仕事外で個人的に制作したキャラクターのラフ画と完成画です。(中華風、ヤブ医者、マッドサイエンティストをコンセプトにしたデザイン)
シゴトのフカボリ
みなさんへ伝えたいこと

見たことのないもの、知らないことは描けない。
作画のもとになるのは自分の経験や体験。
そこから自分の糧になるものを吸収しましょう!

株式会社サイクロンゼロ

札幌を拠点とするゲーム制作会社。 「北海道発のゲームタイトルを世界に発信する」を目標に、多彩なデジタルエンタテインメントの制作に取り組んでいる。

住所
北海道札幌市中央区大通西11丁目4番地22 第2大通藤井ビル5F
TEL
011-598-0699
URL
https://www.cyclone-zero.jp/

お仕事データ

非現実を現実に表現する!
CGクリエイター
CGクリエイターとは
デジタルテクノロジーを使って、
グラフィックやアニメーションを制作

CGとはコンピューター・グラフィックスの略。文字通りコンピューターを使って、ゲームやアニメなどグラフィックやアニメーションを制作します。大きく分けて2Dと3Dに分類され、2Dは平面で表現し、3Dは立体での表現です。3Dはさらに動きの元となる立体物をつくるモデラー、動きを付けるアニメーター、特殊効果を付けるエフェクターなどそれぞれのプロフェッショナルに細分化されています。

CGクリエイターに向いてる人って?
好奇心旺盛で、
最新技術へのアンテナを張れる人

映像を取り巻く世界は日々進化を遂げ、現実と区別が付かないようなリアルなCGを制作する技術も実現しています。その制作に用いるソフトも次々と新しい機能が増えたり、新製品が生まれたりするため、積極的に最新技術を学ぶ姿勢が必要です。またクリエイティブな世界をつくるための想像力や、円滑なチームワークのためのコミュニケーション能力も必須。納期に追われる機会も多いため、粘り強く取り組む根気やハードな働き方に耐える体力も求められるでしょう。

CGクリエイターになるためには

学歴や資格は必要ありませんが、コンピュータースキルは必須。特に3DCGは「Maya(マヤ)」や「Blender(ブレンダー)」といった制作ソフトを使うための知識や技術が必要なので、専門学校や短大、大学でスキルを身に付けた後、ゲームやアニメ関係の会社に入って覚えるのが一般的です。オンライン講座や書籍など独学で学ぶことも可能なため、スキルを身に付けた後に実際の制作現場で学ぶという選択肢もあります。

ワンポイントアドバイス
将来性高く、チャンスも無限!

3DCGはその誕生以来、アニメ、ゲーム、映画などエンタメを中心に普及してきました。近年は建築や製品のデザイン、医療や化学などさまざまな分野でも活用されていて、今後も他分野にわたって需要が拡大すると見られています。また技術さえあれば国内、国外を問わず活用できるのも特徴です。一流のCGクリエイターとなれば世界の有名スタジオで活躍できるかもしれません。