相原 陵平さん
インタビュー公開日:2020.01.08

帯広のソウルフード・インデアン。
入社5年、店長の補佐を任される。
400円台の価格、スパイシーでどこか懐かしい甘辛のルー。夕方になると、鍋持参で買いに来る常連さんもいる帯広のソウルフード。オープンから半世紀、市内・近郊の人々に愛され続けるカレーショップインデアンです。
「小さい頃から食べていた地元の味。でも、そこで働くとは思ってもいませんでした」そう話す相原陵平さんですが、高校卒業後に運営会社の藤森商会に入社して、はや5年。店舗スタッフとして経験を積み、3店舗目の配属となる「みなみ野店」で店長の補佐を任されています。
「店長が不在の時は、自分が店舗の責任者として運営を担当します。といっても、まだ、わからないことばかり。必要な知識、ノウハウなどを一つひとつ学んでいる段階です」
たとえば、接客や調理など店舗スタッフとしての業務に加えて、パート・アルバイトスタッフの指導といった管理者としての役割が求められます。気持ちよく働けるように気遣いをしつつ、必要な指摘はきっちり行う。そのバランスの取り方などを、店長の姿を見ながら身につけようとしている相原さんです。
バイト経験ゼロで社会人デビュー。
先輩のやさしい指導で定着、成長。
相原さんがカレーショップインデアンで働き始めたのは、高校の先生の紹介がきっかけ。高卒の人材を採用し、ていねいに指導を行うことで、優秀な社員に育成しようという取り組みを同社が進めていたタイミングでした。
「両親とも飲食関係の仕事をしていますが、私はその世界に進もうと積極的には思っていませんでした。安定して働いていければ、どんな分野でもいい、という感じでしたね」
 そこに現れた、インデアンという馴染み深い名前。地域で働けることも魅力に感じて入社を決めた相原さん。とはいえ、アルバイト経験もなく、いきなりの社会人デビューだったこともあり、最初のうちは必死だったと振り返ります。
「必要なことを覚えていくだけで精一杯でしたが、私の仕事を見て〝こうすると、うまくできるよ〟と、先輩にやさしく指導していただけたことが、支えになりました」
 希望や適性に合わせた配属や、メンタル面でのサポートがあったことも、定着できた理由と話しています。
カレーの必要量をピタリと当てる店長。
その姿を追って、研究を重ねる日々。
インデアンのカレーは、セントラルキッチンでベースをつくり、各店舗に届けるという方式を採っていますが、店舗ごとに日々、必要な量は異なります。無駄を出さないよう、かつ、足りなくならないように見極め、発注することも、店舗運営の大きなポイントなのだそうです。
「天候や気温、さらに近隣の学校で行事があるなどといった状況で、必要な量が変わります。情報を集め、経験則も生かしながら発注しますが、的確な判断ができるようになるには、まだまだ勉強が必要だと実感しています」
時々、発注を任されることもありますが、その際には、自分の考えと実際に出た量を比較し、研究を行っているのだとか。カレーの量から、カツやハンバーグなどトッピングの数まで、感覚を研ぎ澄ませていつもピタリと当てる店長の姿がかっこいい。憧れの眼差しで見つめながら、1日も早く追いつけるよう、相原さんは日々、その背中に学んでいます。
カレーの味を整える職人的な技術。
〝おいしい!〟が何よりうれしい。
セントラルキッチンから届くカレーを、商品として仕込むところから1日は始まります。インデアンのカレーといえばどの店舗でも共通の味が楽しめますが、最終の仕込みは毎朝各店舗で行う為、お客さんは気づかないほどの微妙が違いも出るのだとか。
「辛さひとつとっても、仕込みによって100%同じにはなりません。そのなかで、自分が仕込んだカレーをお出しして〝おいしい!〟と言っていただける時は、本当にうれしいですね」
 その采配を行うのも、店長の役割。仕込んだカレーに対して、店長から〝この味だ、いいね!〟と褒められる時も、やりがいを感じると相原さん。時間が経つにつれて煮詰まってしまうカレーに専用のスープを加え、常時同じ味に整えることもカレーづくりのテクニック。そんな、ちょっと職人的な技術も駆使しながら、インデアンのカレーはお客さんに提供されています。
「その傍らで、スタッフの動きにも目配りが必要な店長の仕事。まだまだ壁は高いですが、乗り越えていきたいと思っています」
お客さまへのサービス向上につとめ、
自分のファンをつくっていきたい。
相原さんが勤務する「みなみ野店」は20席の小規模な店舗。そこに連日、数百人のお客さんが訪れ、昼時には外まで行列ができます。
「お客さまの食べるスピードは変えられませんが、カレーを提供する時間を短くすることはできます。それが、今の目標の一つです」
 ご飯の盛り方、カレーを温める火の強さなどを少しずつ調整することで、より早く提供し、お客さんの回転をあげて待ち時間を少なくしたいと話します。
「それと、お客さまの表情をしっかり捉えること。忙しい時間帯はカレーづくりに意識が行ってしまい、どんなふうに召し上がっているかという目配りが疎かになりがちなので」
 お客さんのようすを把握するとともに、常連さんなら、好みのメニューを覚えることで、サービスの向上につなげる。そして、自分のファンをつくっていきたいと相原さん。
「店舗が変わっても、その店長に会いたいと、異動した先にまで食べに来られるお客さまがいます。自分もそんな店長になりたいですね」
 そのために日々、成長を目指したいと、言葉に力を込める相原さんです。
シゴトのフカボリ
飲食店店長補佐の一日
10:00
出勤、レジの準備、
ホール整備(薬味に確認など)
11:00
オープン、カレーづくりのサポート、
トッピングの管理、洗い物
13:00
休憩
15:00
店舗業務のサポート、事務作業
20:00
退勤
※遅番勤務の一例になります

シゴトのフカボリ
みなさんへ伝えたいこと

お客さまと出会う、その瞬間、瞬間に最高のサービスをお届けできるよう意識しています。また、いろいろな方と出会えることが、この仕事の魅力だと実感する日々です。

株式会社 藤森商会

1899年創業。帯広駅の待合所からスタートした「藤森食堂」は100年以上もの間、帯広市民に親しまれている。1968年にインデアンカレー1号店をオープン。帯広市および近郊、釧路市に展開。地域にこだわり、地域に根ざした事業を行っている。

住所
北海道帯広市西2条南11丁目8番地
TEL
0155-26-2226
URL
http://www.fujimori-kk.co.jp/indian/

お仕事データ

おいしさと快適な時間を提供。
飲食店スタッフ
飲食店スタッフとは
接客や調理によって、
お客様に「おいしい時間」を。

飲食店の仕事は、多くの場合「ホール」と「調理」に分けられています。ホールスタッフは主に接客サービスを担当。客席への案内や注文のお伺い、配膳、会計などを行います。調理スタッフは料理の下ごしらえや味付け、調理、盛り付けに加え、キッチンの清掃や調理用具の手入れなども担うことが多いでしょう。さらに、飲食店店長がホール・キッチンスタッフのマネジメントや教育を手がけ、売上の管理や食材の発注、営業計画といった幅広い業務も守備範囲に据えながら店舗全体を運営しています。店舗の規模によっては各ポジションを兼務することもあるでしょう。これら飲食店スタッフはお互いに連携しながら、お客様に「おいしさ」と「快適な時間」を提供しています。

飲食店スタッフに向いてる人って?
明るく清潔感があり、
チームワークを大切に働ける人。

飲食店スタッフに共通して必要なのは食に対する興味はもちろん、おいしい料理とともに快適なひとときを提供したいという気持ちです。また、接客や調理をともなう仕事である以上、明るく清潔感のある人が求められます。ランチタイムやディナータイムといった忙しい時でも、お客様にスピーディーに料理を提供しなければなりません。そのため、チームワークを大切に、効率良く作業を進める力も必要です。

飲食店スタッフになるためには

飲食店スタッフになるために必要な資格はありません。高校や専門学校、短大、大学を卒業後、希望する飲食企業に入社するのが一般的です。その他、調理専門学校で調理の基礎や調理師の資格を身に付けたり、栄養士養成施設として指定認可された学校で栄養士の資格を取ったり、食に関連する学校に進んだ後に就職するコースを選ぶ人も少なくありません。ホールスタッフや調理スタッフとして経験を積んだ後、飲食店店長を目指すことも可能です。

ワンポイントアドバイス
スタッフのマネジメントが
とりわけ大切な仕事。

飲食店店長を筆頭に、ホールや調理のリーダー職を務める飲食店スタッフにとって、人材のマネジメントは売上に関わる重要な業務。部下やアルバイトをまとめ、一人ひとりが生き生きと働けるよう管理・教育することでやる気と能力が引き出されます。具体的には人員が不足しないように配慮しながら休み希望を取り入れたシフトを作成したり、元気のない人に声がけしてモチベーションを高めたり、仕事への意欲を促すことでお客様への貢献につなげることが大切です。

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