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工藤 龍星さん
インタビュー公開日:2024.03.28

自立支援を行う施設の介護職員として
生活のなかで困難なことをサポート。
「就職活動のなかで施設の見学に訪れた際、利用者さんとのやりとりに温かさというか、〝やさしいオーラ〟のようなものを感じました。こういう施設で働きたいと感じたことが決め手となりました」
そう話すのは工藤龍星さん。2023年4月に入社し、タナカメディカルグループの社会福祉法人緑誠会に入職、見学で〝いいな〟と感じた「介護老人保健施設 愛の里」で勤務しています。介護老人保健施設というのは、介護を必要とする高齢者の自立支援、在宅復帰を目指すため、医学的な管理のもと、看護・介護、リハビリから日常的なサービスまでを行う施設です。工藤さんは、介護職員としてその一端を担っています。
「施設の利用者さんが、日常生活のなかで困難なことをお手伝いし、日々の暮らしの質を高めるのが大きな役割になります。日々、利用者さんのかたわらにいることが仕事とも言えますね」
加齢や疾患のため、1人ではできないことをサポートするのが自分の使命、と工藤さん。落ち着きを感じさせるやさしい語り口が印象的です。
食事、トイレ介助から健康管理まで。
4パターンのシフトで業務を行う。
工藤さんの1日は、まさに利用者さんとともにあります。2フロアで定員100名の利用者さんを、他の職員と分担しながら現場で見守り、それぞれの方に合わせて必要なケアを行っていきます。
「食事の準備・片付け、食後の歯磨き(口腔ケア)、トイレ介助などを中心に行いながら、たとえば、きちんと尿が出ているかといった健康に関するチェックを日々行い、記録にまとめるといった業務もあります」
勤務には朝7時半出勤の早番、9時出勤の日勤、11時半から始まる遅番と、夕方5時から翌朝までの夜勤があり、シフトで繰り返しながら業務を行っているそうです。
「日によって時間帯が変化しますが、夜勤は日中の勤務とはまた違った注意力が必要になります。というのも、昼間は物静かな利用者さんが、夜には何度もトイレに行かれるなど、行動が活発になるケースもあるためです」
施設内が暗く、どうしても危険が増すため、利用者さんに動きがないか耳を澄ませるなど、緊張感をもち、意識を高めている必要があるのだそうです。
祖母、父の病気を契機に福祉の分野へ。
4年制の定時制高校で介護福祉士を取得。
工藤さんは、4年制の昼間定時制高校である北海道留寿都高等学校で福祉の分野を学び、介護福祉士の国家資格を取得しています。この世界を志したのは、自分自身の経験が大きかったと話します。
「中学校の頃、祖母が脳梗塞を患って認知症の症状が進み、父も同じ脳梗塞になり、左半身麻痺で入院。父はリハビリを経て、現在は不自由なく動けるようになっていますが、同じように病で苦しむ人のために、何ができないだろうかと考えたことが介護福祉士を目指したきっかけでした」
親孝行をしたい、という思いがスタート地点だったと言う工藤さん。寮を備え、福祉について一からしっかりと学べることを知り、同高校へと進みました。
「中学校の担任の先生からの勧めもありましたが、入学してみると生徒同士も先生とも壁のない、なんでも相談できる環境で、当初はいろいろな悩みもあったのですが、安心して学ぶことができました」
高校時代を振り返る工藤さん。北海道の公立高校で介護福祉士の受験が可能な教育課程を設置しているのは、わずか6校。その1校で学んだ福祉の基礎が強みとなっているようです。
利用者さんにも個性があることを痛感。
傾聴し、じっくりと話すことを大切に。
介護の仕事についても基本を身につけ、資格も取得して入職した工藤さんでしたが、現場に出てみると、当たり前ですが利用者さんにはそれぞれ個性があることを痛感します。たとえば、何気なくかけた言葉をこちらの意図とは異なった意味でとらえ、気分を害してしまい、興奮されてしまう方もいるのだとか。
「そんな時には、落ち着いていただくため、まずおっしゃっている内容をしっかりと傾聴し、少し時間をかけてお話をすることを心がけています」
業務の関係から、すぐには対応できないこともあるそうですが、そうした会話を経て納得いただき、最終的に〝ありがとう〟といった言葉をかけてもらえると心に残るのだと、工藤さんは話します。
「利用者さんも介護職員も人。だから、どうしても相性といったものもあります。特定の職員を頼りにされる方もいれば、逆に、敬遠するような方もいるのは仕方のないことだと思います。ただ、総じて皆さん、やさしく接していただけるので心配などはありません」
自分は年齢が若いことから、孫のようにかわいがってもらえることもあると、うれしそうな表情です。
ご家族の気持ちにも寄り添いながら、
ていねい、迅速なケアを実践したい。
利用者さんはもとより、ご家族も介護職員もともに笑顔でいられること。工藤さんは、そんな環境づくりを意識して日々、業務に取り組んでいるのだそうです。
「人が笑っているのを見るのが好きなので、場が和むような対応がしたいと考えています。たとえば、利用者さんに〝テレビをつけて〟と頼まれたら、〝僕の人件費は高いよ。○○万円くらいかな〟と切り返し、〝そんなに払えないよー〟と笑ってもらったり。ふざけ過ぎない範囲で冗談を盛り込んだりしていますね」
認知症のお祖母さんと同居していた経験から、ケアの必要な家族がいる子どもたちの相談に乗ったり、支援を行う仕事にも関心をもっていたと話す工藤さん。利用者さん、ご家族と関わるなかで、家族だからこそ厳しい言葉をかけてしまったりするケースがあることが理解できるようになったと言います。
「ご家族の気持ちにもしっかりと寄り添いつつ、利用者さんに対してはていねいに、迅速にケアができる力を身につけていきたいと思っています」
褥瘡(床ずれ)についてなど、専門特化した勉強も始めている工藤さん。わずか1年で、介護の仕事への視野がどんどん広がっているようです。
シゴトのフカボリ
介護職員(介護福祉士)の一日
9:00
出勤、夜勤帯の状況などの申し送り
10:00
おむつの確認、トイレ誘導、昼食の声がけ
11:30
昼食、食事介助
12:00
昼食の片付け、歯磨きの介助
14:00
おやつの声がけ
15:00
おやつ、食事介助
15:30
入所者さんの記録作成
16:00
夕食の声がけ、転落防止のベッドセンサーの確認
17:00
退勤
*9:00〜17:00の日勤の1日です
シゴトのフカボリ
みなさんへ伝えたいこと

思いが伝わらなかったり、予想外の反応が返ってきて戸惑ったり。利用者さんと関わるなか、葛藤が生まれることもありますが、心で負けず、常に正面から向き合い、工夫しながらスキルを高めていきたいと思っています。

タナカメディカルグループ

1977年に開設した札幌田中病院に始まり、現在は療養型病院、介護施設、サービス付高齢者向け住宅、居宅介護支援事業所の運営を行っています。

住所
北海道札幌市手稲区西宮の沢1条4丁目14−5
(介護老人保健施設 愛の里 所在地)
TEL
011-681-6678
URL
https://www.tanakamedical.net/

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日常生活が困難なお年寄りや体が不自由な人のサポートをする仕事。業務内容は入浴や食事、排せつの補助といった「身体介護」、調理や掃除などの「生活のサポート」、本人やそのご家族への生活、身体、介護に関する「相談・助言」、外出や地域活動などで生きがいづくりを提供する「社会活動支援」の4つに大きく分かれます。一般的な介護職員と仕事が大きく異なるわけではありませんが、介護福祉士は「ケアワーカー」という現場の責任者になったり、介護の指導にもあたれる「介護のスペシャリスト」です。

介護福祉士に向いてる人って?
人を思いやる気持ちとタフさが必要。

高齢者の役に立ちたいという気持ちはもちろん、どういう要望があるのか、どんな痛みがあるのかなど、相手の立場に寄り添って考える「人を思いやる気持ち」が大切です。入浴の補助やベッドでの体位変換といった仕事も多いことからタフさも必要。疲れをしっかりリフレッシュし、自分の気持ちをコントロールできる人も向いているでしょう。

介護福祉士になるためには

介護福祉士は国家資格。取得には試験を受ける必要があり、受験資格を得るにはさまざまなルートがあります。最も一般的な方法は、大学・短大・専門学校といった介護福祉士の養成を目的とした学科・コースに進み、試験を経て資格を取得するというもの。他にも福祉系高校に通う、実務経験を3年以上積んだ上で「実務者研修」を経て受験資格を得る道もあります。

※詳しくは公益財団法人社会福祉振興・試験センターのホームページをご確認ください。http://www.sssc.or.jp/

ワンポイントアドバイス
ステップアップやより良い待遇に。

多くの介護事業所では、介護福祉士の資格を取得することで資格手当が上乗せされます。また、サービス提供責任者や生活相談員、チームリーダーなど事業所で配置が必要となるポジションは介護福祉士の有資格者を求める場合が少なくありません。介護業界でステップアップしたい人やより良い待遇を望む場合は、介護福祉士にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

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