笠原 瑠斗さん
インタビュー公開日:2020.09.15

歌に魅せられ、ステージを経験し
将来はプロを目指すように。
重厚感のあるサウンドに乗せた優しく包み込むような歌声で、今注目を集めているR&Bシンガー、笠原瑠斗(かさはら りゅうと)さん。
歌に興味を持ったのは小学生のころでした。祖母の葬儀のために親戚が集まり、神妙な空気が流れる中、テレビから流れてきた「Hey!Say!JUMP」の歌に一瞬で雰囲気が和み、「歌の力ってすごい」と思った笠原さん。小学2年生から習っていたピアノで弾き語りも始め、高校生になると学校祭のステージに立って喝采を浴び、人前で歌う感動も覚えました。
さらに歌を追求するため本格的にボイストレーニングにも通うようになり、先生がR&Bが好きだった影響で、その世界にどっぷりと浸かっていきます。歌を通して知り合った先輩が主催するイベントに出演して歌った経験をきっかけに、高校卒業後は音楽の世界でプロになりたいと思うようになりました。
高校卒業後にニューヨーク留学。
オープンマイクで歌う経験も。
高校の先生からは進学を強くすすめられましたが、学校で学ぶことには魅力を感じなかったという笠原さん。そんな笠原さんを両親も全力でサポートしてくれたため、進学はせずプロを目指すことにしました。そして、ニューヨークに短期留学することに。「好きな歌の関連動画をどんどん調べていったら、R&Bのルーツである黒人音楽にたどり着きました。そのルーツがあるニューヨークの音楽に触れてみたいと思ったんです」
現地では、語学学校に通いながらボイストレーニングを受けたり、ライブハウスに音楽を聴きに行ったりする生活を送りました。オープンマイクという地元のアーティストが自由に歌える場が設けられており、そこで飛び入りで歌う経験もしました。「ハイレベルな場だったので緊張しましたが、みんなが真剣に聞いてくれるのを感じながら歌い切りました。拍手ももらえて、感動しましたね」
自分の殻を破りデビューへ。
曲のリリース、ライブも精力的に。
ニューヨークで学んだのは、自分の意思を伝える大切さだと言います。「日本人は遠慮しがちですが、向こうでは素直に思ったことを伝え合います。意思を伝えることが個性を大事にすることにもつながると、強く感じました」
ニューヨーク行きと前後して、札幌のR&Bシンガーの先輩で、今ではコラボして曲をリリースもしている泉亮さんやEIMAYさんの紹介で、デビューの話が持ち上がりました。「先輩たちがずっと褒めてくれていましたが、その時はまだ『僕なんかがいいんですか』という気持ちでした。でも、ニューヨークに行ったことで殻を破れて、19歳でしかできない表現をしてみようと挑戦することにしました」
そうしてファーストシングル『Smile』でデビューし、これまでに4枚のシングルと3枚のアルバムを全国リリース。FMノースウェーブで番組を持ち、ライブ活動も精力的に行ってきました。
曲作りはもがいてこそ良いものに。
ワクワクする環境を意識して。
現在は、作詞作曲も自ら手がけています。「毎回、なかなか納得できずにもがきながら作っています。以前は、そんな自分はまだ全然ダメだなと思っていましたが、そうやって悩んで作ったからこそ深みのあるものができるし、共感も得られる。そう思えるようになったら、作る苦しみも『これでいいんだ』と思えるようになったんです」
良いマインドが良い曲作りにつながるため、普段の生活の中でもいかにワクワクする環境を作るかを考え、実践しています。
その中でも笠原さんが大切にしているのが音楽に触れることですが、新型コロナウイルスの影響により、以前のようにライブ活動をしたり聴きに行ったりできなくなりました。今まで当たり前に思っていたことがありがたいことだったと気づき、今だからできるワクワクするものを模索していると言います。
音楽の仕事は特別なものではなく、
好きなものを追求するのは一緒。
都市も緑もある札幌が好きで、札幌を拠点に活動していきたいという笠原さん。学生時代から今まで、「北海道で音楽で食べていくなんて難しいのでは」と言われてきましたが、それは偏見だと言います。「音楽は特別なものだと見られがちですが、アイデアでものを生み出す他の仕事、例えば美味しいラーメンを作るのと一緒だと思っています。好きなことをやるからこそ、人の気持ちも理解できるし優しくなれるんじゃないかと思います」。
今後の目標は「やり続けること」。R&Bのコアなファンに認められることを目指すとともに、この道に進む時や進んでから「無理だよ」と言った人たちにも認めてもらえるような活動をしていきたいと言います。24歳という若さながら、尖ったところやてらいのない素直さが、歌にも表れている笠原さん。今後の活躍も楽しみです。
シゴトのフカボリ
みなさんへ伝えたいこと

僕自身、両親や支えてくれる周りの人にいつも感謝しています。感謝の気持ちは、誰もが大切にするべきものだし、みんなが持っていれば世界は平和になると思います。

笠原 瑠斗

札幌で活躍するR &Bシンガーソングライター。シングル4枚、アルバム3枚を全国リリース。個人活動の他、EIMAY、泉亮とMOLを結成し活動中。

URL
https://ryuto-kasahara.com/

お仕事データ

音楽で人に感動を。
ミュージシャン
ミュージシャンとは
歌唱や楽器演奏などで、
「音」に感動を乗せる仕事。

人前で歌唱や楽器演奏を披露するのがミュージシャン。ロックやポップス、ジャズ、クラシックといったジャンルの音楽を歌声や楽器によって表現します。一般的にはライブハウスや音楽ホールなどでのライブ活動を中心に、楽曲の作詞・作曲・編曲、レコーディング、メディア出演、場合によってはCDの販売を担うなど仕事内容は多種多彩。裏方として活躍することの多い作曲家や編曲家をミュージシャンと呼ぶこともあり、他にも演奏の補助を専門とする「スタジオミュージシャン」という職業もあります。いずれも、音楽で人に感動を届けるのが使命です。

ミュージシャンに向いてる人って?
音楽に対して情熱を持ち、
継続して楽曲制作やライブに打ち込める人。

ミュージシャンの素養として、音楽が好きで情熱を持ち続けられることは絶対条件。基本的な歌唱・演奏の技術だけではなく、作詞・作曲のセンス、ダンスやパフォーマンスなど、個性を表現する力も求められます。自身のファンを増やすためにも、継続して楽曲の制作やライブ活動に打ち込んでいく努力も必要。最近では魅力的なコンテンツを多くの人に届けるために、情報発信やマーケティングの知識が高いミュージシャンも「売れる」要因になっているようです。

ミュージシャンになるためには

ミュージシャンになるための決まったルートはなく、特別な資格や学歴なども必要ありません。独学で楽器の演奏技術や作詞・作曲方法を身に付ける人もいる一方、音楽大学をはじめ音楽を専門的に学べる学校に進む人も。日々の練習で腕を磨き、レコード会社にデモテープを送ったり、コンテストやオーディションに参加したり、チャンスをつかむために努力することが大切です。

ワンポイントアドバイス
音楽業界の変化の波に乗り、
インターネットを駆使しよう!

ここ最近、インターネットを通じたダウンロードコンテンツが一般化し、CDの販売数は落ち込んでいるといわれています。ただし、定額の音楽配信サービスやダウンロードサービスはニーズが高まり、また動画配信サービスから無名のミュージシャンが一躍人気を博すこともあるなど、音楽業界の環境は変わりつつあるようです。一方で多くのファンが「生の体験」を求めるようになっているため、ライブやコンサートの需要が高まっています。今後はインターネット時代の音楽活動に力を入れ、SNSや動画投稿サイトなどで情報発信することにより、ミュージシャンとしての価値も高まりそうです。