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齊藤  勇太さん
インタビュー公開日:2023.08.21

市場動向を熟知する水産品の商社で、
世界で有数のエビ消費国を支える誇り。
握りにお刺身、天ぷら、フライをはじめ、カレーや茶碗蒸しにも入っている「エビ」。近年は減少傾向も見られるようですが、世界のなかでも日本は有数のエビ消費国なのだそうです。
「国内産もありますが、私たちが扱っているのは海外で獲れたボタンエビが圧倒的に多いです。おおまかな数字ですが、全国に流通するボタンエビの35%ほどを札幌にある当社が扱っています」
淡々と、でもちょっと誇らしげに話すのは札幌協和の齊藤勇太さん。同社では、エビのほか、カニ、魚卵(イクラ)、貝類(ホタテ)、鮭鱒(ケイソン)などの水産物を、輸入業者・卸売市場・総合商社などから買い付け、仲卸業者に商品を流す荷受(にうけ)会社や、スーパーや飲食店の需要に応える仲卸業者などに販売しています。齊藤さんは、会社の売上の多くを占めるというエビの担当。誇らしいのも当然です。
「水産品の流通は、一般にはわかりにくいかもしれませんが、当社は輸入業務こそしないものの、水産品の流通の上流にいる商社という立場になります」
商社の価値は、市場動向を熟知していること。ものを的確に動かすだけでなく、担当する魚種について知識を深め、刻々と動く相場などを常に把握している必要があるのだと、今度は、キリリとした表情になりました。
輸入エビの入荷情報を流し、受注を促進。
市場からの購入など、多様なルートも。
齊藤さんの仕事は営業職。同じ札幌市内にあり、国内の7割もの輸入エビを扱っているという卸売業者との取引をメインに、海を経て入荷したエビの情報を、取引先である荷受会社、仲卸会社などに案内して、購入を促します。
「メールで一斉に入荷状況を流し、購入希望の連絡を待つほか、これまでのお付き合いのなかで、必要としそうな荷受会社などに電話をかけて、注文を伺うこともありますね」
輸入を担っている卸売業者には、例えば産地であるロシアなどから、購入を打診するオファーが入ります。その際、「これを買おうと思っているが、どうだろう」という相談を受けることもあるそうです。齊藤さんは、自分の顧客などの状況も考慮しながら、仕入れするかどうかを決める相談にも乗ります。
「市場などを見極め、一緒に仕入れを考えていくんです。仲の良い荷受会社などには、入荷予定をお伝えして予め注文をいただくこともありますし、全国の仲卸業者さんからの発注を受けて在庫を送るなど、業務の流れにも、さまざまなパターンがあります」
毎日、顔を出している札幌中央卸売市場の仲卸業者から買い付けて、道外に送ることもあるなど、流通ルートは実に多様です。
社長である父親の仕事への興味。
「どうせやるなら父を超えたい」
水産品の流通について、ていねいに教えてくれる齊藤さんですが、まだ入社2年目。そして実は、齊藤隆幸社長の息子さんなのです。とはいえ、入社を決めたのは100%、自分自身の意思によるものでした。
「エビ、カニなど、入荷した商品を検品するために包装を解くのですが、その残りをよく、父が家に持って帰ってきていて、もうそれが楽しみで。自分も働いたら、これが食べられるのかなというのも、理由の一つです」
そういって笑う齊藤さんですが、社長であるお父さんからは「好きなことをやればいい」と言われていたそうです。業務内容も、仕事の流れも知らなかったものの、だからこそ仲の良かった父親の仕事に興味を抱き、自分も経験してみたいと思ったのだとか。
「跡を継ぐという気持ちは正直、それほど強くありませんでしたが、今は、どうせやるなら父を超えたいという気持ちが湧いてきています。そのためには、相当な勉強が必要ですが」
入社1年目は、上司が受けた注文を入力して、トラックを手配し出庫を指示するデリバリー業務に従事。その後、エビの担当となり、現在は少しずつ、自分自身で注文を受けるようになってきているところです。
業界経験の長い取引先の知識を超える、
ホットな情報を伝えられるかが勝負。
「今は、自分のお客様をつくっていく段階だと思っています。前任の担当者から引き継ぎ、人間関係を築いていくところからですね。そのためには、エビの価格から原産地の政治情勢まで、お客様に伝え、仕入れの参考にしてもらえる情報をしっかりと身に付ける必要があります」
取引先の荷受会社や仲卸業者には、長年、水産品の扱いに経験を重ねた業界のプロが大勢います。リアルタイムな輸入の状況など、そうした人たちの知識を超えるホットな情報をいかに提供できるか。そこが勝負なのだと力を込めます。
「社内には、私と同年代の営業社員が2名いますが、お客様の担当者の多くは年上の方が大半。20歳になり、道外からお越しになるお客様との商談の飲み会にも参加できるようになるなか、改めて言葉遣いや立ち居振る舞いなども身に付けていっている感じです」
コロナ禍の行動制限がほぼ、なくなったことから、会うことができていない道外の荷受会社、仲卸業者への訪問も始まり出張も増えてきたという齊藤さん。忙しさも増すなか、直接、会って話せる機会を楽しみにしているそうです。
情報を読み相場を見て行う値付け。
プレッシャーと同時にやりがいも。
水産品は、漁獲量などによって常に価格が変動する、いわゆる相場品です。年間で価格が大きく変動することも珍しくありません。そうした条件のなか、商材の値付けを行うことも営業担当の仕事なのだそうです。
「海外からの大口の仕入れ先である卸売業者から得る情報のほか、独自に業界内での動きなどを睨み、全体を把握しながら相場を考えていきます。とても難しく、扱う量が多いだけにプレッシャーもありますが、だからこそのやりがいも感じています」
自分の仕事の本当の大変さもわかってきたという齊藤さんですが、同時に楽しさも倍増してきたと、身を乗り出すように話します。
「変な言い方かもしれませんが、入社して大満足です。特にそう感じるのは、自分が発想したこと、やりたいことにチャレンジさせてもらえる社風。例えば、卸売業者さんから届く目新しいエビの入荷案内を受けて『100個買って、2カ月で売り切ります!』と手を挙げて取り扱うことができるんです」
現在、上司が扱っているエビを引き継ぎ、それを上回る売り上げを目指すこと。誰よりも売り、誰よりも仕事ができると認められること。『商社マン』としてのプロ意識が急成長中の齊藤さんです。
シゴトのフカボリ
水産品商社営業の一日
6:00
出勤、朝礼、朝一番での注文品の出庫
6:30
札幌市中央卸売市場をまわり、仲卸業者などに挨拶、情報収集
8:00
取引のある卸売会社の食堂で朝食(会社負担)
8:30
この時間に出社する社員を交えて全体朝礼、スケジュールの確認、電話での営業活動、検品など
12:00
朝食と同じ卸売会社の食堂、または社内でご飯を炊いて昼食(昼食中は事務所の出入が禁止)
13:00
その日の手配を確認して、売上を確認・入力、翌日の見積作成など
15:00
終業、退勤
シゴトのフカボリ
みなさんへ伝えたいこと

まだ知識が足りないといった理由から不安があっても、やってみたいと思ったことなら、挑戦してみた方がいいと常に考えています。失敗したとしても、きっとそこから学ぶことがあり、次につながっていくはずです!

株式会社札幌協和

小樽で生まれ、小樽の水産会社で貿易を経験した齊藤隆幸社長が2002年に設立した冷凍水産商社。輸入エビの販売では全国有数のシェアを誇っています。

住所
北海道札幌市中央区北12条西20丁目1番10号 カネシメ冷蔵3階
TEL
011-633-3663
URL
https://www.spkyowa.com

お仕事データ

商品やサービスを販売!
営業
営業とは
商品やサービスを販売し、
売上に結びつける大黒柱。

一般に自社の商品やサービスを販売するのが営業の主な仕事。企業向けに販売する法人営業と、個人にセールスする個人営業とに大きく分けられます。とはいえ、商材によってスタイルはさまざま。見込み客を訪問し売り込む新規開拓営業、固定客を中心に訪問し取引するルートセールスなどがあり、扱う金額はもちろん、顧客とのコミュニケーション方法も異なります。また、販売戦略を立てたり、課題を分析したり、時にはお客様先に同行する営業企画を担うことも。営業に共通していえるのは商品やサービスを売上に結びつける、企業にとっての大黒柱!

営業に向いてる人って?
人と接することが好きな聞き上手。

営業というと明るく元気で話し上手な人をイメージしがち。けれど、押しが強く、口が達者なだけでは売上にはなかなか結びつきません。相手を尊重し、じっくりと耳を傾けてニーズを引き出すのが得意なタイプが、トップセールスを叩き出すケースも多いようです。「人と接することが好き」で会話のキャッチボールができることが大切です。

営業になるためには

基本的には特別な資格や学歴は必要ありません。ただし、海外との取引をする上で英語力を持っていた方が有利だったり、不動産会社では「宅地建物取引士」の資格が必要だったり、就職先や業界によって専門性が求められることもあります。営業企画の場合は、市場調査や分析などの知識があると活躍の幅が広がります。

ワンポイントアドバイス
タフな反面、結果への見返りも大!

営業職の特徴としては成果や実績をあげた人に、より多くの給料が与えられる「成果給」を取り入れている企業が多いこと。その場合、ビジネスの最前線で奮闘するタフな仕事の反面、結果を残せば見返りとして大きなインセンティブを手にすることができます。

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