稲山 亮さん
インタビュー公開日:2022.12.15

工場で目にした、値引きシール。
身近な分野ということに親近感。
「『シールをつくっている会社』と最初に聞いた時には、正直、あまりよくわからず、営業職の役割も想像できませんでした」
そう話す稲山亮さんが、シール印刷を生業に100周年を迎えた株式会社シモクニと出会ったきっかけは、大学で力を入れていたバスケットボールの部活の関係者からの紹介でした。経営学部で学び、就職活動ではさまざまな業界の企業研究を行いますが、自分が働いている姿がイメージできる企業に、なかなか巡り会えずにいたころだったそうです。
「会社説明会に参加し、役員の方から事業内容などを伺って、工場見学もさせていただきました。工場に入ってみると、見慣れたものが……それは、『○%引き』などと書かれた値引きシールでした。とても身近な分野なんだと親近感が湧き、興味を惹かれました」
工場を担う技術スタッフから礼儀正しい挨拶を受け、職場の雰囲気の良さを感じたことも、稲山さんが営業職として同社に入社するきっかけとなりました。
工場研修で知った精密な印刷技術。
材質、糊、表面仕上げも多種多様。
そんな稲山さんですが、もちろんシールの制作技術についての知識はなく、そのせいもあって、それほど高度なものではないだろうと考えていたのだと振り返ります。
「大きなプリンターのようなものに紙を入れれば、シールが出来上がっていくといったイメージを抱いていましたが、そんな思い込みは、2カ月余りの工場研修で吹き飛びました」
工場には、小型の輪転機が所狭しと並び、熟練の技術スタッフがついて、精密な印刷が行われていました。同じシール(ラベル)でも、材質によって水に強いもの、冷凍しても大丈夫なものといった特性があり、また、表面にフィルムを加工するなど仕上げ方法もさまざま。糊にも強力なものからはがしやすいものまで、多様な種類があります。
「さらに、金箔・銀箔などを圧力をかけて紙に転写する箔押しなど、仕上げの方法もいろいろあります。奥深い世界ですし、営業職として多くの知識を身に付ける必要があります」
入社4年目を迎え、基本的な知識については自信を持てるようになったと稲山さんは話します。
シールの仕様・デザインを提案し、
制作を受注することが営業職の仕事。
「加工食品のメーカー、水産加工会社などから、商品に貼るシール制作の受注を得るための営業活動が私の仕事です。すでに取引のあるお客様を訪問し、課題などを聞き取ったうえでシールの仕様・デザインなどをご提案することが多いですね」
食品関連、なかでも水産品を扱うお客様を多く担当しているという稲山さん。例えば、ホッケを入れる袋に貼るラベルを依頼されると、聞き取ってきた要望や条件に沿ってデザイナーと打ち合わせを行い、工場とも技術的な確認を取ったうえでデザイン案を作成。見積とともに提案して受注につなげるというのが、業務の一つの流れです。
「食品メーカーなどに包装資材を供給する代理店への営業活動も行います。その代理店が、お客様からシールの依頼を受けた際に、当社にオーダーをいただくためです。その点、ISOを取得し、高い技術力を有していることが大きなアピールポイントとなりますね」
他にも、スーパーで惣菜などに貼る栄養成分・原材料などの用紙、それを印刷するプリンターもメーカーと連携して販売するなど、幅広い営業活動を行っています。
思い出に残る初受注のお客様。
今ではパッケージなども受注!
稲山さんが提案しているのはシールだけでなく、商品の流通・販売に必要となる資材をセットで勧めることもよくあるのだそうです。
「例えば、ジャムの瓶に貼るラベルを依頼された場合、個包装用の箱、手提げ袋なども提案します。それができるのは、社内にデザイナーがおり、そうしたアイテムも一括して制作できる体制が整っているからなんです」
シール印刷を行う企業は、北海道内にも複数ありますが、社員としてデザイナーが常駐している企業は少ないのだとか。「それが当社のウリです!」と提案モードに入る稲山さん。今でも忘れられない、お客様との思い出があるといいます。
「初めて新規に一人で訪問し、受注をいただいた水産会社さんです。とても緊張していましたが、入社からまだ半年という私の話に代表の方が耳を傾けてくださり、提案の機会をいただけました。そして、デザイン案をいくつか出したところ、気に入っていただけて。うれしかったですね」
現在は商品販売用のパッケージなども任せられるなど、お付き合いが続いているそうです。
提案し、制作したラベルが貼られた
商品を目にすることが大きな喜び!
初受注となったその水産会社ではSNSで、稲山さんが印刷技術スタッフ、デザイナーとディレクションして制作したパッケージの写真をよくアップしてくれているそうです。
「パッケージが映えるように撮影していただき、『デザインがかっこいい!』といったコメントが寄せられているのを見ると、制作した側としてうれしいですね」
印刷技術スタッフ、デザイナーとは、チームを組んで毎年、業界団体の技術コンテストにラベル作品を提出。常に上位に輝いており、そうした評価も、モチベーションにつながっていると稲山さん。
「シールもパッケージも、商品が無事に店頭に並ぶまでは安心できませんが、その一方で、スーパーやデパートで自分が提案したラベルが商品に貼られて販売されているのを目にすると大きな喜びを感じますね」
シールに関するプロフェッショナルを目指しつつ、パッケージなどの知識も深め、より幅広い提案ができるようになりたいと稲山さん。スーパーなどでラベルや表示に見入っている人がいたら、それは稲山さんかもしれません。
シゴトのフカボリ
営業職の一日
8:20
出勤 営業部ミーティング、事務処理
9:00
メールチェック、お客様からの電話への応対
10:00
外回りへ出発。依頼を受けたお客様のほか、担当する企業を訪問
12:00
昼休憩(外出先が中心)
13:00
お客様への訪問、提案など
16:00
帰社。見積書作成をはじめ事務処理、翌日の準備
17:30
退勤
シゴトのフカボリ
拝見!オシゴトの道具
油性ボールペン、会社の手帳、定規
特別なものではありませんが、かすれず書きやすいボールペンと、使い勝手の良い会社の手帳を愛用しています。商品の形状などを図る定規は必須。忘れると仕事になりません。
シゴトのフカボリ
みなさんへ伝えたいこと

私は、社会に出る時点では、これといってやりたいことがなく、紹介をきっかけに今の仕事に就きましたが、やってみると奥深く、とても楽しいんです。心を込めて仕事に向かえば、きっと楽しさを感じられるはずですよ!

株式会社シモクニ

1921(大正10)年、北海道で初めてシール印刷業を興し、2021年に100周年をむかえました。シール・ラベルのほか、各種印刷・特殊印刷を手がけています。

住所
北海道札幌市中央区北6条西15丁目3
TEL
011-631-4865
URL
http://www.shimokuni.jp

お仕事データ

商品やサービスを販売!
営業
営業とは
商品やサービスを販売し、
売上に結びつける大黒柱。

一般に自社の商品やサービスを販売するのが営業の主な仕事。企業向けに販売する法人営業と、個人にセールスする個人営業とに大きく分けられます。とはいえ、商材によってスタイルはさまざま。見込み客を訪問し売り込む新規開拓営業、固定客を中心に訪問し取引するルートセールスなどがあり、扱う金額はもちろん、顧客とのコミュニケーション方法も異なります。また、販売戦略を立てたり、課題を分析したり、時にはお客様先に同行する営業企画を担うことも。営業に共通していえるのは商品やサービスを売上に結びつける、企業にとっての大黒柱!

営業に向いてる人って?
人と接することが好きな聞き上手。

営業というと明るく元気で話し上手な人をイメージしがち。けれど、押しが強く、口が達者なだけでは売上にはなかなか結びつきません。相手を尊重し、じっくりと耳を傾けてニーズを引き出すのが得意なタイプが、トップセールスを叩き出すケースも多いようです。「人と接することが好き」で会話のキャッチボールができることが大切です。

営業になるためには

基本的には特別な資格や学歴は必要ありません。ただし、海外との取引をする上で英語力を持っていた方が有利だったり、不動産会社では「宅地建物取引士」の資格が必要だったり、就職先や業界によって専門性が求められることもあります。営業企画の場合は、市場調査や分析などの知識があると活躍の幅が広がります。

ワンポイントアドバイス
タフな反面、結果への見返りも大!

営業職の特徴としては成果や実績をあげた人に、より多くの給料が与えられる「成果給」を取り入れている企業が多いこと。その場合、ビジネスの最前線で奮闘するタフな仕事の反面、結果を残せば見返りとして大きなインセンティブを手にすることができます。

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