清水 あかねさん
インタビュー公開日:2024.10.15

教える側の自由度が高い中高一貫校。
中学校の専任教員として英語を担当。
チャレンジ精神に満ちた人。社会の変化に対応し、自ら深く考え行動する人。グローバル・シチズンシップを備えた人。学力だけでなく、こうした要素を備えた『世界に通用する18歳』を育てる。江別市にある立命館慶祥中学校・高等学校のスローガンです。
「そのために、教える側の教員も、それぞれの視点と行動力をベースに、自分なりのアプローチで生徒たちと向き合い、教育に携われる自由度が高いことが一番の特徴といえるかもしれませんね」
そう話すのは、中高一貫で教育指導を行っている同校で、中学校の専任教員として英語を教えている清水あかねさんです。教壇に立って通算8年。ベテランの風情と同時に、教員という仕事に対する熱意が、言葉の端々から伝わってきます。
「2年前に結婚し、産休・育休を経て職場復帰して4カ月ほど経ったところですが、以前よりかえって仕事への意欲が湧いてきている感じです。現場に戻れた充実感が強いですね」
自分は、常に何か目標に向かい、頑張って日々を駆け抜けたいと考えている〝ちょっと疲れるタイプ〟と笑います。話していると、自然と元気がもらえるようです。
弟がいきいきと学校生活を送る姿に、
のびのびとした教育環境を感じて。
ご両親とも、公立中学校の教員という清水さん。幼い頃から教職という仕事を身近に見ながら育ちました。大学進学の時点で教員を目指していたわけではないそうですが、人を教える教育の仕事に価値を感じ、教職課程をとっています。
「英語が好きで、英文学科に進みました。就職活動では、外資系企業や航空会社、旅行会社などを見ていて、面接に臨んだ企業もありましたが、並行して行われた教育実習のなかで、教員が自分にふさわしい仕事かもしれないと思わせてくれるできごとがあったんです」
教育実習先の高校の先生からかけられた〝笑顔で授業をしていましたね〟という言葉が決め手になったのだと清水さん。笑顔で取り組める仕事なら、きっと適性があるのではないか、そう感じることができたと話します。
「そのなかで、立命館慶祥中学校・高等学校に目が向いたのは、弟の影響が大きいですね。当時、この学校の高校3年生だった弟は、入学をきっかけに大きく変わり、いきいきとしたようすで学校生活を送っていたんです」
弟さんのそんな姿から、のびのびとした教育現場が想像でき、自分の考えを活かしながら指導を行い、生徒の成長を支えることができる環境があるのではないかと考えたのだそうです。
一旦、退職して留学と、営業職を経験。
社会で必須になる考え方を教育に活かす。
教員採用試験にのぞみ、合格となった清水さん。常勤講師という立場からのスタートでしたが、英語の教科担当というだけでなく、クラス担任にも抜擢されて生徒を受け持ちました。
「常勤講師を4〜5年務めると、正社員である専任教員を目指す人が多いのですが、私は実は、そのタイミングで一度退職しているんです。学生時代、サービス業でアルバイトをした経験はありますが、社会人としては学校という場所しか知らず、生徒に教えられることの幅、深さが足りないのではないかと……」
そう考えた清水さんは、大学の卒論でも研究し、その教育制度に興味を抱いていたフィンランドに留学。その後、情報関連企業で、第一線の営業スタッフとして働きます。
「2年ほど経った頃、〝戻ってきませんか〟と本校から声がかかり、専任教員となって今に至ります。企業の現場では、答えのない課題に向き合うことも多くありました。仮説を立て、行動し、その結果を元に次の一手を考える。社会で必須となるこうしたプロセスは、教育現場で実践しておくことが有効だと考えました」
生徒たちには、ただ答えを教えていくのではなく、問いを与えて、そこから最適な解をどう導き出すかを考えさせる、という授業を意識して実践しているのだと清水さん。
生徒の心に火が灯る瞬間をとらえ、
背中を押しながら成長を支えていく。
「まずは行動、実践してみることの大切さも、生徒には伝えています。英語を教えるうえでも、文法の説明などはできる限り短く。あとはたとえば、その日に覚えるフレーズを使って英文を組み立てたり、隣の人とそれを用いたダイアログ=対話を行ってみよう、といったことを、どんどんやっていきます」
言葉はコミュニケーションの手段。正しい文法や単語の変化などの知識も大事ですが、実際に書いてみて、話してみることが、理解を深めるうえで必要なのだそうです。
「一人ひとりの良いところ、優れた部分について、ポジティブな言葉をかけ、ほめることも意識しています。そうすると、安心感や自信が湧き、自分は、これでいいんだ〟という自己肯定感につながっていくと思うんですね」
それまで、英語にはあまり興味を示さなかったものの、中学3年の時に行われるニュージーランド研修をきっかけに、英語へのモチベーションが急激に高まった男子生徒がいました。清水先生は、その変化を捉えて学内で行われる英語のスピーチコンテンストへの参加を提案し、学年のオーディションでみごと選ばれたというできごとがあったそうです。
「心に火が灯る瞬間は、一人ひとり違います。そのタイミングを逃さず、背中を押していきたいですね」
授業だけではなく学校運営にも関わる。
自分の頑張りで変えていける環境。
清水さんは、英語の授業以外に、高校のチアリーディング部を担当し、大会の参加手続や会計など事務作業も行っています。中学、高校の枠を超えた役割を果たせるのも一貫校の特徴といえます。高校に教えに行ったり、逆に高校の先生が教えにくることもあるのだそうです。
「学校の運営に関わる業務(校務分掌)も大切な仕事。私は現在、二つの業務を担当しています。一つは、留学生の受け入れとサポート。ホストファミリーとなる生徒と留学生のマッチングなどを行っています」
もう一つは、立命館大学との連携業務。中学2年生の秋に行われる京都研修のなかで、大学での模擬講義が行われますが、そのための教授との調整を行っているのだそうです。こうしたやり取りには、情報関連企業で経験したビジネススキルが役立っていると話します。
「英語教育については、学年ごとの到達レベルやカリキュラムなどをより明確にし、指導の質を高めるといったことに関わっていきたいと今は思っています。自分の頑張りで変えていける部分が多い環境であることも、モチベーションにつながっていますね」
学校の広報活動にも関心があると話す清水さん。入試実績をアップさせ、学校の経営にも貢献していきたい。そんな、バイタリティを秘めたよく通る声が、今日も教室に響いています。
シゴトのフカボリ
教員(私学の中高一貫校)の一日
8:00
出勤
8:25
教員打ち合わせ、授業準備
9:45
授業
10:45
学校運営に関する会議
12:00
昼食・休憩
12:30
部活の事務作業、授業の打ち合わせ
13:20
授業
14:10
休憩
14:20
授業
15:10
清掃、明日の準備など
17:00
帰宅
*育休明けのため時短勤務。通常は18:00に帰宅
シゴトのフカボリ
拝見!オシゴトの道具
イヤホン
その日に教える新しい単語について、授業前にイヤホンをつけて発音をしっかりと聞き、表記されている発音記号も確認。常に正しい発音で教えられるようにしています。
シゴトのフカボリ
みなさんへ伝えたいこと

自分が思い描く人生を送ってほしい。これは、生徒たちに向けた想いであるとともに、自分自身へのエールにもなっているんです。そのために、お互いに日々、努力し高め合っていきたいという思いも込めています!

立命館慶祥中学校・高等学校

学校法人立命館が運営する中高一貫校。先進的な理数教育を行う高校として、文部科学省によりスーパサイエンスハイスクールに指定されています。

住所
北海道江別市西野幌640-1
TEL
011-381-8888
URL
https://www2.spc.ritsumei.ac.jp/

お仕事データ

授業や学校行事の運営を。
学校教師
学校教師とは
児童や生徒一人ひとりと向き合い、
学習や生活を指導する仕事。

公立・私立の学校で、生徒に学習や生活を指導するのが学校教師。満6~12歳の児童を対象にした「小学校教師」と国語や数学、英語など単一教科を専門に生徒に教える「中学校教師」「高校教師」に分けられます。学校教師の仕事は多岐にわたり、授業はもちろん、担当クラスの受け持ちや、部活動の顧問として活動することも。また学校行事の運営や地域社会との協力活動なども仕事のひとつ。子どもたち一人ひとりと向き合うことは大変な反面、やりがいも多く感じられます。

学校教師に向いてる人って?
面倒見の良い性格で、
指導力を発揮できる人。

学校教師は、児童や生徒に対し責任感を持って向き合える面倒見の良い人に向いているでしょう。さまざまな仕事を抱えながらも、日常生活の小さな問題解決から、進路についてのアドバイスなど、その都度一人ひとりに対して根気強く向き合う辛抱強さも求められます。また児童や生徒を引っ張っていくための指導力も必要です。

学校教師になるためには

学校教師になるためには「教員免許」が必要です。具体的には、小学校教師は「小学校教諭免許」、中学校教師は「中学校教諭普通免許」、高校教師として働くためには「高校教諭普通免許」と、それぞれの教員普通免許を取る必要があります。資格取得後は、公立・私立で採用方法は異なりますが、各施設が実施する教員採用試験に合格すると晴れて学校教師として働けるようになるでしょう。

※教員免許の取得については、詳しくは文部科学省のホームページをご確認ください。http://www.mext.go.jp/

ワンポイントアドバイス
ところで副担任の仕事って?

副担任は、担任をサポートしながら学級運営に携わっていく教員。担任が休みの日は代わりにホームルームを開いて生徒の生活指導を行い、出欠の確認をすることもあります。担任と比べて副担任には自由な時間が多く、一人ひとりの生徒と密に関わりやすいというメリットも。そうしてより良い関係を作り、スムーズな学級運営を進められるように担任をフォローするのが副担任の役割です。