A(仮名)さん
インタビュー公開日:2021.03.24

トヨタ純正部品から洗剤類まで
多様な部品・製品を供給・販売。
ドアやバンパーといった車体関連、バッテリー、タイヤ、エンジンオイル、ラジエーターのクーラント(冷却水)、ブレーキフルード等々に始まり、自動車には1台あたり2万点とも3万点とも言われる無数の部品(パーツ)が使われています。
「会社名にもある通り、そうしたパーツを供給・販売することが当社の業務です。道内を走っている約371万台の自動車を支えている仕事と言ってもいいかもしれません」
そう教えてくれたのは、トヨタ モビリティパーツの販売グループで営業を担当しているAさん(仮名)。トヨタ車向けの純正部品はもちろん、自動車整備などの現場で必須となる手洗い洗剤・床洗剤、今やどんな場所でも必須となった除菌剤など、ケミカル商品と呼ばれるものも含めて、多様な種類の商品を扱っているのだそうです。
「当社はトヨタ自動車の系列ですが、そうした枠を超えて、同じようにパーツなどの供給を行う企業同士が日々、営業活動の現場で切磋琢磨しています。そこに、私はおもしろみを感じています」
営業の第一線でいきいきと活動する、爽やかな笑顔が魅力のAさんです。
顧客の新たな利益につながる
提案を行っていくのも大切な仕事。
「私が担当しているのは、自動車ディーラー、民間の修理工場、ガソリンスタンドがメインです。それらのお客様先に定期的に顔を出してお話をする、いわゆるルート営業を行っています」
同社では、地域ごとに営業スタッフが専任する「テリトリー制」を導入しており、決まった取引先と常に向き合います。Aさんは清田区などの札幌南東部と北広島市の一部をテリトリーとし、約35社を担当。トヨタ純正パーツをはじめとする部品の注文を受けると同時に、顧客の利益に貢献できそうな商材などを提案することも大切な仕事なのだそうです。
「最近では、自動車の販売や車検の際に、車内用の除菌剤をオーナーにお勧めすることを、提案しました。新たな商材として、お客様の売上アップにつなげていただくためです」
商品を提案するだけでなく、商品知識や車輌オーナー様へのセールストークの仕方などについての説明会も行い、顧客の売上につながるようにバックアップも行うのだとか。なんとも、手厚いフォローです。
「こうしたプラスアルファの活動を行うことにより、同じようなパーツ販売の競合が多いなかで、強みを得ることができるんです。ものを売る営業ではなく、お客様の『商売の仕組みづくりをお手伝いする』と言えばいいかもしれませんね」
顧客との関係づくりを第一に
課題を探り、解決策を考えていく。
プラスアルファの商材といっても、顧客の業種や事業スタイルによって提案の仕方は異なります。例えば先の除菌剤は、中古車販売店なら納車時の除菌サービスというかたちで提供することにより、店の評価を高めるといった効果が期待されます。大切なのは、どれだけそのお客様のことをよく知るかということ。そうAさんは話します。
「情報収集がすべてです。お客様は、現在の部品供給について価格や品質などに不満を持っていないか?代表者は新たな事業展開についてどんなふうに考えているか?従業員は、なにか課題を抱えてはいないか?日々話をするなかから、そうしたことを察知し、効果的な解決方法を考えて提案していきます」
とはいえ、なんでも話せる関係になるまでには苦労もあるそうです。最初は、お互いに知らない仲からのスタート。「今日は、いい天気ですね」といった話から徐々に顔馴染みになっていくというプロセスが必須です。聞いた話は、車に戻ったら忘れないようにメモするのがAさんのスタイル。そうやって徐々に、関係性ができていくのだそうです。
「顔を出さない日があると、用件がなくても『どうした? 何かあったか』と電話をくれるお客様もいらっしゃいます。そんな関係が築けるのはテリトリー制があるおかげです」
車検の交換部品をメインにしつつ、
イレギュラーなオーダーにも応える。
旭川の高校を卒業し、札幌の大学へと進んだAさん。大学では硬式野球に全勢力を注いでいました。そして、同社に勤務していた野球部時代の先輩に誘われたことが入社の動機となったのだそうです。研修を経て、旭川支社で5年間勤務した後、7年前に札幌の営業所へと異動してきました。
「入社後は、半年間の研修のなかで倉庫業務と受注センターでの注文受付業務を経験しました。商品知識をつけることが目的でしたが、商品は無数にあって……現場で一つずつ覚えて行ったというのが実際のところ。今でも扱ったことがない商品もある奥深い世界です」
日常的によく動く部品は、車検整備の際に交換するトヨタ純正部品。ブレーキパッド、エアクリーナーのエレメント、オイルドレンのエレメントなどで、これらは1日に何百個も発注があるメインの商材です。一方で、専用部品、汎用部品と呼ばれるイレギュラーなオーダーにも、その都度、対応します。
「ドレスアップのエアロパーツ、音響資材など、車輌オーナー様から依頼を受けたお客様からの問い合わせもあります。例えばインチアップのホイールが欲しいとなれば、専門の卸会社とやりとりをし、手配します」
ここでも、いかに的確に要望に応えられるかが信頼に繋がっていくのだそうです。
自然体で人と向き合うことの大切さ
その経験を後輩へと伝えていく使命。
Aさんには、今でも忘れられないお客様がいます。
「ある修理工場での話なのですが、初めて伺った時には、口も聞いてもらえなかったんです。大学を出たばかりで部品の知識も乏しい私と、父親よりも年上のベテランの社長。話にならないと思われたのかもしれませんね」
それでも足繁く通い、気がついたこと、思っていることなど、どんなことでも話したそうです。するとそのうちに、徐々に心を開いてくれるようになっていきました。
「当初は、こいつ、何を言っているんだろうと思われたかもしれませんが(笑)、最終的には必要なものは、すべて私から買っていただけるような関係になれました」
自動車部品を通して役に立ちたいという気持ちが伝わった。Aさんはそう感じたそうです。別のテリトリーに移っても『元気でやっているか?』と連絡をくれるのだそうです。
「最初は、とにかく緊張していたのですが、背伸びをしてもだめ。人と向き合うのには自然体が一番ということも学んだ経験でした」
現在は係長として、後輩の指導も行う立場となったAさん。そうした経験とともに、失敗してもいいから目の前のことに取り組んでいけば、必ず前進できるということを伝えていきたいのだと、表情を引き締めました。
シゴトのフカボリ
自動車部品営業の一日
9:00
出勤、予定確認のミーティング
10:00
顧客への訪問活動スタート
12:30
帰社、昼休憩
14:00
訪問活動再開
16:30
帰社、見積作成など
17:30
退勤
シゴトのフカボリ
拝見!オシゴトの道具
システム手帳
いただいた部品の注文のほか、お客様が話していたこと、耳にした情報などをメモしています。担当するディーラーのイベント予定なども漏らさず記入して上司に伝え、手伝いに出向くこともあります。
シゴトのフカボリ
みなさんへ伝えたいこと

何事にも失敗はありますし、うまくいかず、躊躇してしまうこともあるかもしれませんが、常に前に向かうという気持ちを持つことが大切だと思っています。そうすれば、きっと道は開けていきます。

トヨタ モビリティパーツ株式会社
北海道統括支社

部品供給体制の合理化を図るトヨタの方針に基づき、全国で5番目の共販会社として1969年に設立。2020年4月にトヨタ部品北海道共販から現社名へと変更。

住所
北海道札幌市豊平区西岡4条1丁目13-50
TEL
011-851-5111
URL
https://www.tph.co.jp

お仕事データ

商品やサービスを販売!
営業
営業とは
商品やサービスを販売し、
売上に結びつける大黒柱。

一般に自社の商品やサービスを販売するのが営業の主な仕事。企業向けに販売する法人営業と、個人にセールスする個人営業とに大きく分けられます。とはいえ、商材によってスタイルはさまざま。見込み客を訪問し売り込む新規開拓営業、固定客を中心に訪問し取引するルートセールスなどがあり、扱う金額はもちろん、顧客とのコミュニケーション方法も異なります。また、販売戦略を立てたり、課題を分析したり、時にはお客様先に同行する営業企画を担うことも。営業に共通していえるのは商品やサービスを売上に結びつける、企業にとっての大黒柱!

営業に向いてる人って?
人と接することが好きな聞き上手。

営業というと明るく元気で話し上手な人をイメージしがち。けれど、押しが強く、口が達者なだけでは売上にはなかなか結びつきません。相手を尊重し、じっくりと耳を傾けてニーズを引き出すのが得意なタイプが、トップセールスを叩き出すケースも多いようです。「人と接することが好き」で会話のキャッチボールができることが大切です。

営業になるためには

基本的には特別な資格や学歴は必要ありません。ただし、海外との取引をする上で英語力を持っていた方が有利だったり、不動産会社では「宅地建物取引士」の資格が必要だったり、就職先や業界によって専門性が求められることもあります。営業企画の場合は、市場調査や分析などの知識があると活躍の幅が広がります。

ワンポイントアドバイス
タフな反面、結果への見返りも大!

営業職の特徴としては成果や実績をあげた人に、より多くの給料が与えられる「成果給」を取り入れている企業が多いこと。その場合、ビジネスの最前線で奮闘するタフな仕事の反面、結果を残せば見返りとして大きなインセンティブを手にすることができます。

この仕事の求人例

この仕事のほかのインタビュー。