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松尾  彩音さん
インタビュー公開日:2022.06.27

祖父母の力になりたくて、
介護福祉の世界へ。
再開発が進むJR苗穂駅近く、JR線と豊平川を眺める絶好のロケーションに、社会福祉法人湖星会が運営する「ラスール苗穂」はあります。まるでホテルのように高級感あふれる建物ですが、在宅での介護が困難になった高齢者や障がい者が入居する特別養護老人ホーム。この施設で2年前から介護職員として働くのが、松尾彩音さんです。
「実家が二世帯住宅で、おじいちゃん、おばあちゃんと小さなころから一緒に暮らしていました。ウチは2人とも元気でしたけど、周囲には老老介護の世帯も多くて…。大好きな祖父母も、いずれ助けが必要になる時が来るとしたら、自分が力になってあげたい。そう考えたことが介護福祉の扉を開くきっかけとなりました」
札幌の高校を卒業後は、県立広島大学へと進学。まだ漠然とした夢しか持っていなかった松尾さんにとって、保健・医療・福祉の3分野を学べるカリキュラムが揃っており、理学療法士や言語聴覚士、社会福祉士など幅広い資格取得を目指せることも魅力だったと振り返ります。
生活相談員の夢へと
突き進んだ学生時代。
在学中はさまざまな分野を学んでいった松尾さん。当初は病院勤務の医療ソーシャルワーカーも視野に入れていたそうですが、教室を離れて実習現場へと足を運ぶに従って、より公共性の高い介護分野での生活相談員を目指すようになりました。
「実際の施設を訪れると、介護を必要とする人だけでなくその家族のケアも大切だと実感したんです。家での生活が困難になってしまった本人が悩みを抱えているのはもちろんですが、それを支えようと踏ん張る家族も、本人同様に苦慮している。そんな姿に自分の祖父母や両親が重なり、介護を取り巻く人全ての悩みに寄り添える生活相談員になりたいと願うようになりました」
そんな想いを教授へ相談したところ、「まずは現場で経験を積んだ方がいい」とアドバイスを受けたそう。家族のいる北海道でのUターン就職を目指し、ここならと思ったのが湖星会。施設の規模が大きく職員も多いことや、学びを後押しする制度が整っていること、勤務環境や待遇も安定していることが決め手となりました。
夢に近づきやすい
ショートステイの現場へ。
湖星会では新入職員が入ると、まずは目標をヒアリングし、その達成に向けて上司や先輩たちがバックアップする体制となっています。松尾さんの場合、将来は生活相談員になりたいという夢を掲げたところ、利用者だけでなくその家族や他の機関との関わりが強いショートステイ(短期入所生活介護)に配属され、目標に向けたサポートを受けることとなりました。
「ショートステイは在宅での介護が難しくなった高齢者を、1週間から2週間の短い期間受け入れるサービスです。入所の条件が要介護認定3以上と比較的厳しい特定養護老人ホームに対して、ショートステイは要支援1以上から入所できるため、心身とも健康な方が多いのが特徴です。利用者本人よりもその家族が介護疲れや老老介護、仕事と介護の両立が困難といった事情を抱えていることも多く、ケースに応じた臨機応変な対応が必要となります。短期間と言っても何度も入所を繰り返す方もいて、家族や行政と今後の対応を判断しなければならない機会もあるんです」
入職してからも
学びや発見の連続。
大学で介護福祉を学んでいた松尾さんですが、介護福祉士やケアマネージャーといった専門の資格は持っていないのだとか。それでも介護職員としての仕事はできるのでしょうか?
「介護職といえば資格が必須だと思われがちですが、無資格でもかなり幅広い業務を行うことができます。私の場合は入退所者の管理のほか、日常生活の支援や食事、排泄の介助などを行っています」
湖星会は全国33法人、従業員数1万2千人を超える湖山医療福祉グループの一員。毎年多くの入職者がいるため、グループ全体で学ぶ機会もたくさん設けられていて、「こやまカレッジ」という独自の育成機関を通じて介護福祉士の資格も取得できるそうです。
「介護福祉士の受験資格は3年の実務経験のため、私の場合は来年から受講をはじめる予定です。生活相談員を目指すには幅広い学びが必要。そのために口腔ケアや手洗いといった現場向けの研修はもちろん、社会福祉士の資格取得に向けた研修も受けています。
より良い介護のために
さまざまな人とコミュニケーションを。
最近は夜勤も担当するようになったという松尾さん。「大変ですか?」と聞くと「最初だけですね」とケロリ。湖星会では将来の人手不足に向けて積極的な人材育成や採用に力を入れており、同時に働きやすい環境づくりにも取り組んでいるのだとか。
「当法人で働いていて一番気に入っているのが、切磋琢磨する同世代の仲間がたくさんいて、いつでも相談できる体制が整っていることですね。私、ここで現場を経験して初めて『スタッフにも信頼される相談員になろう』という新しい目標ができたんです。介護って、利用者様やその家族のプライベートに踏み込まなくてはならない仕事。たくさんの方々の悩みに寄り添って信頼を得ることが、より良い介護サービスの提供に直結するんです」
取材を終えて颯爽と歩き出す松尾さん。職員とすれ違うたびに、笑顔で挨拶している姿が印象的でした。
シゴトのフカボリ
介護職員の一日
6:40
出勤、夜勤職員からの引き継ぎ
8:00
朝食、口腔ケア
10:00
コーヒーの提供、体操
11:00
入所者の対応
11:30
口腔体操
12:00
昼食介助
14:00
退所者の対応
14:00
レクリエーション
16:00
夜勤職員への引き継ぎ、退勤
シゴトのフカボリ
拝見!オシゴトの道具
タブレット
アプリで食事や水分補給量などの生活状況を記録して共有。他スタッフへの引き継ぎや医療機関へ通院の際に活用しています。利用者様と体操などの動画を見ることも。
シゴトのフカボリ
みなさんへ伝えたいこと

利用者様もその家族も、対応する現場のスタッフもみんな悩んでいます。小さな声に耳を傾けて、それぞれとの関わりを大切にすることが、最終的に利用者様の幸せに繋がるんです。

社会福祉法人湖星会
特別養護老人ホーム ラスール苗穂

特定養護老人ホームでありながら従来の介護サービスの枠組みにとらわれず、地域密着の開かれた場を目指しサービスを提供している。

住所
北海道札幌市中央区北2条東19丁目11-2
TEL
011-206-7677
URL
http://koseikai-star.com/

お仕事データ

介護現場のまとめ役!
介護福祉士
介護福祉士とは
現場をまとめる
介護のスペシャリスト!

日常生活が困難なお年寄りや体が不自由な人のサポートをする仕事。業務内容は入浴や食事、排せつの補助といった「身体介護」、調理や掃除などの「生活のサポート」、本人やそのご家族への生活、身体、介護に関する「相談・助言」、外出や地域活動などで生きがいづくりを提供する「社会活動支援」の4つに大きく分かれます。一般的な介護職員と仕事が大きく異なるわけではありませんが、介護福祉士は「ケアワーカー」という現場の責任者になったり、介護の指導にもあたれる「介護のスペシャリスト」です。

介護福祉士に向いてる人って?
人を思いやる気持ちとタフさが必要。

高齢者の役に立ちたいという気持ちはもちろん、どういう要望があるのか、どんな痛みがあるのかなど、相手の立場に寄り添って考える「人を思いやる気持ち」が大切です。入浴の補助やベッドでの体位変換といった仕事も多いことからタフさも必要。疲れをしっかりリフレッシュし、自分の気持ちをコントロールできる人も向いているでしょう。

介護福祉士になるためには

介護福祉士は国家資格。取得には試験を受ける必要があり、受験資格を得るにはさまざまなルートがあります。最も一般的な方法は、大学・短大・専門学校といった介護福祉士の養成を目的とした学科・コースに進み、試験を経て資格を取得するというもの。他にも福祉系高校に通う、実務経験を3年以上積んだ上で「実務者研修」を経て受験資格を得る道もあります。

※詳しくは公益財団法人社会福祉振興・試験センターのホームページをご確認ください。http://www.sssc.or.jp/

ワンポイントアドバイス
ステップアップやより良い待遇に。

多くの介護事業所では、介護福祉士の資格を取得することで資格手当が上乗せされます。また、サービス提供責任者や生活相談員、チームリーダーなど事業所で配置が必要となるポジションは介護福祉士の有資格者を求める場合が少なくありません。介護業界でステップアップしたい人やより良い待遇を望む場合は、介護福祉士にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

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