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札幌市職員(電気職)_籏谷 駿基さん
インタビュー公開日:2025.03.19

築半世紀を超える市役所本庁舎の
維持管理とともにトラブルにも即応。
1972年2月に開催された札幌オリンピックを契機に、市内では様々な開発が進みました。前年の1971年には、さっぽろ地下街や札幌市営地下鉄が開業し、市政の中枢を担う札幌市役所も同じ年に完成。地下2階・地上19階建てのこの庁舎は、当時市内で最も高いシンボル的な建物でした。
この歴史ある庁舎の維持管理・修繕・各種点検を担当するのが、札幌市総務局行政部庁舎管理課です。その一員として日々業務にあたるのが、電気の技術職である籏谷駿基さん。
「竣工から50年以上が経過したこの建物を安全かつ快適に保つため、電気設備や消防設備の年次点検の手配、修繕工事の発注・管理などを行っています」と籏谷さんは語ります。
しかし、庁舎管理の仕事はそれだけではありません。突発的なトラブルにも即座に対応するのも重要な役割です。
「パソコンがダウンした、電話がつながらなくなった……。そんな連絡を受けてすぐに対応することもあれば、デスクの配置変更に伴うコンセントの位置変更などの工事も行います。
執務中にできない工事は、夜間や休日に行うこともあるそうですが、経験を活かしながらの仕事には充実感があるのだと、ちょっと胸を張ります。
大手建設会社での充実した施工管理業務。
そのなかで感じた自分の将来への疑問。
札幌市役所に入庁して9年目になる籏谷さんですが、それまでは建設会社の技術者でした。
「大学では電気関係を専攻していましたが、特にやりたいことはなく、数学が得意だったというのが理由。同級生が道内の国立大学を目指すのを見て、自分も進学したというのが本音。建設会社に入ったのも、教授のアドバイスがきっかけでした」
いずれも、あまり主体的ではなかったと振り返る籏谷さんですが、実家がリフォーム業を営んでおり、建築関係の仕事に漠然と興味があったこと、また就活の時期に地元・札幌以外の世界を見ておきたいという気持ちもあり、本州の大手企業を選びました。
「マンションや病院、商業施設などの電気工事の現場管理を担い、ゼロから工事を始めて建物が完成した時の達成感は、それは大きかったですね。最初の3年間は、とにかく業務スキルを身に付けたいという一心でがむしゃらに働き、充実していました。一方、ある程度1人で現場を動かせるようになり余裕が出てくると、ちょっと迷いも出てきて……」
仕事は充実し、待遇も十分。しかし、責任が大きくなるほど忙しくなり、休みも取りにくい状況でした。(※籏谷さんが施工管理に従事していたのは、働き方改革関連法の施行前のことです。)
このまま道外で働き続けるべきなのか……そうした疑問が次第に膨らんでいきました。
札幌市役所の幅広い業務内容に興味。
現場管理をしながら試験勉強に邁進。
「札幌に戻って、自分が納得できる働き方がしたい。そんな思いを抱きながら帰省した際に、新卒で札幌市役所に入庁していた友人の話を聞き、興味が湧きました」
それは、イメージとは違った仕事の幅の広さ。同じ電気系の技術職でも、現在担当しているような建物の管理から、水道局の施設、地下鉄の車両や運行の管理、環境・エネルギー分野など、実に多様な業務があり、経験を活かせる機会があることを知りました。また、休みの取りやすさなど福利厚生面、さらに、3〜5年単位で異動はあるものの、札幌市内でずっと働き続けられる点も大きな魅力でした。
「まだ20代だったので、新卒と同じ一般方式でエントリーする必要があったため、入庁を目指してから試験までの半年間は、とにかく集中して勉強しました。参考書を購入し、1日の勉強時間にノルマを自ら設定。現場管理の仕事が夜遅くなっても、必ず机に向かいました。現場が終わると『一杯、行くか?』となることが多いのですが、その誘惑を断って(笑)」
自分が決めたことには、とにかく一直線。何事も、中途半端にできない性格、と話す籏谷さん。その努力は実り、晴れて札幌市職員になることができました。
学校の電気工事の設計・施工管理を担当。
児童の喜び、驚きの声がうれしい!
入庁後、籏谷さんが最初に配属されたのは、札幌市の所有施設の新築・改築工事を担当する都市局建築部電気設備課。学校を中心に、市民活動の支援を行うまちづくりセンターなどを担当する係に所属しました。
「施設の新築や改修にともなう、電気関連の設計・施工管理が主な仕事です。設計事務所と打ち合わせを行い、教育委員会、学校の校長・教頭先生などの要望を聞きながら設計内容をまとめ、工事が始まると工程・品質のチェックなどを実施し、完成まで見届けます」
学校など建物の種別に応じた建設マニュアルに基づいて設計を行うと同時に、授業に支障が出ないように工事を進めるなど、多方面への目配り、調整が大切になるのだといいます。
工事が終わり、児童たちから「きれいになった!」「ありがとう!」と声をかけられる瞬間が、何よりのやりがいだといいます。
「関係者とともに時間をかけ、苦労して完成させた成果を地域に還元できるのは、市役所ならではの喜びですね」
市民との関わりを通して、故郷に貢献できるという喜びが、その言葉から感じられます。


業務知識を活かしながら関連部署へ。
安定しつつ常に変化があるところが魅力。
「市内の小学校で行っている、お仕事紹介の出前授業を担当したこともあります。職人さんのアイデアで、実際に釘を打つ体験型の仕掛けなども行い、子どもたちからは『楽しかった!』、先生からも『またやってほしい』と言ってもらえた時はうれしかったですね。」
電気設備課で4年を過ごし、同じ建築部の保全課に異動した籏谷さん。市が所有する施設を、不具合のない状態に保つための改修計画の立案や予算編成などを担当する部署で、現在の管理課に移るまで4年間、その業務に携わりました。
「前の部署で担当していた工事の実施を決めるセクションです。業務内容自体は、まったく違いますが、仕事としてはつながっています。それまでの知識がそのまま活かせますし、そうやって部署を異動しながら、関連する幅広い業務に関われるのも市役所だからこそですね」
その環境をプラスに受け止め、様々な部署に関わるなかで、自分自身の引き出しを増やしていきたいと、籏谷さんは話します。仕事の分野が多岐に渡っているため、時には得意ではない業務に就く時期もあるかもしれないものの、異動により、自分をより活かせる仕事を担当できるチャンスもある。安定した環境と同時に、常に変化があるところに面白さを感じていると、笑顔を見せます。
シゴトのフカボリ
札幌市職員(電気職)の一日
8:45
出勤・始業、メール確認
10:00
維持管理業務、修繕に関する依頼・打ち合わせなど
12:15
昼休憩
13:00
修繕等の対応、工事発注の準備など
17:15
終業・退勤

シゴトのフカボリ
拝見!オシゴトの道具

付箋
維持管理の手続き、修繕への対応、トラブル対応など、日々、やるべきことはすべて付箋に書き、パソコンのモニター周りに貼り、タスクが終了したら剥がします。メモだとなくす危険性があり、携帯に入れると書いたことを忘れるので、眼に見える付箋が一番です。
シゴトのフカボリ
みなさんへ伝えたいこと

著名な実業家の著書に、「何が好きかではなく、何が得意かを見定めて仕事を選ぶべき」という言葉があり、共感したのを覚えています。自分の強みを知れば、それを活かせる自分に合った仕事を見つけやすくなるはずです。

札幌市役所

都市計画、地域振興、保健福祉、市税、環境保全、産業振興、観光、スポーツ、教育、消防、交通、水道、病院事業などの幅広い分野において、190万人を超える市民の暮らしを支える地方行政全般の業務を行っている。

住所
北海道札幌市中央区北1条西2丁目
URL
https://www.city.sapporo.jp

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お仕事データ

より良い暮らしのために
市町村役場職員
市町村役場職員とは
地域住民の暮らしに密着し、
行政サービスを提供。

市町村役場の職員は、警察官や消防士、教員と同じいわゆる地方公務員。地域住民の生活に密着した基礎的な行政サービスを担います。例えば、戸籍住民登録や各種諸証明の発行などの手続き、上下水道の整備、公園や緑地の整備、各種施設の運営管理など業務の幅は多彩です。一般的に「事務職」と「技術職」に分かれています。

市町村役場職員に向いてる人って?
「そのマチが好き」という気持ちがある。

丁寧で親しみやすい態度が好感を得るためのポイント。多くの自治体が厳しい財政状況にある今、市町村役場の職員はコストをかけることに対して地域住民にどんなメリットをもたらすのかを考え、住民サービスや施策を検討する必要があります。もちろん、「そのマチが好き」という気持ちは大前提です。

市町村役場職員になるためには

各自治体の採用試験を受験します。内容は市町村や受験職種によって異なりますが、事務職の場合、特に資格は必要なく、法律や一般常識などの筆記試験と、作文や面接などが行われるのが一般的。技術職は保健師や土木分野など、該当する資格や技能、専門的知識を問われることもあります。

※受験資格も各自治体で異なるため、詳しくは市町村のホームページをご確認ください。

ワンポイントアドバイス
幅広い仕事を経験。

市町村役場の事務職は、3~4年ほどのスパンで異動するケースがほとんど。それまでと全く畑違いの課で働くことは苦労も多い分、幅広い知識と経験が身につくこともメリットです。市町村役場の中の仕事を一通り覚えて、行政全体の流れを把握できて一人前と言われています。