武田 将悟さん
インタビュー公開日:2020.10.14

動物用医薬品の卸販売を通して
ペットの命、健康を守る仕事!
「小動物」と「大動物」という分類が、武田将悟さんが働く業界には、あるそうです。小動物は犬や猫? となると、大動物は象やキリン……ではありません。前者は主にペット、後者は経済活動として飼育され、食生活などを支えてくれる馬、牛、豚などの産業動物を指すのだそうです。ちなみに、この分類では鶏も大動物です。
武田さんの仕事は、動物用医薬品の卸販売。動物の病気の予防、治療、栄養補給などを行う薬やサプリメントを扱っています。
「私が勤務するアグロジャパンでは、小動物を対象とする動物病院から、大動物を飼養している農家さんまで、幅広いクライアントに医薬品を提案し、納品を行っています」
多様な業務のなかで、武田さんは主に小動物を担当。札幌営業部に所属し、札幌市内と苫小牧・千歳エリアの動物病院を回っているそうです。製薬メーカーのMR(医療情報担当者)に近い仕事と言えるかもしれません。家族の一員である大切なペットの命、健康を守る陰の立役者です。
新製品の案内やキャンペーンの告知。
病院ごとの悩みや薬の要望に応える。
「私は現在、約50軒の動物病院を担当し、ルート営業を行っています。当社と医薬品の卸販売で取引実績のある病院の先生を訪ねて、新製品のご案内や、製薬メーカーが毎月行う販売キャンペーンのお知らせをすることが仕事の一つです」
そのほかにも、病院ごとの悩みや要望などを聞き取り、応えていくことも大事な役割なのだと武田さん。たとえば最近、使い慣れたメーカーのワクチンが製造中止になり、他社製品に切り替えざるを得ない先生から、代わりにどのワクチンを使えばいいかアドバイスを求められるケースがあったそうです。
「さまざまな製薬メーカーの薬を扱う卸販売という立場上、特定の製品をお勧めすることはできません。そこで、メーカーの担当者とともに訪問し、製品の特徴について話してもらったり、病院内でセミナーを開催して説明することで、不安の解消に務めます」
薬の開発動向など、業界の最新情報を常に収集することはもちろん、たとえば「マダニによる健康被害が増えている」といった新聞記事にもアンテナを張り、それを受けてマダニ駆除のための薬を先生に提案するといった動きも大切なのだそう。
就活スタートは大学4年の10月!
合同企業説明会で運命の出会いが。
入社4年目を迎える武田さんですが、動物用医薬品の卸販売という、一般にはあまり目に触れることのない仕事についたのは、まったくの偶然だったと振り返ります。
「幼い頃から動物が好きでした。また、漠然とですが医薬品の分野に興味もありました。今の仕事は、その意味でまさに理想型ともいえますが、就職活動の際には具体的なイメージはまったくなかったですね」
そもそも、動物用医薬品を扱う仕事があることも知らなかったという武田さん。合同企業説明会では、業界を問わず幅広く話を聞いてまわりました。アグロジャパンとは、そのなかでたまたま出会ったのだそうです。
「あの説明会に当社が出ていなければ、私も今、ここにはいないと思います。運命の出会いですね(笑)。話を聞いた時に、『ここだ!』とピンとくるものがあったんです。説明してくれた役員の物腰が柔らかく、親しみを感じたことも、この会社に惹かれた理由です」
短大の英文科で学び、同じ大学で編入して認知心理学を修めたという武田さん。新たな必修科目を学び直す必要があったことから、就職活動を開始したのは4年生の10月以降。卒業論文を提出した後でした。
どうすれば心を開いてくれるのか?
苦手な先生と向き合い考えたこと。
自分が担当する動物病院への出荷動向を常に把握し、動きがなければ顔を出して状況を確認。新たな提案もしながら前年以上の売上を目指すことも、営業としては重要です。でも武田さん、最初の頃は、相手によってはうまく提案できないこともあったのだとか。
「誰にでも苦手なタイプの人がいると思います。私は、ちょっと気難しい感じの先生に苦手意識を抱いたことがありました。きちんと話ができないと、提案もできない。でも、何となく話しづらい……悩みましたが、やがて『どう接すれば心を開いてくれるのだろう』と考えている自分がいたんですね」
自分には無理、もうだめだと逃げるのではなく、きっとコミュニケーションを図る手段があるはずだと考える。それには、相手を理解すること。大学で修めた心理学が、役立っているのかも知れません。では、その苦手な先生には、どう接したのでしょう。
「とにかくお忙しい先生だったので、訪問して話すことは二つまで。それを箇条書きにして簡素に伝えることを心がけました。するとやがて、笑顔を見せてくれるようになって。うれしかったですね」
そうやって、先生たちとの距離を縮めていくことが、最も大切な仕事なのだそうです。
仕事は一人でやっているのでない!
苦い失敗の経験を通して実感。
忘れられない苦い思い出もあります。製造の関係から、いつも使っている薬が欠品してしまった時のこと。まだ新人だったこともあって対応がうまくいかず、その動物病院の先生との信頼を失いかけてしまったのだそうです。
「製品がないので、どうしようもなかったのですが、まずかったのは、それを一人で抱え込んでしまったこと。上司や先輩に相談すれば解決の糸口は見つかっていたかもしれません。仕事は一人でやっているのではないことを、この経験から実感として学びました」
一方で、大きなやりがいも感じていると、笑顔を見せる武田さん。
「一番うれしいのは、担当している先生から、薬の相談や悩みごとについて、真っ先に携帯に連絡がもらえる時。認めていただけたようで、自信につながりますね」
アグロジャパンでは、担当者がどれだけ取引先と関係性を深めているかを大切にしており、評価対象にもなっているそうです。
「提案を行う先生をはじめ看護師さんや病院スタッフ全員にしっかり対応し、さらに信頼を深めていくこと。それが、今の目標です」
家には猫がいて、動物病院にもお世話になっているという武田さん。自分の仕事は、回り回ってオーナーのために役立っていると感じられることもやりがいなのだと話しています。
シゴトのフカボリ
動物用医療品営業の一日
7:30
出勤、メール確認・業務遂行表の確認など
8:00
直属の上司とミーティング
8:30
朝礼、提案資料・各種申請資料などの作成
9:30
ルート営業(動物病院への訪問)開始
12:00
昼休憩
13:00
各種資料の作成、電話による訪問アポイント
16:00
動物病院の休憩・手術時間終了後、ルート営業再開
17:45
帰社、日報作成
18:00
退勤
シゴトのフカボリ
拝見!オシゴトの道具
スケジュール手帳
どのタイミングで、どのようなルートで、どこを訪問するか、すべて自分でスケジュールを組み、動きます。アナログですが、すべての予定を手帳に書き込むことで、ひと目で全体が把握できるようにしています。
シゴトのフカボリ
みなさんへ伝えたいこと

どんな仕事でも同じかもしれませんが、動物病院の先生といかに信頼関係を築くかが、私の仕事で最も大切なところ。相手のことを考え、理解して、どうやったらそれに応えられるかを考える。日々、そのことに一生懸命、取り組んでいます。

株式会社アグロジャパン

2013年の創業以来、北日本、東日本を中心に動物用医薬品および関連商品の卸売を手掛けているほか、医療用医薬品や衛生材料なども取り扱っています。

住所
北海道札幌市白石区流通センター6丁目2-15
本社/新潟県新潟市江南区曙町5丁目1番3号
TEL
025-250-6680(本社)
URL
https://www.agrojapan.jp

お仕事データ

商品やサービスを販売!
営業
営業とは
商品やサービスを販売し、
売上に結びつける大黒柱。

一般に自社の商品やサービスを販売するのが営業の主な仕事。企業向けに販売する法人営業と、個人にセールスする個人営業とに大きく分けられます。とはいえ、商材によってスタイルはさまざま。見込み客を訪問し売り込む新規開拓営業、固定客を中心に訪問し取引するルートセールスなどがあり、扱う金額はもちろん、顧客とのコミュニケーション方法も異なります。また、販売戦略を立てたり、課題を分析したり、時にはお客様先に同行する営業企画を担うことも。営業に共通していえるのは商品やサービスを売上に結びつける、企業にとっての大黒柱!

営業に向いてる人って?
人と接することが好きな聞き上手。

営業というと明るく元気で話し上手な人をイメージしがち。けれど、押しが強く、口が達者なだけでは売上にはなかなか結びつきません。相手を尊重し、じっくりと耳を傾けてニーズを引き出すのが得意なタイプが、トップセールスを叩き出すケースも多いようです。「人と接することが好き」で会話のキャッチボールができることが大切です。

営業になるためには

基本的には特別な資格や学歴は必要ありません。ただし、海外との取引をする上で英語力を持っていた方が有利だったり、不動産会社では「宅地建物取引士」の資格が必要だったり、就職先や業界によって専門性が求められることもあります。営業企画の場合は、市場調査や分析などの知識があると活躍の幅が広がります。

ワンポイントアドバイス
タフな反面、結果への見返りも大!

営業職の特徴としては成果や実績をあげた人に、より多くの給料が与えられる「成果給」を取り入れている企業が多いこと。その場合、ビジネスの最前線で奮闘するタフな仕事の反面、結果を残せば見返りとして大きなインセンティブを手にすることができます。

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