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営業・広報_山崎 航輝さん
インタビュー公開日:2025.03.18

いずれ家業を継ぐことは、
うっすらと意識していました。
「ウエス」をご存知ですか?一般家庭の雑巾とは異なり、工場の水や油を拭き取ったり、機械のメンテナンスに使ったりする布のこと。多くが使わなくなったタオルや服を再利用して製造されているのも特徴です。
「当社では道内を中心に各地で集めた古着を、主にカンボジアの自社工場へ送り、リユース商品としてそのまま売れるもの、売れないものに選別。汚れや傷みがひどい服はウエス用の素材として裁断し、送り返してもらった上で製品化しています」
さわやかな笑顔でこう教えてくれたのは、鷹栖町に本社を置く株式会社キョクサンの山崎航輝さん。サステナブル販売部門の営業と広報を兼務しています。
「僕は社長の息子でもあります。幼いころ、父のすすめもあってPCに触れるようになり、プログラムを勉強しておけば将来の役に立つと思い、旭川工業高校の情報系学科に進学しました」
いずれ家業を継ぐことはうっすらと意識していたとはいいますが、高校卒業後は室蘭市の大手製鉄会社のグループ企業に就職。工場のシステムエンジニアとして働きました。
服や繊維をリサイクルするのは
世間の当たり前ではなかったんです。
山崎さんに転機が訪れたのは2022年のこと。正月に久しぶりに実家に戻ったところ、社長である父から「キョクサンは近い将来、新たな取り組みに乗り出す変革期を迎えるから、帰ってこないか」と切り出されたと振り返ります。
「僕自身、小さなころから着なくなった服は工場へ持っていき、リサイクルするのが当たり前の暮らしを送っていました。けれど、世間では瓶や缶、ペットボトルの分別が一般的なのとは異なり、繊維はゴミとして捨てられるケースが大半。事実、繊維リサイクルは約34%(環境省/2022年度調査)と低水準です。この状況が歯がゆくもあり、入社することを決めました」
山崎さんは子どもの時から工場の作業を手伝ったり、アルバイトをしていたりしていたため、製造現場のノウハウはバッチリ。そのため、入社1年目は日本各地の取引先に顔を出し、どのようなルートで古着を調達し、ウエスになった製品がどう使われているのかを中心に学んでいきました。
企業のSDGsや社会貢献活動にも
役立てられるのが強みです。
キョクサンの営業職には二通りあり、一つは製品となったウエスを工場やユーザーにセールスする分野。もう一つが行政やリサイクルショップ、スーパーなどに、古着の回収協力を提案するパターンです。
「僕が所属するサステナブル販売部門は、例えば、企業内に古着回収ボックスを設置してもらい、当社で製品化した上でウエスを使ってもらうという循環型の提案を行っています。ここ最近、SDGsや企業の社会貢献が注目されていますが、実際のところ『取り組んでみたいけれど何をすべきか分からない』と迷うケースも多いと思います。当社では、どれくらいの繊維を回収し、どれくらいカンボジアでリユースされて、どれくらいウエスとして製品化されたのか、明確な数字を出すことができるんです。企業の環境面の活動に役立てるところもメリットに感じていただいています」
実際、こうした複合的なアプローチの結果、全国規模の大手企業と取り引きが始まったとか。まだ古着の回収までには至っていませんが、可能性は十分にあると目を輝かせます。
繊維リサイクルを知ってもらい、
アクションへとつなげたい!
山崎さんは昨年から広報にも携わるようになり、旭川市の地域イベントや新聞社の取材対応、地元ケーブルテレビへの出演などにも積極的に取り組んでいます。
「例えば、自動車ディーラーのイベントに出展したことをきっかけに、ウエスの販売と回収ボックスの設置につながりました。他にも、旭川の『まちなかキャンパス』という高校生、高専生、大学生が主体となってSDGsやデザインについて学ぶイベントに出展した時のこと。今の若い世代は環境や地域の課題解決に志が高いため、僕らのブースも非常に盛り上がりました」
現状では、残念ながら繊維リサイクルの認知度が低いため、「まずは知ってもらうことを大切で、それをアクションにつなげたい」と山崎さんは真剣な表情を浮かべます。
「こうした活動から少しずつ認知度が高まったり、新しいつながりが増えていったり、広がりを感じられるのがやりがいでもあります」
働く人の世界を広げるのも、
キョクサンの目標の一つです。
山崎さんはサステナブル販売部門に軸足を置きながら、様々な役割を担っています。いずれ家業を継ぐという経営者の視点も持ち合わせているのでしょうか?
「いえいえ、社歴は新人同様なのでおこがましいです(笑)。ただ、当社がカンボジアに工場を持っている背景から、衛生教育の一環として石けんを寄付する慈善事業を行っており、最近、2名の社員が現地に赴いた際、とにかく目を輝かせていたのが印象的でした。カンボジアの方との交流やカルチャーショックから、世界が広がったのが見て取れたんです」
働く人の視野を広げることも目標の一方、山崎さんには大きな使命があります。それは、もちろん繊維リサイクル率を高めること。
「日本では年間40万トン以上の衣類や繊維が捨てられていて、当社がリサイクルしているのはその1%にも満たない量です。この課題はイチ企業だけでは解決するのが難しいため、いつか日本中の同業者と連携して数字を高めていきたいですね」
シゴトのフカボリ
営業・広報の一日
9:00
出勤
9:15
回収協力企業の訪問/古着回収
12:00
昼休み
13:00
新規顧客の開拓
16:30
事務処理
17:00
退勤

シゴトのフカボリ
拝見!オシゴトの道具

古着のリメイクバッグ
キョクサンでは、社員の入社時に古着から作られたバッグをプレゼントしています。こうしたユニークな取り組みも、自由度やアイデアを大切にする当社らしいと思います。
シゴトのフカボリ
みなさんへ伝えたいこと

当社の社員が慈善事業でカンボジアを訪れた後、仕事への取り組み方が明確に変わりました。自分たちが日々取り組んでいる仕事が現地の雇用を生んだり、古着が役立っていることを実感することでモチベーションが高まったのだと思います。

株式会社キョクサン

グローバルに繊維リサイクルを展開する地球にやさしい企業。鷹栖町に本社・工場を構える他、札幌や仙台にも拠点を展開。カンボジアに現地法人を立ち上げ、雇用創出にも貢献。現在は工業用布ウエスの製造販売と、海外への古着輸出を主軸に事業を展開中。

住所
北海道上川郡鷹栖町7線11号132番地72 (鷹栖工業団地内)
TEL
0166-87-3187
URL
http://www.kyokusan.co.jp/

お仕事データ

商品やサービスを販売!
営業
営業とは
商品やサービスを販売し、
売上に結びつける大黒柱。

一般に自社の商品やサービスを販売するのが営業の主な仕事。企業向けに販売する法人営業と、個人にセールスする個人営業とに大きく分けられます。とはいえ、商材によってスタイルはさまざま。見込み客を訪問し売り込む新規開拓営業、固定客を中心に訪問し取引するルートセールスなどがあり、扱う金額はもちろん、顧客とのコミュニケーション方法も異なります。また、販売戦略を立てたり、課題を分析したり、時にはお客様先に同行する営業企画を担うことも。営業に共通していえるのは商品やサービスを売上に結びつける、企業にとっての大黒柱!

営業に向いてる人って?
人と接することが好きな聞き上手。

営業というと明るく元気で話し上手な人をイメージしがち。けれど、押しが強く、口が達者なだけでは売上にはなかなか結びつきません。相手を尊重し、じっくりと耳を傾けてニーズを引き出すのが得意なタイプが、トップセールスを叩き出すケースも多いようです。「人と接することが好き」で会話のキャッチボールができることが大切です。

営業になるためには

基本的には特別な資格や学歴は必要ありません。ただし、海外との取引をする上で英語力を持っていた方が有利だったり、不動産会社では「宅地建物取引士」の資格が必要だったり、就職先や業界によって専門性が求められることもあります。営業企画の場合は、市場調査や分析などの知識があると活躍の幅が広がります。

ワンポイントアドバイス
タフな反面、結果への見返りも大!

営業職の特徴としては成果や実績をあげた人に、より多くの給料が与えられる「成果給」を取り入れている企業が多いこと。その場合、ビジネスの最前線で奮闘するタフな仕事の反面、結果を残せば見返りとして大きなインセンティブを手にすることができます。

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