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高橋 智子さん
インタビュー公開日:2023.04.05

中学生のころにはアート系の
仕事を意識し始めました。
多くの北海道民にとって親しみ深いメディアであり、ニュース・事件のみならず、地域に根ざした課題解決の糸口や新たな視点を届けてくれる「北海道新聞」。高橋智子さんは、その編集センターデザイングループでグラフィックデザインを手がけています。
「小さなころから絵を描くのが好きで、自分の作品を家族や友人に褒められるのがうれしかったことを覚えています。中学生のころにはアートや芸術の仕事を意識するようになり、平岸高校のデザインアート科に進みました」
高校の授業では油絵や水彩、彫刻、情報メディアデザインなどを幅広く学んだと振り返ります。
「各中学校でトップクラスに絵が上手い人が集まっているので、上には上がいることを思い知りました(笑)。一方、私は色彩やフォント選び、レイアウトが得意だったので、グラフィックデザインに自分の強みを発揮できるという道を見出したんです」
もどかしさを感じていた時に
出会ったのが当社の求人です。
高校卒業後の進路は一般の大学を考えていたものの、「どうしてもデザインを学びたい」とギリギリでデザイン系の専門学校に舵を切ったそう。ところが、高橋さんは「自分が未熟だったのもあると思いますが、周囲との個性のぶつかり合いが自分には合わなくて。早く社会に出て実践的な経験を積みたいと思い、1年で中退してしまいました」と苦笑します。
「半年ほどは飲食店やアパレル店などのアルバイトで食いつなぐ日々。仕事内容は楽しかったんですが、私の友人たちはどんどん先に進んでいくのに、自分だけが足踏みしているような感覚がもどかしくもありました」
そんな時、渡りに船となったのがお母さんの知り合い。「高橋さんの娘さん、デザインの学校に通っていたでしょ」と株式会社北海道新聞社でグラフィックデザイナーの求人を募集していると教えてくれたといます。
「新聞原稿に沿ったイラストの作成や人物クロッキーの描画などの実技試験と面接を経て、何とか合格することができました」
課題に対する丁寧な指導で
イラストをトレーニング!
同社のグラフィックデザイナーは、大きく分けて二つの仕事を担います。一つが記事を補足するためのグラフや図、地図などの作成。もう一つがイラストや挿絵の描画です。
「入社後は簡単なグラフや図の作成から少しずつ仕事を任されましたが、私はイラストを描くのが苦手。まだ紙面に掲載できるレベルではないことを見越し、職場長は『交番を訪ねるおばあさん』など、実際に記事の横に付く様々なシチュエーションを想定した課題を毎日出してくれました。私の描いたイラストを見ながら修正点やアドバイスを伝えてくれ、トレーニングを重ねていったんです」
一方、色彩感覚やフォントの選び方、装飾などについては「若い人のセンスに任せる」と、感性を大切にしてくれたのだと高橋さんは表情を緩めます。
「紙面企画のロゴデザインや連載もののタイトルカットは得意分野です。今では記者や面担(紙面レイアウトを決める役割)からデザイン担当に指名してもらう機会も増えました」
東京オリンピックの特集紙面は、
読者からの反響も大きかったです!
同社のグラフィックデザイナーはシフト制。翌日の朝刊に向けた記事が集まる夕方ごろからが忙しさのピークだといいます。
「日々の記事に添える時系列の図などは平均すると13〜14ほど作成します。文字の大きさや目の不自由な方にも見やすい配色など、内容を分かりやすく伝えることが最も大切。新聞のグラフィックデザインは単にカッコいいだけでは独りよがりで、インフォグラフィック(情報を視覚的・直感的に分かりやすく伝える手法)の側面が大きいんです」
一方、紙面の半分以上を使う大型企画を担当することもあり、最近では東京オリンピックの特集紙面を手がけました。
「面担から新聞らしくない奇抜な見せ方をしたいとリクエストがあり、初期段階から打ち合わせを重ねて写真を大胆に使ったビジュアルを作成しました。社内だけではなく、読者センターからの反響も大きく、手応えを感じた仕事の一つです」
北海道の魅力を、
もっともっと発信したい!
ここ最近は北海道新聞デジタルの仕事も増え、高橋さんはWebのデザインを担当することもあります。思った通りに画像が表示されなかったり、レイアウトがイメージと違ったり、紙面との勝手の違いに翻弄されることも。
「新たに覚えることも数多くありますが、職場の雰囲気はフラットなので、皆でスキルを教え合っています。デザイン業界は働き方が厳しいと思われがちですが、突発的な事件や出来事がない限り、定時に帰れる日がほとんど。労働環境も恵まれていると思います」
高橋さんは日々北海道新聞の情報にふれ、地方のキラリと光る企業や一次産業の魅力を知るにつれ、北海道への愛着がますます湧いてきたと笑顔を見せます。
「北海道にはまだまだ多くの素敵な人や土地、仕事があります。地域に根ざした新聞社だからこそ持っているネットワークを活かして、新聞に限らずwebや新たなメディアでも、北海道の魅力を発信していきたいです」
シゴトのフカボリ
グラフィックデザイナーの一日
13:00
出勤
13:10
大型企画のデザイン
15:00
記者や面担と単発記事の打ち合わせ
17:00
締め切りの早い順にデザイン
21:00
退勤
シゴトのフカボリ
拝見!オシゴトの道具
レイアウトに欠かせない倍差し
一見は一般的な物差しのようですが、実は「倍(ばい)」と「行(ぎょう)」といわれる単位が刻まれた倍差し(ばいさし)。「倍」という単位が見出しや写真の大きさ、長さの基準となり、「行」は何行くらいの記事を流すことができるかを測る優れものです。
シゴトのフカボリ
みなさんへ伝えたいこと

私はグラフィックデザインという自分の「得意なこと」によって、記事をより見やすくしたり、分かりやすく伝えたりしています。大げさかもしれませんが、得意なことと人のためになることが重なるのが、今の仕事だと思っています。

株式会社北海道新聞社

1942年の創刊以来、道内はもちろん国内外の情報をいち早く正確に伝えることで道民に愛される新聞として定着。ローカルとグローバルな視点を併せ持ち、道内外、海外にまで及ぶ分厚い取材網をフルに連動させることが道新流ジャーナリズム。出版やウェブニュース、グループ傘下にテレビ、ラジオなども抱える北海道の総合メディア企業。

住所
北海道札幌市中央区大通西3丁目6
TEL
011-221-2111
URL
https://www.hokkaido-np.co.jp/

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お仕事データ

色、形、言葉で、表現
グラフィックデザイナー
グラフィックデザイナーとは
紙媒体を中心に、
文字や写真を効果的にデザイン。

ポスターや新聞広告、雑誌広告、パンフレットなど、主に紙媒体のデザインを手がけるのがグラフィックデザイナー。広告代理店や広告制作会社、デザインプロダクションに在籍する他、フリーランスとして活躍する人もいます。クライアントが伝えたいことをしっかりと把握した上で、文字や写真を効果的に配置し、受け取り手に分かりやすくデザインすることが大切。場合によってはディレクターやコピーライター、カメラマンなどとチームを組んで制作を進めることもあります。

グラフィックデザイナーに向いてる人って?
デザインツールが扱え、
コミュニケーション能力に長けた人。

まずは「Photoshop(フォトショップ)」や「Illustrator(イラストレーター)」などのデザインツールを扱うスキルが必要。レイアウトや色彩、フォント(書体)などの知識も身につけなければなりません。また、クライアントの意図を的確に理解したり、チームで仕事を進めたりするため、コミュニケーション能力も大切。時には何度も修正作業を行うこともあることから根気強さも素養の一つです。

グラフィックデザイナーになるためには

資格や学歴が特に必要とされる世界ではありません。とはいえ、多くの人は大学や短大、専門学校でデザインツールの扱い方やデザインの基礎知識を学び、卒業後に広告代理店や制作会社、デザインプロダクションに就職しています。大きな企業の場合はマーケティング部などでもグラフィックデザイナーを採用しているケースもあります。

ワンポイントアドバイス
広がっている仕事の領域。

グラフィックデザイナーは紙媒体でデザインを表現するのがメインでしたが、最近はスマホやパソコンの普及に伴ってウェブサイトの仕事を依頼されるケースも増えているようです。その他、展覧会のレイアウトやイベントのプロデュース、まちづくりのブランディングなどを手がける人もいます。もちろん、それぞれの知識は欠かせませんが、グラフィックデザイナーの活躍の幅は広がっているようです。