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佐々木 梨奈さん
インタビュー公開日:2024.01.17

特養のケアワーカーとして2年目
利用者さんの日常生活の介助を担う
夕食前のひと時。共同生活室というフリースペースでは、テレビの歌番組を観るなど、利用者さんが思い思いに過ごしています。佐々木梨奈さんが、やさしく声をかけると、利用者さんの顔に、ぱっと笑顔が広がりました。ここは、『恵望園はなえにわ』というユニット型地域密着型特別養護老人ホーム。〝ユニット型地域密着型〟とは、可能な限り自立した生活を送れるよう支援する環境を備えた施設なのだとか。佐々木さんは、ケアワーカーとして入職して2年目。
「仕事を覚え、ある程度業務をこなせるようになるまで1年ほどかかりましたが、今は環境にも慣れ、利用者さんと信頼関係を築きながら、日々、楽しく仕事をしています」
ケアワーカーは、高齢者や障がいがあるなど、介護が必要な人の日常生活の介助を行う仕事です。最近、夜勤シフトにも入るようになったそうです。
「最初は怖い感じがしました。でも、夜勤もペースがつかめると、ほとんど負担を感じなくなりました。仮眠でしっかり休めますし」
そういって笑う佐々木さん。おっとりた雰囲気のなかに、芯の強さも見え隠れします。
食事介助の後は服薬や体温測定
4パターンのシフトでケアを行う
恵望園のケアワーカーの業務は、出勤時間が7:00、10:00、12:00、16:00(翌朝までの夜勤)の4パターンのシフト制。たとえば7:00からの早番は16:00までの勤務となります。
「出勤するとまず、朝食の準備にとりかかり、夜勤の方が起こしてくれる利用者さんの食事介助を行います。それが、1日の始まりです」
その後、体温などのチェック、服薬の介助、パット(おむつ)交換が必要な方はその介助などを順次、行っていきます。入浴介助も大切な仕事ですが、佐々木さんは当初、ちょっと大変さも感じていたのだそうです。
「尿を溜めるバルーンをつけた方、浴槽に入ると体が浮いてしまう方など、利用者さん一人ひとりの状況に合わせて入浴の仕方を工夫する必要があるところが難しかったですね」
夏場は暑くて大変。でも冬場は逆に暖かくて心地いい、とやはり笑顔の佐々木さん。昼食の介助を行い、午後の休憩をとった利用者さんを、夕食のために起こし、準備をするまでが早番の仕事です。
介護の仕事に惹かれるも人と話すのが苦手
先輩に学び、真似をしながら感覚をつかむ
お母さんも、お姉さんも介護の仕事をしており、その姿を見るなかで、自分も同じ道に進みたいと、自然と思うようになったという佐々木さん。
「恵望園は、その姉が以前、働いていた社会福祉法人です。地元で歴史のある施設を運営していることにも惹かれ、入職を決めました」
人と接する介護の仕事に憧れを持つ一方で、佐々木さんはもともと、人と話したりすることが苦手な方だったのだと打ち明けてくれました。
「入浴介助以前に、実はそれが一番、大変だったことです。先輩の姿をよく見て、どんなことを利用者さんと話しているかを聞き、翌日、自分も同じように話しかけてみるなど、真似をすることで少しずつ、感覚をつかんでいった感じです」
そのうち、利用者さんとも親しくなるなかで、普通に話ができるようになっていったのだそうです。でも、日常生活では、依然として人見知りなところもあるのだとか。仕事モードの時は、決してそんなふうに見えません。そこに、プロフェッショナルさが垣間見えます。
自分の仕事に不安を感じたことも
良いところを指摘され自信を得る
すっかり職場になじんでいるようすの佐々木さんですが、同じ施設内の別のセクションを担当することになった際、自分の仕事に不安を感じたことがあったそうです。
「業務の流れが少し異なる環境だったこともあり、自分は果たしてちゃんと仕事ができているんだろうかと、思うようになって……。自信をなくしてしまったんです」
不安を感じ、正直に上司にその気持ちを打ち明けたところ、上司はもとより、周囲の先輩たちから、良いところ、成長しているところをほめてくれて、自分自身もそこに気づくことで前向きになることができたのだと佐々木さんは話します。
「今はもう、その時のような不安はないですし、入居者さんのペースに合わせた自分のやり方でいいんだと思えるようになっています。それも、成長なのかもしれませんね」
ちょっとした介助をしようとした時、〝佐々木さん、かわいいねぇ〟と言われて、とてもうれしかったのだと話す佐々木さん。照れながらも晴れがましい表情です。
楽しいことがいっぱいの介護の仕事
介護福祉士の資格取得が今の目標!
佐々木さんには、仕事をするうえで常に意識し、大切にしていることがあるそうです。それは、まわりの空気に引っ張られ過ぎないこと。
「勤務時間中は、常にやることがあり、時間に追われるような感覚になりがちです。そのなかで、ベテランの先輩は手早く仕事と進めていきます。でも、そのペースに飲まれないで、自分なりにゆっくりと、利用者さんに寄り添うよう心がけているんです」
仕事に追われ、急いで業務をこなしていた時期には、あまり話をしなかった利用者さんも、しっかり向き合うことを意識すると、いろいろな話をしてくれるようになったそうです。
「パット交換が、きれいに手早くできた時。食事介助をしていて〝おいしい〟と言ってもらえた時。そんな瞬間に喜びを感じられることが、介護の仕事の魅力だと思います。大変なイメージもありますが、少なくとも私にとっては日々、楽しいことがいっぱいあります!」
今の目標は、3年間の実務経験で受験できる介護福祉士の合格を目指すこと。そう言ったかと思うと、もう利用者さんの隣で話を始める佐々木さんです。
シゴトのフカボリ
ケアワーカー(介護士)の一日
7:00
出勤、朝食準備
7:40
朝食介助
8:00
服薬介助、体温測定、入浴介助など
12:00
昼食介助
13:00
入浴介助など
16:00
終業、退勤
※タイムスケジュールは早番シフトの場合
シゴトのフカボリ
みなさんへ伝えたいこと

職場にいる時は、いつも笑顔でいることを心がけています。自分が元気で、笑顔でいれば利用者さんも笑顔になってくれますし、楽しい気持ちで毎日、ここで暮らしていただくことができるのではないかと思っています。

社会福祉法人恵望会

1977年、恵庭市、恵庭市医師会、市民などからの寄附を受けて設立。特別養護老人ホーム、デイサービスセンター、居宅介護事業所等を運営しています。

住所
北海道恵庭市柏木町429番地6
TEL
0123-33-2388
URL
https://www.keibouen.jp

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日常生活が困難なお年寄りや体が不自由な人のサポートをする仕事。業務内容は入浴や食事、排せつの補助といった「身体介護」、調理や掃除などの「生活のサポート」、本人やそのご家族への生活、身体、介護に関する「相談・助言」、外出や地域活動などで生きがいづくりを提供する「社会活動支援」の4つに大きく分かれます。一般的な介護職員と仕事が大きく異なるわけではありませんが、介護福祉士は「ケアワーカー」という現場の責任者になったり、介護の指導にもあたれる「介護のスペシャリスト」です。

介護福祉士に向いてる人って?
人を思いやる気持ちとタフさが必要。

高齢者の役に立ちたいという気持ちはもちろん、どういう要望があるのか、どんな痛みがあるのかなど、相手の立場に寄り添って考える「人を思いやる気持ち」が大切です。入浴の補助やベッドでの体位変換といった仕事も多いことからタフさも必要。疲れをしっかりリフレッシュし、自分の気持ちをコントロールできる人も向いているでしょう。

介護福祉士になるためには

介護福祉士は国家資格。取得には試験を受ける必要があり、受験資格を得るにはさまざまなルートがあります。最も一般的な方法は、大学・短大・専門学校といった介護福祉士の養成を目的とした学科・コースに進み、試験を経て資格を取得するというもの。他にも福祉系高校に通う、実務経験を3年以上積んだ上で「実務者研修」を経て受験資格を得る道もあります。

※詳しくは公益財団法人社会福祉振興・試験センターのホームページをご確認ください。http://www.sssc.or.jp/

ワンポイントアドバイス
ステップアップやより良い待遇に。

多くの介護事業所では、介護福祉士の資格を取得することで資格手当が上乗せされます。また、サービス提供責任者や生活相談員、チームリーダーなど事業所で配置が必要となるポジションは介護福祉士の有資格者を求める場合が少なくありません。介護業界でステップアップしたい人やより良い待遇を望む場合は、介護福祉士にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

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