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江上  太悟郎さん
インタビュー公開日:2025.01.22

野球に熱中した少年時代を経て、
実況アナウンサーの言葉が道標に。
UHBの夕方の情報番組「みんテレ」で、入社5年目にしてMCを務める江上太悟郎アナウンサー。野球やバレーボールの実況でもメキメキと実力を表し、今注目の若手アナウンサーです。
そんな江上さんは、高校野球で3季連続甲子園出場を果たした徳島県立池田高等学校の江上光治さんを父に持ち、幼い頃から野球とともに成長してきました。自身も小学4年生から野球に熱中し、高校時代には甲子園出場を果たしました。しかし、高校2年生の時に怪我をし、また自身で「実力不足」と感じ、3年生ではマネージャーとしてチームを支えることに。その後、大学で選手として野球を続けるか迷った時に、高校野球の実況アナウンサーの声が耳に飛び込みました。『選手はまだ諦めていません!』……
「その時、自分より年下の選手が必死に頑張っているのに、僕が諦めていいのか、と奮起し、野球を続けると決めました。同時に、言葉で人の背中を押せるアナウンサーという職業にも魅力を感じたんです」
大学では、準硬式野球部に所属しながらアナウンススクールにも通い、夢に向かって両立。就職活動が始まると、在京キー局、在阪放送局を始め、全国の放送局の選考に果敢に挑戦しました。
コツコツと練習を積んで本番へ。
「初鳴き」は息も詰まる緊張感!
就職活動中、最初に内定が出たのがUHBでした。「最初に夢を叶えさせてくれた会社で頑張りたいと思っていたので、ここに決めました。面接に来た時に感じた先輩社員の温かさや、短所より長所を見てくれるところも良かったですね。北海道は中心街から車で30分も走ると自然豊かな場所があり、四季がはっきりしていて、冬のスポーツがあるため一年を通してスポーツを追いかけられるところも魅力的に感じました」
入社後は、総合職の新入社員と一緒に1ヶ月半の研修を受け、その後は部署の研修でアナウンスの練習を重ねます。そして、6月中旬にいよいよ、初めて地上波に声が乗る『初鳴き』。担当したのは深夜の1分ほどのニュースでした。「アナウンススクール時代からさんざん練習してきたものの、息がうまく吸えないほど緊張しました。アナウンサーはリレーで言うとアンカー。たくさんの人が関わっている番組で、最後に言葉を届ける自分が失敗したら局の信頼を失うと考えると、今でも緊張します」
道東2,000kmを自転車で走破。
北海道の魅力を深く知る旅に。
江上さんは、入社1年目に『みんテレ自転車キャラバン』という企画に挑戦しました。知床峠の頂上からスタートし、羅臼側から南下し十勝の大樹町へ。さらに内陸を北上して雄武町を経て、オホーツク沿岸を走り、ゴールの知床峠に至る約2,000kmを自転車で巡るというもの。道中、気になるスポットを見つけたらディレクターと相談して取材交渉をし、夕方に番組の中継で紹介するという「ヤラセなし」の内容です。
「視聴者の方から直接声を掛けていただき、応援してもらえたのが励みになりました。そして『本当に車を使わず全部自転車で走っているの!?』と驚かれました(笑)。この企画のおかげで多くの方とお話ができ、一次産業に携わる方にも取材ができました。その方たちのおかげで私たちの食卓があることを実感でき、北海道の素晴らしさをより感じることができたと思います」
今は視聴者と直接触れ合う機会は減りましたが、外で触れ合う視聴者の笑顔が見られたり、「放送、面白かったよ」と言ってもらえたりするのがうれしいと江上さんはいいます。
スポーツ実況は事前準備が肝。
台本がないからこその面白さがある。
江上さんが入社時から熱望していたのが、夢の原点でもあるスポーツ実況です。プロ野球の実況でデビューしたのは、入社5年目の夏。チャンスをつかむまで、映像を見て実況をし、録音したものを聞き返したり、目標にしているフジテレビの三宅正治アナウンサーの実況を文字起こししたりと、準備を重ねてきました。また、高校生のバレーボールの全国大会「春高バレー」の現場実況にも携わり、2025年には全国放送の実況アナウンサーに抜擢。自身が経験していないスポーツはルールブックを隅々まで読んで勉強し、戦術などの予備知識も仕入れて臨んでいるそう。
今後の目標は、バレーボールに続いてゴルフでも全国放送の実況をすること。そして、「北海道日本ハムファイターズの日本シリーズの実況をすること!」と目を輝かせます。「毎試合の実況で『勝ってほしい』と思うからこそ力がこもります。スポーツ実況は難しいですが、何が起こるかわからないからこそ心躍りますね」
番組スタッフや北海道の人の思いを
偽りない言葉にのせて伝えたい。
現在は「みんテレ」のMCとして、番組全体を引っ張る進行役を担当。常に新しい情報を届けるため、臨機応変な対応が求められます。「スポーツも情報番組も、選手のすごさやニュースの内容を自分が理解して伝えないと、視聴者の心には届かないんです。下調べを重ねた上で、偽りなく話すことを常に心掛けています」
番組は局のスタッフみんなの力で生み出すもの。また、取材先のお店やスポーツ選手など、北海道で頑張っている人がいて成り立つものだと江上さんはいいます。
「だからこそ、良い番組を作れた時の達成感が大きいんです。また、アナウンサーはその情報を初めて聞く人にもわかりやすく伝わるように、決められた時間の中で無駄なく話さなくてはなりません。そこが大変でもあり、やりがいでもありますね」
フジテレビの「朝の顔」でもあった目標の三宅アナウンサーのように、江上さんは「UHBの夕方の顔であり、信頼される実況アナウンサーに」と、真っ直ぐに突き進んでいます。
シゴトのフカボリ
テレビ局アナウンサーの一日
10:00
出勤、打合せ
10:30
放送に向けての下調べ、取材
13:30
打合せ、仮台本確認
14:00
昼休憩
14:30
放送に向けての準備
15:00
メイク、衣装に着替え
15:30
スタジオにスタンバイ、原稿読み合わせ
16:50
「みんテレ」番組スタート
19:00
番組終了、反省会
19:15
事務処理等
19:30
退勤

シゴトのフカボリ
拝見!オシゴトの道具

日本語発音アクセント新辞典
正しい言葉を音で伝えるアナウンサーには必須の辞典。いつも手元に置き、ちょっと自信がない時は引いて確認しています。
シゴトのフカボリ
みなさんへ伝えたいこと

ニュースもスポーツ実況も、しっかり理解して自分の頭と心に落とし込まないと言葉に思いが乗らないですし、それが視聴者に伝わってしまいます。自分の言葉で偽りなく話すことを常に心掛けています。

北海道文化放送株式会社(UHB)

コーポレートメッセージは「すべては北海道のために」。1972年の開局以来、北海道全域にテレビ番組の放送を行い、道民に親しまれています。

住所
北海道札幌市中央区北1条西14丁目1-5
TEL
011-214-5200
URL
https://www.uhb.jp

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お仕事データ

声で「場」を作り上げる
アナウンサー
アナウンサーとは
世の中のさまざまな情報を、
正確に伝える仕事。

世の中のニュースや目の前で起きている出来事、ホットな情報を正確に伝えるのがアナウンサーの仕事。ニュース番組の司会や現場レポート、スポーツ実況、バラエティー番組の進行など内容はさまざまです。主にテレビ局やラジオ局に勤務する他、フリーランスとして番組に出演したり、イベントや結婚式の進行を担当する人もいます。あらかじめ用意された原稿を読むのが基本的な役割ですが、内容をきちんと吟味した上で「最も大切な部分」や「抑揚のつけ方」などを考えて伝えるテクニックが必要です。

アナウンサーに向いてる人って?
滑舌が良く聞き取りやすい話し方。
体力や自己管理能力も必要です。

特別に美声である必要はありませんが、滑舌が良く、聞き取りやすい話し方ができることは重要なポイント。原稿をきちんと読めるよう、日本語や一般常識について幅広く理解していることも求められます。慌てずに対応できる冷静な判断力や失敗してもめげない芯の強さを持つ人も向いているでしょう。また、出演番組によっては生活が不規則になることもあるため、体力に自信があり、自己管理をしっかりとできることも大切です。

アナウンサーになるためには?

アナウンサーの活躍の場は多くがテレビ局やラジオ局。メジャーな放送局は4年制大学卒業を必須条件とするケースがほとんどなので、大学卒業後に就職試験を受けるのが一般的なルートです。在学中にアナウンス技術を学ぶことができる学科やコースもあるため、興味がある方は探してみましょう。アナウンサーの採用試験では「原稿読み」などもあるので、専門的なトレーニングを積んでおくのがオススメです。また、アナウンサーを専門にする大手プロダクションに所属する他、フリーランスとして活動する道もあります。

ワンポイントアドバイス
アナウンサーと
キャスターはどう違うの?

キャスターは一般に難しいニュースに解説を加えたり、コメンテーターの意見を取りまとめて視聴者に伝えたりする「役割」を差します。実は、はっきりとした定義は決まっていません。一方でアナウンサーは専門的な職業。視聴者に聞き取りやすい声で、内容を正確に伝えるのが最大の使命です。キャスターにはアナウンサー以外も起用される場合があり、ジャーナリストやタレントなどがそのポジションについています。