川口  寛幸さん
インタビュー公開日:2022.07.25

学ランとセーラー服からブレザーへ。
変化の時代に、学生服メーカーに入社。
「自分が中学生・高校生の時の制服は、多くの学校で男子がスラックス、女子がスカートというのが当たり前でした。それが今、目まぐるしく変化しています。入社して初めて、そのことを知りました」
そう話すのは、北海道菅公学生服の川口寛幸さん。『カンコー』のブランドで、多くの年代に親しまれてきたメーカー・菅公学生服(本社・岡山県)のグループである同社で、営業職を務めています。
「8年前に私が卒業した札幌の中学・高校とも、いつの間にか学ラン(詰襟)とセーラー服からブレザーへと制服が変わっています」
男子、女子ともスラックスが標準で、いずれもスカートも選べる……。そんなスタイルを取り入れた兵庫県の中学校のケースがテレビで紹介されるなど、制服はまさに変化の渦中にあるのだと強調する川口さん。そんな時代に入社し、業務の流れにも慣れてきた2年目です。
制服の採用に向けた提案活動が仕事。
学校の考え方を聞きとるのが第一歩。
川口さんの仕事は、一言で言うと中学校や高校に対してカンコー学生服を採用してもらえるよう、提案すること。札幌市白石区のほか空知・留萌エリアの学校も合わせて約50校を担当しているのだそうです。
「校長先生、教頭先生、生徒指導の先生などを訪ねて制服のトレンドをお伝えし、モデルチェンジをお薦めしたり、現在、採用している制服の課題などをヒアリングしたり。新商品のご案内も大切な仕事ですね」
学校としての制服への考え方をしっかり聞き取ることが営業の第一歩なのだと川口さん。
「逆にブレザーに変えたいといった声があれば、菅公学生服ではこんなサポートができるといった提案・アピールを実施し、採用を検討していただきます」
冒頭の話にもあるように、制服をめぐる状況が大きく変化していくなか、『どんな対応が必要か』といった相談を受けることも増えているそうです。
子どもたちの学校生活を支えたいと
ウェディングプランナーから転職。
川口さんは2020年に北海道菅公学生服に転職しています。前職はウェディングプランナー。大学時代は、YOSAKOIソーランサークルに所属。2年生から卒業まで、まさにのめり込んでいたそうです。演舞を楽しむだけでなく、観客との縁を大切にする。それがサークルのテーマでした。
「お客さんと触れ合うなかで、自分たちの演舞が誰かの思い出になり得るということを実感。その経験から、人生の節目に関わる仕事がしたいと考えるようになりました」
そして、ウエディングプランナーの仕事をしながら、思い出すことがありました。同じく学生時代に4年間、取り組んでいた塾のアルバイト。子どもたちの無垢な笑顔に触れ、必死に向き合っていたころの楽しい思い。また子どもたちのために働いてみたい。
「そんなふうに考えるようになり、頭に浮かんだのが学生服でした。子どもたちの、一生に一度しかない学校生活を支える仕事に魅力を感じ、転職を決意したんです」
学校とのつながりを大切にしながら、
人との縁を広げていける面白み。
とはいえ制服は、一度採用されると頻繁に入れ替わるようなものではありません。
「私の仕事は自社製品の提案・販売ですが、それ以上に学校とのつながりをつくることが大きな役割といってもいいかもしれません」
カンコー学生服が採用されている学校の先生が異動すると、その先生を頼りに新しい学校へと出向き、提案を行う。そんなふうに人との縁を広げていけることが仕事の面白みなのだと川口さん。そうしたなか、学校側から提案を求められることも。プレゼンテーションを行い、制服やジャージの受注を目指します。
「先輩の助けも借りて、ある学校のジャージの受注を獲得できました。通勤時、そのジャージを着た生徒さんを目にした時は、それまで味わったことのない、なんとも言えない喜びを感じました」
毎春、自社製品の販売店で新入学生の採寸を手伝うのも営業職の仕事。「かっこいいジャージだね」保護者と生徒の会話に、ガッツポーズの川口さんです。
学校生活へのワクワクした気持ちを
子どもたちの表情に見る楽しい時間。
春先に、販売店に出向いて行う採寸の際、川口さんは「部活、何をしているの?」「高校(中学)に行ったら何がしたい?」など積極的に話をするようにしているのだとか。
「制服メーカーの営業と生徒さんという距離を縮めたいということもありますし、いろいろ話しかけてくれたなといった記憶が、制服を着た人生の思い出として残るのではないかと。成長を喜ぶ保護者の方々の気持ち、これからの学校生活にワクワクする本人の素直で前向きなようすが伝わってきて、自分もうれしくなるし、いい時間だと感じています」
子どもたちのことを第一に考えながら、販売店の発展にも貢献したいと話す川口さん。年明けから新年度当初にかけては採寸、在庫確認、商品の配送などに明け暮れ、営業活動は小休止。忙しいけれど、素直な子どもたちのちょっと恥ずかしそうな笑顔に出会えるから、楽しみな時期でもあると話します。誰もが思い出す懐かしい制服の日々。川口さんのような人が、それを支えてくれていたのでした。
シゴトのフカボリ
学生服販売営業の一日
8:45
出勤、朝礼
9:00
オーダーなどのメールチェック、学校訪問の準備
10:00
担当する学校(主に札幌)への訪問・提案活動
12:00
昼休憩
16:00
帰社、日報の作成、翌日の活動の確認など
17:45
退勤
※1〜4月は、制服販売の繁忙期。販売店の在庫管理、発注・納品、採寸のサポートなどが中心となります。
シゴトのフカボリ
拝見!オシゴトの道具
メジャー
学生服は、アパレル業界。営業職であっても、採寸を行うメジャーは片時も離せません。販売店では、採寸のサポートを行いながら子どもたちの将来の夢に耳を傾けます。その未来を、一緒に想像するための道具でもあるといえるかもしれません。
シゴトのフカボリ
みなさんへ伝えたいこと

時代が変わり、学校の在り方も変わってきていますが、制服を着る時間は、子どもたちにとって二度と来ない、かけがえのない時間。その大切な日々を支え、一人ひとりの未来を思いながら仕事をしています。

北海道菅公学生服株式会社

菅公学生服(本社・岡山県)のグループ会社として、北海道内で学校制服、学校体育着等の製造販売を手がけています。菅原道真公が「菅公」の由来。

住所
北海道札幌市白石区東札幌2条1丁目5番17号
TEL
011-831-7182
URL
https://hokkaido.kanko-gakuseifuku.co.jp

お仕事データ

商品やサービスを販売!
営業
営業とは
商品やサービスを販売し、
売上に結びつける大黒柱。

一般に自社の商品やサービスを販売するのが営業の主な仕事。企業向けに販売する法人営業と、個人にセールスする個人営業とに大きく分けられます。とはいえ、商材によってスタイルはさまざま。見込み客を訪問し売り込む新規開拓営業、固定客を中心に訪問し取引するルートセールスなどがあり、扱う金額はもちろん、顧客とのコミュニケーション方法も異なります。また、販売戦略を立てたり、課題を分析したり、時にはお客様先に同行する営業企画を担うことも。営業に共通していえるのは商品やサービスを売上に結びつける、企業にとっての大黒柱!

営業に向いてる人って?
人と接することが好きな聞き上手。

営業というと明るく元気で話し上手な人をイメージしがち。けれど、押しが強く、口が達者なだけでは売上にはなかなか結びつきません。相手を尊重し、じっくりと耳を傾けてニーズを引き出すのが得意なタイプが、トップセールスを叩き出すケースも多いようです。「人と接することが好き」で会話のキャッチボールができることが大切です。

営業になるためには

基本的には特別な資格や学歴は必要ありません。ただし、海外との取引をする上で英語力を持っていた方が有利だったり、不動産会社では「宅地建物取引士」の資格が必要だったり、就職先や業界によって専門性が求められることもあります。営業企画の場合は、市場調査や分析などの知識があると活躍の幅が広がります。

ワンポイントアドバイス
タフな反面、結果への見返りも大!

営業職の特徴としては成果や実績をあげた人に、より多くの給料が与えられる「成果給」を取り入れている企業が多いこと。その場合、ビジネスの最前線で奮闘するタフな仕事の反面、結果を残せば見返りとして大きなインセンティブを手にすることができます。

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