新谷 明美さん
インタビュー公開日:2018.01.09

広告で知ったフリーランスの道。
オーディションを受け見事合格!
テレビやイベントの司会など、私たちの生活の中でも目にする機会が多い、アナウンサー。
北海道でも、テレビ局や事務所に所属する人もいれば、フリーランスで活動している人もいます。
新谷明美さんは、フリーランスで活動しているアナウンサーです。
「小学生のころ、校内放送で学年代表になり、話をしたところみんなに褒められたのがうれしくて。そこからアナウンサーを目指すようになったんです」
小学校から高校まで、演劇部や放送部で活動し、基礎になる力を磨きます。
高校を卒業し、希望の大学に入れず浪人生だった時、お母さんがアナウンサーのオーディションの広告を見つけてきました。テレビ局の社員ではないアナウンサーの道を、その時初めて知った新谷さん。そのオーディションに見事合格し、事務所に所属することになったのです。
デビューは早朝のテレビ番組。
視聴者からのメッセージが励みに。
数カ月後には、テレビのアシスタントとしてデビュー。番組は朝4時50分からで、出勤は3時という早朝の仕事でした。
道内のニュース・天気予報を伝えたり、空の便や道路交通情報は自分で調べて画面に出す文字を発注したりと、さまざまな業務を経験。
「慣れない仕事や不規則な生活に、くじけそうな時に励まされたのが視聴者の方からのお手紙や番組に届くメッセージでした。漁業農業を営む方、夜警の方、お弁当作りに励む早起きのお母さんたち、『この時間にも頑張ってる人がいるんだ』と思うと、寝不足の日々も頑張れました」
家族や友人の励ましや支えもあり、その番組を3年半務め上げることができました。
番組やイベントを作る一員として、
入念な準備をして仕事に臨みます。
新谷さんは現在はフリーランスとなり、イベントやセレモニーの司会、テレビ出演、ナレーションなど、幅広く仕事をしています。フリーランスになると、事務所を通さず、テレビ局やイベント主催者から直接仕事を受けることになります。持っている人脈の中から依頼を受けたり、オーディションを受けて仕事が決まったりすることもあります。
「仕事をいただいたら、事前にいただく資料をもとに、さらに下調べや準備、打合せを重ねて本番に臨みます。本番では、その場で五感で感じたことをもとに、とっさの判断で対応していくことも求められます。
主役はあくまで、出演者のアーティストや主催者。司会の私は代弁者なので、前には出ているけれど黒子なんです。番組やイベントを作るチームの一員として、できる限りを尽くしています」
指名をいただけた意味を受け止め、
自分だからできる仕事を。
札幌駅前通地下歩行空間で開催されているライブイベント『Sapporo* north2 LIVE』では、 毎月レギュラーで司会をしています。開始前には、主催者やアーティストと限られた時間でしっかり打合せ。イベント中も、アーティストが歌っている間に気づいたことをメモして、その後のトークに内容を盛り込み、臨機応変にイベントを盛り上げるように工夫しています。
7年連続で担当している北海道マラソンの会場アナウンスでは、2万人もの出場者に向けたエールを発信。基本的な台本は毎回大きくは変わらないので、自分で前年度以上に肉付けし、ドラマを盛り込んでいきます。
新谷さんは、「今日が特別な一日になるように」と、声に気持ちを載せて話しているといいます。
「代わりがいてはいけない仕事だと思っています。自分を指名していただいた意味を受け止め、自分だからできるメッセージを発信していきたいですね」
方言もふんだんに生かし、
北海道の魅力をさらに発信!
自らを「どさんこフリーアナウンサー」と称する新谷さん。「大好きな北海道を拠点に、笑顔・楽しいの輪を広げたい」と考えています。
観光客がたくさん訪れるイベントでの司会も多いことから、あえて北海道弁を使うこともあるとか。方言の持つ温かさを活用して、北海道をさらに楽しんでいただくことに一役買っています。
「仕事を通して、それまで知らなかった世界を見ることができたり、第一線で頑張っている人と出会えることが喜びですね。華やかに見える半面、落ち込んだり苦しむことも多いと思います。でも頑張っていると、『ありがとう』の言葉や笑顔に出会えて報われる瞬間があるんです」
自分が今持っているもの以上のことは表現できないと肝に銘じ、自分を高める努力をしたり、体調管理への心配りも欠かしません。
「今後は、自分でイベントなどを企画して発信する側にも回ってみたい」と言う新谷さん。アナウンサーとして、表現の幅をますます広げていこうとしています。
シゴトのフカボリ
フリーアナウンサーの一日
8:45
活動開始
メールチェック、その日の仕事内容の確認
身支度
11:00
イベントの打合せ
13:00
昼食
13:30
カフェで仕事
(イベント下準備、情報収集など)
15:00
ナレーション収録
17:00
カフェで休憩
18:00
婚礼の打合せ
20:00
終了、帰宅

シゴトのフカボリ
みなさんへ伝えたいこと

言葉にして伝えることによって、笑顔や「ありがとう」の言葉が返ってきて、人の気持ちに寄り添えたことを感じられる瞬間があります。ぜひ、想いを言葉に載せて伝えてみてください。

シゴトのフカボリ
拝見!オシゴトの道具

仕事の現場に持っていく道具
手帳、ペン、携帯、ストップウォッチ、暗闇で台本を照らすクリップライト、台本を載せる板は、必ず現場に持っていく必需品です。板は見た目にも違和感のない、小さめのA5サイズを愛用。場の雰囲気や趣旨に合わせて、いろいろな色を使い分けています。

フリーアナウンサー新谷明美

北海道を愛し、人の笑顔に出会うため「心で喋る」アナウンサー。温泉ソムリエマスターの資格を持ち、北海道の魅力を絶えず発掘・発信しています。

URL
http://akemi-niiya.cocolog-nifty.com

お仕事データ

声で「場」を作り上げる
アナウンサー
アナウンサーとは
世の中のさまざまな情報を、
正確に伝える仕事。

世の中のニュースや目の前で起きている出来事、ホットな情報を正確に伝えるのがアナウンサーの仕事。ニュース番組の司会や現場レポート、スポーツ実況、バラエティー番組の進行など内容はさまざまです。主にテレビ局やラジオ局に勤務する他、フリーランスとして番組に出演したり、イベントや結婚式の進行を担当する人もいます。あらかじめ用意された原稿を読むのが基本的な役割ですが、内容をきちんと吟味した上で「最も大切な部分」や「抑揚のつけ方」などを考えて伝えるテクニックが必要です。

アナウンサーに向いてる人って?
滑舌が良く聞き取りやすい話し方。
体力や自己管理能力も必要です。

特別に美声である必要はありませんが、滑舌が良く、聞き取りやすい話し方ができることは重要なポイント。原稿をきちんと読めるよう、日本語や一般常識について幅広く理解していることも求められます。慌てずに対応できる冷静な判断力や失敗してもめげない芯の強さを持つ人も向いているでしょう。また、出演番組によっては生活が不規則になることもあるため、体力に自信があり、自己管理をしっかりとできることも大切です。

アナウンサーになるためには?

アナウンサーの活躍の場は多くがテレビ局やラジオ局。メジャーな放送局は4年制大学卒業を必須条件とするケースがほとんどなので、大学卒業後に就職試験を受けるのが一般的なルートです。在学中にアナウンス技術を学ぶことができる学科やコースもあるため、興味がある方は探してみましょう。アナウンサーの採用試験では「原稿読み」などもあるので、専門的なトレーニングを積んでおくのがオススメです。また、アナウンサーを専門にする大手プロダクションに所属する他、フリーランスとして活動する道もあります。

ワンポイントアドバイス
アナウンサーと
キャスターはどう違うの?

キャスターは一般に難しいニュースに解説を加えたり、コメンテーターの意見を取りまとめて視聴者に伝えたりする「役割」を差します。実は、はっきりとした定義は決まっていません。一方でアナウンサーは専門的な職業。視聴者に聞き取りやすい声で、内容を正確に伝えるのが最大の使命です。キャスターにはアナウンサー以外も起用される場合があり、ジャーナリストやタレントなどがそのポジションについています。