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千葉  麻美さん
インタビュー公開日:2022.09.26

IPイラストをデザインし
グッズや動画、ゲームなどを制作。
「こんにちは」の挨拶が明るくて元気で、好印象。千葉さんは、映像・動画、ゲームイラスト・3DCG、音楽、ナレーションの制作など、モバイルやネット、リアルな世界でも多彩なコンテンツを手掛ける企業「ジーアングル」のディレクターです。
「私が所属する札幌支店は主にIPイラストを使った制作がメイン業務。その制作過程のキャスティングや進行管理、クライアントとの打ち合わせ等に取り組むのが私の役割です」
ここで頭の中に「?」が。IPイラストって何?
「IPとは知的財産のことで、アニメやゲーム業界におけるIPとは、作者や制作会社が版権を持つゲームタイトルやキャラクターを表します。メジャーなゲーム、雑誌やテレビ、動画配信サービスでよく見るキャラクターの肖像がIPイラストの代表と言えるでしょうね」
ここで詳しいネームは出せませんが、千葉さんが仕事で関わったIPイラストは、どれも見たこと、聞いたことがあるものばかり。そのキャラクターに新しいポーズをつけたり、新たな動きを加えたりしながら、デザイナーなどのスタッフと共に商品や映像を作りあげていくのが千葉さんの役割。
「最終的なアウトプットは、キーホルダー、タオル、筆入れ、カレンダー、抱きまくらなどのグッズ、リアルなボードゲーム、ビデオゲーム、さらに企業のノベルティなど、実に多種多様です」
クレイアニメに没頭していた学生が、
コンテンツ制作のディレクターに。
何とも面白そうなオシゴト…の詳細については、後ほどまた尋ねるとして、ここで千葉さんのこれまでについてお聞きしましょう。
「この業界に入る他の方と同様、学生時代からアニメが大好き。大学に進んでからはクレイアニメ(粘土でキャラや背景を作りひとコマずつ撮影し、連続再生で動きを付ける)に夢中になり、いろんな作品を作りました。現在は3Dアニメなどに関わることが多いですが、キャラクターにポーズや動きをつける作業という点ではどちらも同じ。学生時代の感覚の延長に今の仕事があると思っています」
大学卒業後はアニメではなく、一度札幌のゲーム制作会社に就職し、デザイナーとしてビジュアル制作などを担当したとか。
「少人数に加え自社でゲーム開発をする会社だったので、面白さは抜群。時にはゲームの企画を考えたり、キャラを考えたりとマルチに働きました。ただ働く環境が整っておらず、給与もかなり低め。いろいろ悩みましたが、最終的にこれでは長続きしないと思い、今の会社に転職したんです」
いずれアニメゲーム業界の常識に?
ストレスゼロの在宅勤務。
前の会社の仕事環境に問題があったため、転職先の選定にはことさら気を遣ったという千葉さん。確かに少し前までは、ゲームやアニメ制作の会社は残業が多め…というイメージがあったような。
「現在所属する会社は働く環境の整備に前向きで、基本的に残業はありません。仮にチームの一人がオーバーワーク気味になると、他のスタッフが一斉にサポートに入り、終業時間前にその業務を完了させます」
さらに産休育休制度も完全に定着。千葉さんもこの制度を利用し、ストレスのない出産時期や育児期間を過ごすことができたといいます。
「一番うれしいのは、スタッフの在宅勤務が完全に常態化していること。音響や撮影など専門的な作業の担当者は一部出社となりますが、それ以外のデザイナーやプログラマー、私のようなディレクターまで、弊社の全国のスタッフのほとんどが自宅勤務となっています」
面倒な通勤や退勤がないだけでなく、その分家事や育児に向き合える時間が増えるとあって、千葉さんのような主婦には大助かり。
「充分な睡眠をとってから始業、お昼休みに子どもと食事、終業してすぐに買物に…など、オンとオフが隣り合わせ。体の負担も少なく、超効率的です」
通勤も残業もない在宅勤務。ここ数年、ゲーム・アニメの世界にもこういった現代的な働き方を取り入れる会社が増えているようです。
作家やデザイナーに指示を出しながら
制作物を完成させていく司令塔役。
ではディレクターという役割をもう少しフカボリしてみましょう。仕事はどんな風に進行するのでしょう?
「クライアントは、ゲーム会社やコンテンツ制作企業、さらに一般企業など。『このIPイラストを用いて◎◎◎(グッズやゲームなど)を制作したい』というオーダーが舞い込んだり、あるいは弊社から『◎◎◎を制作しませんか』と提案するところからビジネスがスタートします」
最終的な制作物が決定したら、次はIPイラストの版権を持つ方や企業との交渉へ。
「イラストによっては制作物が限られるケースもあります。また使用料についてもこの段階で慎重に協議します」
その後千葉さんは、指定のIPイラストを使って、新たな作画や動画を制作するクリエイターを人選。さらに社内のデザイナー陣も加えてチームを立ち上げ、それらのスタッフに指示を出したり、作業過程をチェックしながら最終的な制作物を完成させていきます。
…ん?そう言えば千葉さんは在宅勤務のはず。お客様との打ち合わせ、人選や指示はどうやって?
「メンバーと面と向かって仕事することはほぼありません。打ち合わせや会議はZoomなどのオンラインが主体。連絡もTeamsやLINE、メールで十分こと足ります。表情や仕草でニュアンスを分かってもらうより、テキストで要点を伝える方が仕事がはかどりますし、作品や制作物の完成度も高いんです」
クリエイターやお客様に「喜び」を
感じていただくことが私の使命。
IPイラストを使った制作物のディレクション。この仕事のおもしろさ、やりがいは?
「アニメやゲームのクリエイターやデザイナーと聞くと、オリジナル作品やキャラクターを創作していく職業と思われがちですが、そういった仕事に就いているのはほんの一握り。多くはその制作サポートであったり、自分たちのようなIPイラストを用いた制作物に携わります。だからといって、やりがいや手応えを感じないわけではありません」
著名なキャラクターに新しいポーズや表情をつける、大好きなアニメを使った商品をつくる、大好きなコンテンツを動画にする…。キャラや作品の世界観を広げていく作業には、大きなやりがいや達成感があると千葉さんは言います。
「ディレクターという立場からすると、チームのメンバーやクリエイターの方々にそんな思いを味わってもらうこと、さらに業務をオーダーしてくれたクライアント企業に『あなたにお願いしてよかった』と感じていただくことが重要な使命であり、やりがいなのだと思いますね」
アニメやゲームをつくるクリエイター。彼ら彼女らをマネジメントするディレクター。どちらも本当に魅力的な仕事です。
シゴトのフカボリ
みなさんへ伝えたいこと

誰もが好きな表情は、笑顔。
笑顔をキープできると
お客様とチームメンバーと
仲良くやれるようになるし
友人や家族の仲も深まります。
まずは笑顔から、始めましょう!

株式会社ジーアングル 札幌支店

見るもの、聴くもの、全てをカタチにする制作会社をテーマに、モバイル、インターネットからリアルの世界まで、音楽、映像を中心としたコンテンツを創作している。

住所
北海道札幌市北区北10条西3丁目23番地 THE PEAK SAPPORO
URL
https://www.g-angle.co.jp

お仕事データ

非現実を現実に表現する!
CGクリエイター
CGクリエイターとは
デジタルテクノロジーを使って、
グラフィックやアニメーションを制作

CGとはコンピューター・グラフィックスの略。文字通りコンピューターを使って、ゲームやアニメなどグラフィックやアニメーションを制作します。大きく分けて2Dと3Dに分類され、2Dは平面で表現し、3Dは立体での表現です。3Dはさらに動きの元となる立体物をつくるモデラー、動きを付けるアニメーター、特殊効果を付けるエフェクターなどそれぞれのプロフェッショナルに細分化されています。

CGクリエイターに向いてる人って?
好奇心旺盛で、
最新技術へのアンテナを張れる人

映像を取り巻く世界は日々進化を遂げ、現実と区別が付かないようなリアルなCGを制作する技術も実現しています。その制作に用いるソフトも次々と新しい機能が増えたり、新製品が生まれたりするため、積極的に最新技術を学ぶ姿勢が必要です。またクリエイティブな世界をつくるための想像力や、円滑なチームワークのためのコミュニケーション能力も必須。納期に追われる機会も多いため、粘り強く取り組む根気やハードな働き方に耐える体力も求められるでしょう。

CGクリエイターになるためには

学歴や資格は必要ありませんが、コンピュータースキルは必須。特に3DCGは「Maya(マヤ)」や「Blender(ブレンダー)」といった制作ソフトを使うための知識や技術が必要なので、専門学校や短大、大学でスキルを身に付けた後、ゲームやアニメ関係の会社に入って覚えるのが一般的です。オンライン講座や書籍など独学で学ぶことも可能なため、スキルを身に付けた後に実際の制作現場で学ぶという選択肢もあります。

ワンポイントアドバイス
将来性高く、チャンスも無限!

3DCGはその誕生以来、アニメ、ゲーム、映画などエンタメを中心に普及してきました。近年は建築や製品のデザイン、医療や化学などさまざまな分野でも活用されていて、今後も他分野にわたって需要が拡大すると見られています。また技術さえあれば国内、国外を問わず活用できるのも特徴です。一流のCGクリエイターとなれば世界の有名スタジオで活躍できるかもしれません。