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木村 まゆさん
インタビュー公開日:2020.12.04

兄の支えになりたくて
介護の世界を目指しました
函館空港にほど近い、緑豊かな高台にある介護老人福祉施設シンフォニー。ここで介護福祉士として働く木村まゆさん。
「お子様ランチに付いているような、小さい旗。私が作ったのを利用者さんが大事に取っておいてくれてるのを見た時に、この仕事選んで良かったって、すごく思ったんです」と、ちょっと照れたように話してくれました。
介護の世界で働こうと思ったのは小学生のころ。お兄さんに重度の障がいがあり、子どものころから兄の手助けをする介護士さんをよく見てきたのだそう。
「その様子に憧れて、自分もこんな風に兄を支えられるようになれたらと思ったんです」
福祉科のある高校で学び
卒業と同時に介護福祉士に
高校進学では、迷うことなく道南地域で唯一福祉科がある函館大妻高等学校へ。卒業時には国家試験にも合格し、介護福祉士の資格を得ました。
「高校に入学した当初は“介護は世の中に貢献する素晴らしい仕事!”と素直に思っていたのですが、次第に周囲から『介護は辛い』『忙しい』という声が聞こえてきて、不安になったこともありました。それでも、1年生の時に実習をさせてもらった介護施設で職員の方々と利用者さんが楽しそうに触れ合っているのを見て、改めてこの世界で働きたいというキモチが強くなったんです」
木村さんが実習で訪れた施設こそ、現在の職場「シンフォニー」。高校の2年目、3年目にも施設実習がありましたが、「ここが一番明るかったから」と入社を希望しました。
声の掛け方で変わる
介護の奥深さを知って
憧れを抱いて飛び込んだ介護の世界で木村さんを待っていたのは、認知症を患う様々な利用者でした。思うように意思疎通ができない“もどかしさ”を感じ、「うるさい」「近づくな」といった言葉にも深く傷つきました。一方、仲の良い先輩が丁寧に声掛けをしながら上手に利用者との距離を縮めているのを目の当たりにし、接し方を変えることで相手の反応も変わっていくことを知りました。
「立つ、座る、おむつをはずす・・・普段は気難しい利用者さんに対して、次に何をするのか、ひとつひとつ説明しながらスムーズに誘導している先輩の姿を見て、スゴいなと思うと同時に介護の奥深さに気付かされました」
もちろんすべての利用者が職員への暴言を口にするわけではありません。トイレに付き添ったり、食事の準備をしたり、木村さんが何かするたびに「ありがとう」「どうもね」と感謝の気持ちを伝える人がほとんどで、その一言一言に心が温かくなるのだと言います。
「中には『アナタにやってもらえるのが、うれしい』とか『アナタが一番上手』なんて、言ってくださる方もいて、もっと力になれるように頑張ろうと気持ちが前向きになります」
家族のように温かな
職場の仲間が支えになり
どちらかといえば人見知りだという木村さん。自分から積極的に話しかけるのは得意ではなく、他人を前にするとつい尻込みをしてしまいがち。しかし、シンフォニーで働く姿はとても楽しげで、同僚や先輩と和気あいあいとコミュニケーションを取っています。
「この職場は職員同士の距離が近く、まるで家族のような雰囲気なんです。私が話しかけるのをためらっていたりすると、向こうからどんどん声を掛けてくれるので、ありがたいですね」
入社当初は先輩たちが皆で木村さんを育てようとしているのも伝わってきて、早く先輩たちに追いつきたいと一層、仕事に打ち込みました。
何気ない日々の笑顔に
癒されています
「普段は無口な利用者さんが、ふいに戦争の思い出を話してくれたり、函館大火について聞かせてくれたりすることがあります。認知症があっても昔の記憶がしっかりしていることに驚かされますし、そういう会話を通じて利用者さんの生い立ちや人となりを知れるのがうれしいんです」
親しくなった利用者と冗談を言って笑い合うことも多く、おだやかな日々の中の何気ない笑顔に癒やされ、幸せな気持ちになるのだそう。
「行事があると職員みんなで壁の掲示物を作ったり、食事に小さな旗を立てて飾り付けたりします。利用者さんも喜んでくれて、『いいぞ、いいぞ』なんて褒めてくれるので、つい張り切っちゃうんですよね(笑)」
働き始めてまだ一年ながら、しっかりと介護への思いを語ってくれた木村さん。「利用者さんの笑顔をもっと増やしたい」と、最後はハツラツとした笑顔で締めくくってくれました。
シゴトのフカボリ
みなさんへ伝えたいこと

介護の仕事は技術職。体ひとつで誰かの役に立つことができます。

シゴトのフカボリ
介護福祉士の一日
7:30
出勤/引き継ぎ
7:40
朝食準備
9:00
排泄介助/移動介助
10:00
水分提供
11:00
シーツ交換
11:30
昼食準備
12:00
食事介助
12:30
休憩/昼食
14:00
事務作業
16:00
退勤

社会福祉法人 禎人会 
介護老人福祉施設 シンフォニー

ふれあいを通じ、利用者お一人おひとりのご希望に 沿ったサービスをチームワークで提供。認知機能やコミュニケーション機能を高める学習療法に取り組む。

住所
北海道函館市中野町74番地1
TEL
0138-58-2000
URL
https://www.behappy-symphony.com/

お仕事データ

介護現場のまとめ役!
介護福祉士
介護福祉士とは
現場をまとめる
介護のスペシャリスト!

日常生活が困難なお年寄りや体が不自由な人のサポートをする仕事。業務内容は入浴や食事、排せつの補助といった「身体介護」、調理や掃除などの「生活のサポート」、本人やそのご家族への生活、身体、介護に関する「相談・助言」、外出や地域活動などで生きがいづくりを提供する「社会活動支援」の4つに大きく分かれます。一般的な介護職員と仕事が大きく異なるわけではありませんが、介護福祉士は「ケアワーカー」という現場の責任者になったり、介護の指導にもあたれる「介護のスペシャリスト」です。

介護福祉士に向いてる人って?
人を思いやる気持ちとタフさが必要。

高齢者の役に立ちたいという気持ちはもちろん、どういう要望があるのか、どんな痛みがあるのかなど、相手の立場に寄り添って考える「人を思いやる気持ち」が大切です。入浴の補助やベッドでの体位変換といった仕事も多いことからタフさも必要。疲れをしっかりリフレッシュし、自分の気持ちをコントロールできる人も向いているでしょう。

介護福祉士になるためには

介護福祉士は国家資格。取得には試験を受ける必要があり、受験資格を得るにはさまざまなルートがあります。最も一般的な方法は、大学・短大・専門学校といった介護福祉士の養成を目的とした学科・コースに進み、試験を経て資格を取得するというもの。他にも福祉系高校に通う、実務経験を3年以上積んだ上で「実務者研修」を経て受験資格を得る道もあります。

※詳しくは公益財団法人社会福祉振興・試験センターのホームページをご確認ください。http://www.sssc.or.jp/

ワンポイントアドバイス
ステップアップやより良い待遇に。

多くの介護事業所では、介護福祉士の資格を取得することで資格手当が上乗せされます。また、サービス提供責任者や生活相談員、チームリーダーなど事業所で配置が必要となるポジションは介護福祉士の有資格者を求める場合が少なくありません。介護業界でステップアップしたい人やより良い待遇を望む場合は、介護福祉士にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

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