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千葉 浩弥さん
インタビュー公開日:2025.01.20

使われなくなったプラスチックを
再資源化して発電所の燃料に。
日本のエネルギー自給率は2021年度で約13%。エネルギー自給率とは、暮らしや経済活動に必要なエネルギーのうち、自国内で確保できる割合を指し、石油や天然ガスなどの資源に乏しい日本は、そのほとんどを海外からの輸入に頼っています。これは他の先進国と比較しても低い水準です。
こうした中、使われなくなったプラスチック(廃プラスチック)を発電燃料へリサイクルする事業で注目されているのが北海道サニックス環境という会社。住まいやビルのメンテナンスから産業廃棄物のリサイクルまで幅広い事業を手掛けるサニックスのグループ企業で、同じ苫小牧市内でプラスチック燃料専用の発電所(株式会社 サニックスエナジー)も稼働しています。
「入社した時は『発電所』で働くんだと思っていて(笑)」と笑顔で振り返る環境事業部の千葉浩弥さんにお話を聞きました。
「世界初」に興味。
入社後はパートさんに教わることから。
生まれも育ちも苫小牧という千葉さん。苫小牧工業高校を卒業し、最初に働いたのは業界大手の農機具メーカーでした。胆振管内の営業所でトラクターやコンバインなどの大型農機の整備を担当し、約5年勤務。転職を考えて就職先を探す中、ハローワークの求人で北海道サニックス環境を知りました。
「『世界初!プラスチックを燃料にする火力発電所』と書かれていて、世界初ってスゴそうだなと思ったんです。実際はその燃料を作るのが仕事なんですが、当時は発電所で働くんだと勘違いをしていて(笑)。面接を受けて発電所じゃないことはわかったんですが、前職より待遇も良かったですし、なんだか面白そうだとそのまま就職を決めました」と笑顔で話す千葉さん。
どんな仕事ですか?と尋ねると、
「この工場では、提携している収集業者が運んできた廃プラスチックを選別、粉砕、圧縮して、燃料として出荷する仕事をしています。大量のプラスチックを運んだり、機械に投入したりするのに重機を使いますが、入ったころは重機の免許もなかったので、パートさんたちに混じって選別や梱包に携わり、プラスチックの種類を覚えることからスタートしました」と、懐かしそうに話します。
ただ燃やすだけじゃない。
安定稼働させる質の良い燃料を製造する。
一口にプラスチックと言っても、詳しく見ると様々な種類があります。レジ袋に使われるPE(ポリエチレン)やペットボトルでおなじみのPET(ポリエチレンテレフタラート)、自動車部品などに使われるPP(ポリプロピレン)など。見た目は同じように見えても種類によって性質は大きく異なります。
「私たちの仕事にとって影響が大きいのは、燃料にした時のカロリー(エネルギー)に差があることです。例えば、PEやPPはカロリーが高く燃えやすい一方、ペットボトルの素材であるPETはカロリーが低く、燃料としてはあまり適していません。また、プラスチック類は燃焼させると塩素ガスが発生し、これも種類によって濃度が異なります。出荷先はサニックスグループの発電所だったり、製紙工場だったりするのですが、出荷先毎にカロリーの基準、塩素濃度の基準が定められているので、プラスチックをうまくブレンドして、基準を満たすようにするわけです。ただ破砕して梱包すれば良いというわけではありません」と、詳しく教えてくれました。
効率的に燃料を製造する司令塔。
チームワークの良さが自慢。
工場で加工・梱包されたプラスチック燃料は「ベール」と呼ばれ、敷地内に保管されます。一個あたりの重さは400〜500kg。一時間あたり最大で18個のベールが製造され、1日では120トンのプラスチックが処理されるといいます。
「私の仕事は燃料を効率よく製造する司令塔のような役割。ブレンドするプラスチックの種類を見極め、機械への投入量をコントロールします。入れすぎると処理能力が低下してしまいますし、少なければ機械を無駄に稼働させることになります。効率よく機械を稼働させ、いかに目標とする製造量をクリアするかが腕の見せ所なんです」
機械である以上、時にはトラブルが発生することもあるという千葉さん。
「でもうちの場合、よほど大きなトラブルでない限り、チームのメンバーが自分たちで修理を行うんです。機械の特徴を熟知したベテランを中心に、みんなでトラブルを解決します。幸いこの工場のメンバーは仲が良く、チームワークも抜群。私がここで15年以上も働き続けられたのも、人間関係が良かったからだと思っています。みんな、助け合って仕事をしているんです」
プラスチックを運搬する業者さんからも「サニックスの工場は優しい人が多い」と言われ、職場の雰囲気は外部からも評判が良いと、千葉さんは誇らしげに語ります。
廃プラスチックのリサイクルで
未来を照らすエネルギーをつくっている。
プラスチックは私たちの暮らしに欠かせないものですが、自然には分解されず、海洋プラスチックも世界的な問題となっています。だからこそ、適切に分別・処理してリサイクルすることが重要。同社の製品が未来をつくるエネルギーの源になっていることに、千葉さんは大きなやりがいを感じていると話します。
「入社した時はそこまで立派なことを考えていたわけではありません。ただ、重機に乗れるのが楽しくて、思い通りに動かせた時の満足感や達成感で働いていました。ところが長く働くうちに、自分の仕事が世の中に貢献していることを誇りに思うようになっていきました。この会社がなければ廃プラスチックはどうなってしまうのかと、考えるようになり、やりがいを感じるようになったんです」
ここ数年、SDGsへの関心の高まりもあって、会社への注目度が高まっているのを感じているという千葉さん。
「廃プラスチックの受け入れもさらに増える見込みなので、効率よくリサイクル燃料を製造していけるように設備や人材の充実を図っていくことが今後の目標ですね」
シゴトのフカボリ
リサイクル工場スタッフの一日
8:15
出勤
8:30
朝礼〜清掃作業
9:00
工場見回り、作業確認
9:30
夜勤からの引き継ぎ
10:00
工場で作業
12:00
昼休憩
14:00
中番シフトへの引き継ぎ
15:00
事務作業
17:30
退勤

シゴトのフカボリ
みなさんへ伝えたいこと

どんな職業でも一緒に働く仲間へのリスペクトと信頼が大切。私自身、良い仲間に恵まれたからこそ仕事を楽しむことができているんです。

株式会社 北海道サニックス環境

廃プラスチックの燃料化リサイクルに取り組む。加工したプラスチックは、化石燃料の代替として、グループ会社の発電所にて使用。プラスチックをエネルギーとして循環させ、資源循環型社会の実現に貢献している。

住所
北海道苫小牧市字勇払265-4
TEL
0144-52-2200
URL
https://hsk.sanix.jp

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お仕事データ

工場内で製品を生産。
製造工
製造工とは
製品の加工や組み立て、
メンテナンスなどものづくりに携わる仕事。

製造工は家電やパソコン、電子機器といった機械製品から、住宅用資材、紙、プラスチック用品、さらには施設の一部に使われる大型製品まで、多種多彩なものづくりに携わる仕事です。主に工場のライン作業によって各パーツを加工したり、部品を組み立てたり、さまざまな工程を経て一つの製品を完成させます。一方で、繊細な手作業によってものづくりを行う職場も少なくありません。「つくる」だけではなく、製品の最終検査や梱包・出荷、納品後のメンテナンスや修繕を担うこともあります。いずれの作業もものづくりの世界には欠かすことができませんが、未経験者にも門戸を開く企業が多いことからチャレンジしやすい仕事です。

製造工に向いてる人って?
「ものづくりが好き」で、
根気強さと注意深さを持っている人。

製造工には「ものづくりが好き」という気持ちが欠かせません。作業自体は決められたマニュアルやルールに沿うケースが多いことから、同じ作業をコツコツと続けられる根気強さも必要です。また、機械で加工した部品に不良がないかチェックしたり、製品の最終検査をしたりすることもあるため、注意深いタイプの人も向いているでしょう。

製造工なるためには

製造工になるために必要な資格はありません。多くの場合、工業系の高校や専門学校、短大・大学を卒業後、製造工場を持つ会社に就職するのが一般的です。知識やスキルは入社後の教育・研修によって身につけられるため、未経験からでも挑戦しやすい仕事といえるでしょう。職場や手がける製品によっては、後々「フォークリフト」や「玉掛け」などの資格取得をすすめられることがあります。

ワンポイントアドバイス
マルチスキルを持った製造工が
今後のカギを握る存在に!?

これまでの製造工は、一人が一つの持ち場だけを担当するケースが一般的でした。けれど、ここ最近は複数台の機械を操作できたり、多くの作業や工程を担える技術を身につけたり、マルチスキルを習得させる企業が増えているようです。そうすることで皆で仕事を分散して業務量を平準化できる他、チームワークや組織の柔軟性が高まるといわれています。今後はマルチスキルを持った製造工が会社のカギを握りそうです。