武藤 玲さん
インタビュー公開日:2021.06.09

ゼロからのスタートで、型枠大工に。
その経験を経て施工管理業務へ異動。
入社5年目を迎えた武藤玲さん。RC(鉄筋コンクリート)造のアパートや戸建住宅など、大田工務店が手がける建築物の施工管理を担当しています。工事に必要な図面(施工図)をつくり、施工スタッフ・資材を手配し、工事のスケジュールを立てるとともに、現場では工事の品質や作業の安全を管理するなど、その役割は多岐に渡ります。
「ようやく、ひと通りの流れを覚え、基本的な管理業務ができるようになってきたという段階。まだまだ勉強中です」
そう話す武藤さん。施工管理の仕事に就いたのは実は2年前です。それまで3年間は、同社の型枠大工として現場で作業を行っていたのだそうです。まったくの未経験からスタートし、型枠大工として仕事を任されるレベルになった頃、同社の代表から『施工管理をやってみる気はないか?』と誘われます。
「建物づくり全般をコーディネートする施工管理の仕事。楽しそうだなと直感して、お受けしました」とジョブチェンジへの思いを語ります。
生コンを流し込む型をつくる仕事。
できあがった壁に達成感を覚えた。
RC造の建築物は、生コンと呼ばれる柔らかなコンクリートを「型」に流し込んで壁や床をつくります。武藤さんが3年間、担当した型枠大工というのは、この型を組み立てる専門の大工さん。武藤さんは見習いとして採用され、研修を経て現場に出ていきました。
「先輩について現場に入り、少しずつ作業に関わりながら指導していただくというスタイルで仕事を覚えていきました」
型枠の製作を部分的に任せては、間違えている部分を指摘するという指導により、実践的に学ぶことができたので理解しやすく、覚えやすかったと武藤さんは振り返ります。
「自分が組んだ型枠が外され、コンクリートの壁を目にした時は達成感が湧いてきました。わずかな範囲でしたが、うれしかったですね」
夏の暑さに冬の寒さ。身体が慣れるまでは体力的にも大変さを感じたそうですが、だから嫌だとか、辞めたいと思ったことはないという武藤さん。ソフトな面持ちのなかに、逞しさがのぞきます。
父親の姿を見て建築の仕事に憧れ、
あきらめずに1年間、求職活動。
「住宅の基礎配筋の仕事をしている父の姿を見るうちに、建築の仕事に興味が湧き、大工になりたいと思うようになっていました」
そして、高校の就活時には工務店をはじめ大工仕事のある職場を探しましたが、思うような募集に出会えず、別の仕事に就いた武藤さん。それでも夢をあきらめずに1年間、求人情報の収集を続け、出会ったのが大田工務店でした。
「型枠大工の見習いを募集していたことに加えて、面接に来た時、やさしそうな方ばかりだったことも入社を決意した理由です。大工=職人の世界には、ちょっと怖いイメージも抱いていたので(笑)」
実際、入社当初は怒られた記憶すらないと話す武藤さん。先輩に怒られたのは、仕事に慣れてきたころ。同じようなミスを繰り返した時だといいます。
「その時は正直、落ち込みました。ただ、怒られるのは、ミスをした部分だけ。後を引くことはまったくありませんし、だからこそ素直に学び、成長することができました」
職方さんに叱られたことも大切な経験。
指摘され成長できると前向きに捉える。
施工管理の仕事も、まずは現場に出て、わからない部分について教わるという流れで身に付けてきたそうです。
「型枠の施工が終わった後の工程はわからなかったので、一つひとつが勉強でした」
型枠大工の仕事が終わり、コンクリートが打ち上がると、窓枠やドアをつけ、配管や設備機器を取り付け、内装工事が行われます。施工管理は、そのすべてをチェックするのです。
「それまでは指示された通りに施工していましたが、今は『こうやってください』と指示を出す立場。幅広い知識が求められる仕事なんです」
最初のうちは、知識不足から指示したことが的確でなく、職方さん(施工スタッフ)に叱られることもあったという武藤さん。でも、それも大切な経験と、捉えています。
「指摘されることで成長できます。いつも前向きに捉え、受け止めるようにしてきました」
そんな職方さんと今ではとても仲が良く、休憩時間には仕事と関係ない話で盛り上がっているそうです。
建物ができていくようすが楽しい。
現場を一人で管理することが目標。
「施工図を作成し、工事のクオリティを保ちながら工程通りに進め、建物を完成させる。施工管理の仕事は、そのすべてに責任を負っているからこそ、できあがった時の感動も大きいですね」
品質管理のため、細かな部分にも神経を使う仕事であり、悪天候が続けば工期とにらめっこの日々が続くなど苦労も伴いますが、何もないところから建物ができるようすを見られることが楽しいと話す武藤さん。
「とはいえ、それは職方さんの技術があってこそ。だから、職方さんが仕事をしやすいように段取りを組むことを常に意識しています」
そのために、積極的に現場での要望を聞き、それに応えられるよう環境を整えたり、技術的なアドバイスにも耳を傾けているそうです。今はまだ、先輩の手助けを受けることも少なくないという武藤さん。
「職方さんにも学びながら知識を蓄え、工程のすべてを一人で管理できるようになることが今の目標です」
現場に立った途端、表情が引き締まりました。
シゴトのフカボリ
建築施工管理の一日
8:00
現場に直行し、朝礼。職方さんと、その日の作業の打ち合わせ
8:10
現場に出て、作業の指示、安全管理などを行いながら、工程をチェック
12:00
昼休憩
13:00
事務所に戻りデスクワーク。翌日の図面チェック、週間工程表の作成などを行う
17:00
現場に戻り、戸締まりを確認
17:30
事務所で日報等を作成
18:00
退勤
シゴトのフカボリ
拝見!オシゴトの道具
全天候型デジタルカメラ
現場の作業記録も施工管理の大切な仕事。防水・防塵仕様で耐寒性もあり、広角からマクロ撮影までできるデジタルカメラを、いつでも肌身離さず携行しています。
シゴトのフカボリ
みなさんへ伝えたいこと

体力的に、精神的に辛いなと思うことは、どんな仕事でもあると思います。でも、やりたいと思っていることなら前向きに考えていれば、きっと成長できるというのが私の実感。気の持ちようが、意外と大事です(笑)

株式会社大田工務店

千歳市と札幌市を拠点に、RCの戸建住宅、賃貸住宅の設計・施工のほか、不動産売買・賃貸、テナント事業などを、地域に根ざして手がけています。

住所
北海道千歳市東郊2丁目8-19
TEL
0123-29-5561
URL
http://www.ootakoumuten.jp

お仕事データ

工事現場の司令塔
施工管理
施工管理とは
工事を円滑に進めるためには
欠かせない仕事。

建設工事や土木工事の現場で発注者と実際に工事を行う職人さんとの間に入り、人や資材の手配、スケジュール調整、予算管理など、工事を安全かつ円滑に進め、目的を実現するためのさまざまな業務を行います。大きな施設を建てるほど、工程も複雑になるため施工管理の重要性は大きくなります。

施工管理に向いている人って?
思い通りにならなくても慌てない。

現場での橋渡し役を担うことが多いため、コミュニケーション能力は欠かせません。スケジュールやお金の管理も行うので、計画的に物事を進められる人に向いている仕事です。工事には不測のトラブルもつきものなので、状況に合わせて対応できる柔軟性がある人も向いているでしょう。

施工管理になるためには

小さなリフォーム工事から大規模な土木工事まで施工管理の領域は広く、一般的には工事会社などに入社して、現場での仕事を覚えることになります。施工管理には「施工管理技士」という国家資格があり、工事の内容によって建築施工管理技士、電気工事施工管理技士、管工事施工管理技士など6種類に分かれています。大規模な現場の管理をするためにはこうした資格も必要となります。

ワンポイントアドバイス
分野が異なる工事でも活躍可能。

施工管理の仕事は一般的には馴染みが少ないのですが、工事現場には欠かせない仕事です。建設業界で働く上で「施工管理技士」の資格が役立つ場面は多く、取得しておくと出世や転職にも有利と言われています。