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瀨谷 えりさん
インタビュー公開日:2024.01.26

施設の立ち上げから関わり7年目。
介護現場をまとめる役割を担う。
ホテルのロビーのような雰囲気のエントランスに足を踏み入れると、焼きたてパンの香りが漂ってきました。ガラス張りのコーナーにあるカフェは、誰でも利用できます。言われなければここが特別養護老人ホームだとは気がつかないかもしれません。『サポーティ・もみじ台』というのが施設の名前。介護福祉士・瀨谷えりさんの職場です。
「この施設が開設された7年前に入職しました。オープニング準備にも加わり、『どんなゴミ箱なら使いやすいかな』など、細かな備品の準備から携わったことが昨日のようです」
そういって笑う瀨谷さん。入職から4年ほどでユニットリーダーという役職につき、介護の現場のまとめる仕事をしています。通常よりも、早い抜擢だそうです。
「ユニットリーダーは、10名の入居者さんからなる1ユニットを担当します。同じ階にこのユニットが2つあるので、ワンフロアに2名という体制で現場の管理を行っています」
勤務体系は4交代制。夜勤もありますが、1勤務あたりの労働時間は7時間40分に抑えられているため、無理なく働けていると、大きくうなずきます。
入居者さん一人ひとりを見守り、
他部署とも連携してケアを実践。
瀨谷さんは、一介護職員として食事・入浴・排泄などの介助も行いますが、ユニットリーダーとして、常に入居者さん一人ひとりの様子に目を配り、日々の変化を見守ることが大切な仕事なのだそうです。
「体調が悪そうな方がいれば、介護職員に状況を確かめ、対処の方法として考えていることがあれば聞き、一緒に考えたりアドバイスしたりします。逆に介護職員からの声により、対応を検討していくということもありますね」
例えば看護師さんとの連携が求められたり、ご家族との情報共有が必要と判断すれば、関連する部署とコミュニケーションを図り、相談、調整を行います。施設を運営するほくろう福祉協会では、瀨谷さんが所属する介護部門の生活支援課のほか、入居者さんやご家族とのやりとりを行う相談支援課があり、業務を分けていることが特徴となっています。
「ユニットリーダーとしてはほかに、レクリエーションの企画やその予算管理、介護職員の業務の効率化などにも取り組んでいます」
この施設は、入居者さんの生活動線、介護職員の作業動線など随所に工夫が凝らされているため、効率的に仕事を行えるのだと瀨谷さんは話します。
家庭的な雰囲気のグループホームで、
介護職員の姿に惹かれ、福祉の世界へ。
「実習で当法人が運営する特別養護老人ホーム『青葉のまち』を訪れた時、家庭的な環境のなか、介護職員の方々が入居者さんにしっかりと寄り添っている様子に惹かれました」
そう話す瀨谷さん。福祉系の専門学校で学び、介護福祉士を取得しています。実習というのは、その専門学校時代のこと。高校を卒業する時には、介護の仕事に就こうと決めていたのだそうです。
「小学校が休みに入ると、母が介護の仕事をしているグループホームによく一緒に行っていました。そこで、自宅にいるように利用者の方々が過ごす、温かな雰囲気がいいなと感じていたことが、この世界に興味を抱いたきっかけでした」
同じような雰囲気を、『青葉のまち』で感じたのだという瀨谷さん。入職後の実習では、社会人としての基礎知識のほか、「We Wish a person Well〜私たちは、人の幸せを望みます。〜」という企業理念、組織の体制などをしっかり学べたこと、また、半年後にフォローアップの研修があったことで、安心して業務に取り組んでくることができたと話します。
ICTの活用により職員の負担を減らし、
より質の高いケアを目指す職場環境。
瀨谷さんの施設では、介護職員の負担を減らし、健康で安心して働ける環境を整えることで、より質の高いケアを実践するため、生活動線・作業動線に工夫を凝らすと同時に、ICT(情報通信技術)の活用も進められています。
「夕食から翌朝までの夜勤帯には、首にかけるネックスピーカー型のインカムと音声プレーヤー(iPod)が導入されています。夜間には20名のフロアを1人で担当しますが、必要に応じてお互いに応援を呼べるので安心ですね」
インカムは、ボタンを押せばハンズフリーで会話ができるほか、iPodは必要な記録などを音声で残すことができます。さらに、文字入力すれば機械音声で話してくれるという機能もあり、例えば看護師さんが計測した入居者さんのバイタル(脈拍、呼吸、血圧、体温)などの情報共有の強い味方となっています。
「フロアごとに食事の準備を行っているのも当施設の特徴だと思います。チルド品などを温めながら、入居者さんと話をするスタイルはまさに家庭的。私も好きな時間ですね」
ちなみに瀨谷さんの施設では、介護職員は全員私服で業務に就いています。これも、家庭的な場とするための工夫であり、同時に個性を活かしながら働けることもメリットだと瀨谷さんはいいます。
入居者さんの意向を第一に考えながら、
施設運営に必要な知識も身に付けたい。
「介護の仕事は、ともすれば職員主導になりがちな部分があります。必要な介助などを行うことは大切ですが、第一に考えなければならないのは入居者さんの『こうしたい』を尊重すること。リーダーとしても、一介護職員としてもそのことを常に意識しています」
こうした方がいいという思いだけで手を差し伸べるのではなく、入居者さんの意向を尊重し、その方の幸せにつながる支援の仕方、方法を考えているのだそうです。
「そのうえで、介護技術など現場の知識だけでなく、例えば医療的なこと、介護保険の制度的なこと、さらには施設の運営に関することなど、幅広く学んでいきたいと今は考えているところです」
同じユニットリーダーでも、経験や知識の豊富な先輩も多く、その点、自分はまだまだなのだと話す瀨谷さん。先輩のスキルに学びつつ、施設全体のことを把握したうえで、介護職員のモチベーションを高めていく役割を果たすことが今の目標なのだそうです。経験を積むなかで視野が広がり、介護という現場の仕事に留まらない視点から考えを深めていっているその様子に、頼もしさが感じられました。
シゴトのフカボリ
介護職(介護福祉士)の一日
7:00
出勤、起床介助、朝食準備
8:00
朝食配膳、食事介助、歯磨き介助
10:00
おやつ、コーヒーの提供
11:30
昼食準備
12:00
昼食配膳、食事介助、歯磨き介助
13:00
休憩・昼食
14:00
入浴介助
15:40
退勤
(早番の日の一例)
シゴトのフカボリ
みなさんへ伝えたいこと

入居者さんのことを第一に考え、やりたいこと、感じていること、思っていることを五感で受け止め、理解することを心がけています。同時にご家族、上司や同僚の声もしっかり聴き、常に学んでいくことが目標です。

シゴトのフカボリ
拝見!オシゴトの道具
ナースポーチ
筆記具、印鑑から業務用のiPodまで、仕事の道具をコンパクト収納できるナースポーチは瀨谷さんのオリジナル。両手を空けておけるすぐれものです。ポーチに載っている黒い髪留めのような形をしたものがネックスピーカーです。

社会福祉法人 ほくろう福祉協会

1989年創設。札幌市内を中心に高齢者を対象とした社会福祉事業を展開し、特別養護老人ホーム3施設、地域包括支援センター2カ所を運営しています。

住所
北海道札幌市厚別区もみじ台北6丁目2番5-2号
TEL
011-897-1100
URL
http://hokurou.or.jp/

お仕事データ

介護現場のまとめ役!
介護福祉士
介護福祉士とは
現場をまとめる
介護のスペシャリスト!

日常生活が困難なお年寄りや体が不自由な人のサポートをする仕事。業務内容は入浴や食事、排せつの補助といった「身体介護」、調理や掃除などの「生活のサポート」、本人やそのご家族への生活、身体、介護に関する「相談・助言」、外出や地域活動などで生きがいづくりを提供する「社会活動支援」の4つに大きく分かれます。一般的な介護職員と仕事が大きく異なるわけではありませんが、介護福祉士は「ケアワーカー」という現場の責任者になったり、介護の指導にもあたれる「介護のスペシャリスト」です。

介護福祉士に向いてる人って?
人を思いやる気持ちとタフさが必要。

高齢者の役に立ちたいという気持ちはもちろん、どういう要望があるのか、どんな痛みがあるのかなど、相手の立場に寄り添って考える「人を思いやる気持ち」が大切です。入浴の補助やベッドでの体位変換といった仕事も多いことからタフさも必要。疲れをしっかりリフレッシュし、自分の気持ちをコントロールできる人も向いているでしょう。

介護福祉士になるためには

介護福祉士は国家資格。取得には試験を受ける必要があり、受験資格を得るにはさまざまなルートがあります。最も一般的な方法は、大学・短大・専門学校といった介護福祉士の養成を目的とした学科・コースに進み、試験を経て資格を取得するというもの。他にも福祉系高校に通う、実務経験を3年以上積んだ上で「実務者研修」を経て受験資格を得る道もあります。

※詳しくは公益財団法人社会福祉振興・試験センターのホームページをご確認ください。http://www.sssc.or.jp/

ワンポイントアドバイス
ステップアップやより良い待遇に。

多くの介護事業所では、介護福祉士の資格を取得することで資格手当が上乗せされます。また、サービス提供責任者や生活相談員、チームリーダーなど事業所で配置が必要となるポジションは介護福祉士の有資格者を求める場合が少なくありません。介護業界でステップアップしたい人やより良い待遇を望む場合は、介護福祉士にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

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