伊藤 来夢さん
インタビュー公開日:2023.07.13

幼少期にプレステにふれて以来、
ずっとゲームが大好きです。
伊藤来夢さんは、札幌市内でも規模の大きなゲームデベロッパー(ゲームを実際に開発する会社)の株式会社ロケットスタジオで3DCGデザイナーとして働いています。ご出身は三重県。幼少期に初めてプレイステーションで遊んで以来、ゲームが大好きだと切り出します。
「小学4年生のころ、友だちとキャラクターを描いたことをきっかけに、お絵描きも趣味になりました。高校生のころには大学の進学先をデザイン系の学科にしようと考え、美術部でデッサンや静物画の基礎も学び始めたんです」
伊藤さんはPC関係の仕事に携わるお父さんの影響も受け、情報系の学びにも興味を持つようになったとか。「情報+デザイン」をどちらも身につけられる大同大学情報学部情報デザイン学科はうってつけの進学先だったと振り返ります。
「大学ではプログラミングの初歩やサウンド、動画編集など、PCを使ったクリエイティブな分野を幅広く学びました」
北海道出身のゲーム実況者が
道内企業に就職した理由の一つ。
ところで、三重県出身の伊藤さんが、なぜ就職先に北海道を選んだのでしょう?
「実はゲームで遊ぶだけではなく、ゲームプレイ実況を見るのも趣味。中でも北海道出身の実況者が好きで、動画中に道内の魅力を話してくれる回も少なくありません。おいしそうなご飯や地元では見たことのないような美しい風景を見るうちに、北海道で暮らしたいという思いが募ってきたんです」
伊藤さんは3DCGのゲームや映像を制作する道内企業に絞り、就職活動を進めました。ロケットスタジオは北海道発祥のゲームソフト開発・販売会社のハドソン出身者が設立し、地場企業として地域性も大切にしていると感じたのが志望の理由だと振り返ります。
「とりわけ、面接で北海道を好きな理由を聞いてくれたり、ポートフォリオのポリゴン数(3DCGで立体の表面を形作る小さな多角形)まで評価してくれたり、人柄や作品のプロセスまで深堀りしてくれる姿勢に感動しました。この会社なら、私をあたたかく迎えて入れてくれると確信した瞬間です」
両親も納得&安心の
誠実で手厚い会社見学に感動!
採用面接はオンラインだったこと、また両親とも遠く離れて暮らすことにもなるため、伊藤さんは入社前に会社見学をしたいと申し入れたとか。当時、ロケットスタジオはオフィスの移転作業で慌ただしかったものの、快諾してくれたと笑顔を見せます。
「新しいオフィスを一部屋一部屋案内してくれるだけではなく、私が住む予定のエリアに暮らしている先輩社員を呼んできて、生活にまつわるポイントを教えてくれたんです。オススメの飲食店もアレコレ紹介してくれるなど、本当にやさしい方ばかりなんだということが伝わってきました」
こうした誠実で手厚い対応に、ご両親も北海道で働くことに安心してくれたのだそう。「ついでに北海道も大好きになり、近々また旅行に来ると話していました」といたずらっぽく笑います。
ゲームを製品化するためには、
ムダなデータを省くのもポイント!
ロケットスタジオは、新卒入社から約半年もの研修期間を用意。伊藤さんは、まず3DCGでキャラクターをモデリング(3D空間内に立体物を計算して形成する作業)し、動きを加えてUnity(ゲームエンジン)に入れ込むという一連の流れを教わりました。
「次にもう一度モデリングに取り組み、今度はテクスチャ(3Dオブジェクトの表面に貼り付ける模様や画像)を描き込むというように、段階的に実務を学んでいけるのも分かりやすいと感じました。メンターは年齢の近い先輩なので困ったことは何でも聞きやすく助かっています」
大学時代に教わったゲーム制作と実務とではメソッドが異なる部分も多いとか。
「例えば、ポリゴン数はいくら使っても良いわけではなく、ゲームをプログラムする上でムダなデータが邪魔しないよう上限を決めています。どこにどれくらいポリゴンを割き、いかにテクスチャでリアルに表現するかが、製品化に向けてのポイント。こうした実務に即したアドバイスによって、少しずつ成長していることを実感します」
いずれチーム開発に携わり、
シリーズタイトルを手がけたい!
取材時点では、伊藤さんはまだ入社から2カ月目。まだ実務の開発を担当しているわけではありませんが、さっそく上司との面談があったといいます。
「研修をどう感じているか、モデリング・テクスチャ・アニメーションのどれが好きか、今後はどのような仕事に携わってみたいかなどを細やかにヒアリングしてくれました。大学時代は一人で制作した経験しかなかったため、チーム開発に携わり、長期的に愛着を持てるシリーズものを手がけてみたいと希望を伝えました」
研修の課題は実務に近いタイトなスケジュールの中で、スピード感も養われるように工夫されています。もちろん、間に合わない場合はメンターに申告します。「スケジュールが延びることを申告する勇気」も自然と身につけられると伊藤さんは表情を引き締めます。
「私はゲームも、ゲームの絵を描くことも、生活に組み込みたいと思えるくらい大好き。まだまだ一人前には程遠いですが、スキルもスピードもどんどん高め、このやさしい会社で活躍していきたいです!」
シゴトのフカボリ
みなさんへ伝えたいこと

私自身、好きなこと以外は職業にしたくないと思っているワガママなタイプ(笑)。だけど、今は「好き」を仕事にできているので充実した毎日を送っています。皆さんも、仕事にしたいと思えるくらい興味を持てる分野を見つけるためにも、アンテナを張っておくことがオススメです。

株式会社ロケットスタジオ

タイトルを「一本丸ごと」請け負えるスタッフ体制と、ターゲットにこだわらずに対応できる幅広さを強みに、有名ゲームメーカーのタイトルを数多く開発。ユーザーファーストを意識し、チームワークで仕事を進めることを大切にしているため、人間関係が良く、和やかな雰囲気も持ち味。

住所
北海道札幌市中央区南1条西6丁目4-1 あおばアネックス 4F
TEL
011-590-4775
URL
https://www.rocketstd.co.jp/

お仕事データ

非現実を現実に表現する!
CGクリエイター
CGクリエイターとは
デジタルテクノロジーを使って、
グラフィックやアニメーションを制作

CGとはコンピューター・グラフィックスの略。文字通りコンピューターを使って、ゲームやアニメなどグラフィックやアニメーションを制作します。大きく分けて2Dと3Dに分類され、2Dは平面で表現し、3Dは立体での表現です。3Dはさらに動きの元となる立体物をつくるモデラー、動きを付けるアニメーター、特殊効果を付けるエフェクターなどそれぞれのプロフェッショナルに細分化されています。

CGクリエイターに向いてる人って?
好奇心旺盛で、
最新技術へのアンテナを張れる人

映像を取り巻く世界は日々進化を遂げ、現実と区別が付かないようなリアルなCGを制作する技術も実現しています。その制作に用いるソフトも次々と新しい機能が増えたり、新製品が生まれたりするため、積極的に最新技術を学ぶ姿勢が必要です。またクリエイティブな世界をつくるための想像力や、円滑なチームワークのためのコミュニケーション能力も必須。納期に追われる機会も多いため、粘り強く取り組む根気やハードな働き方に耐える体力も求められるでしょう。

CGクリエイターになるためには

学歴や資格は必要ありませんが、コンピュータースキルは必須。特に3DCGは「Maya(マヤ)」や「Blender(ブレンダー)」といった制作ソフトを使うための知識や技術が必要なので、専門学校や短大、大学でスキルを身に付けた後、ゲームやアニメ関係の会社に入って覚えるのが一般的です。オンライン講座や書籍など独学で学ぶことも可能なため、スキルを身に付けた後に実際の制作現場で学ぶという選択肢もあります。

ワンポイントアドバイス
将来性高く、チャンスも無限!

3DCGはその誕生以来、アニメ、ゲーム、映画などエンタメを中心に普及してきました。近年は建築や製品のデザイン、医療や化学などさまざまな分野でも活用されていて、今後も他分野にわたって需要が拡大すると見られています。また技術さえあれば国内、国外を問わず活用できるのも特徴です。一流のCGクリエイターとなれば世界の有名スタジオで活躍できるかもしれません。