渡邊 龍馬さん
インタビュー公開日:2019.06.24

車イス、介護用ベッドなど数々の
「福祉用具」を選定・提案する仕事
高齢となり身体機能が低下した方などが利用するほか、介護する方の負担も減らす車イス、介護用ベッドなどを「福祉用具」と呼びます。それらは、介護保険制度の「要介護度」に応じて、一定の給付を受け、利用することができます。
「福祉用具には、こんなに種類があるんです。車イスだけでも、自分で車輪を動かすものから、介助する方が押すためのコンパクトなタイプまで、さまざまです」
そう言って分厚いカタログを見せてくれたのは、マルベリーの渡邊龍馬さん。歩行器や杖、徘徊感知センサーまで、本当に多様な福祉用具が載っています。マルベリーでは、こうした福祉用具を取り扱うほか、介護・福祉サービス事業の運営も行っています。
「私は、福祉用具専門相談員として福祉道具のレンタルを担当しています。介護に関する様々な商品のなかから、最適なものを選定・提案することが仕事の中心となっています」
「福祉用具専門相談員」とは、福祉用具を貸し出したり販売する際に、選定や使い方についてアドバイスをする専門資格で、渡邊さんも会社の全面サポートで入社前にこの資格を取得したのだそう。
「福祉用具を取り扱う私たちの仕事には欠かせない資格なんです」
ご家族の悩み・要望なども聞きつつ
ニーズを引き出し、アイデアを出す
福祉用具専門相談員として、お客様の相談に乗ったり提案するのが渡邊さんの仕事。とはいっても、福祉用具が必要な方のところへ、いきなりお話をしに行くわけではありません。
介護保険制度に基づいて、必要な支援プランを作成するケアマネジャー(介護支援専門員)。渡邊さんが最初にやり取りを行うのは、ケアマネと呼ばれるこうした方々です。
「住み慣れた家で暮らしていくためのサポートを行っている居宅介護支援事業所を回り、そこに所属しているケアマネジャーさんと日々、お話をして信頼関係を築くのが第一歩。そして、福祉用具を必要とする方がいらっしゃればご紹介いただき、訪問します」
ここで初めて個人宅に出向き、住まいの状況や介護を必要とする方のようすを確認し、ご家族の悩みや要望をお聞きしたうえで福祉用具の選定、導入を進めていくのだそうです。
「介護ベッドは必要ないけれど、立ち上がりが難しいとなれば、ベッド脇に置くタイプの手すりをご提案。移動が難しければ安定した杖、途中の段差にはスロープも必要では、などとアイデアを出しながら提案を行います」
しっかりと話を聞くなかで、連想ゲームのようにニーズが見えてくるのだと言います。
会社説明会で理解した福祉用具の役割
地域の人たちの役に立てる仕事に興味
手に職をつけたいという思いから自動車整備を学ぶ高校へと進学し、国家資格を取得した渡邊さん。自動車業界は、世界を相手にするグローバルな分野。だから、英語を身につければ将来、海外でも活躍できるのはないか。そう考え、大学は英語学科へ進みました。
「でも、大学生活のなかで将来について具体的に考えるうちに、自分は職人的な仕事よりも地域の人たちと関わり、役に立てる仕事がやりたかったんだと気づいて。当初はその究極の仕事ともいえる警察官を目指し、就活準備と同時に公務員試験の勉強に取り組みました」
そんな渡邊さんの思いにぴったりの会社が学内で説明会を開くと、大学の就職担当の先生から教えてもらったのがマルベリーでした。
「企業研究もしたいと考えていたので説明会に参加したのですが、会社の事業や理念が、正に自分の描く『未来』のイメージに近い気がして。その後も説明会に顔を出し、福祉用具の果たす役割などを理解するうちに『やってみたい』という気持ちが強くなり入社を決意したんです」
理系から文系、そして福祉系へ。渡邊さんの就職への道も、まさに連想ゲームのようです。
自分の対応に喜んでいただけた経験
「最善の方法で迅速に」を心に刻む
「福祉用具の提供を通して長く自宅で暮らせるようになれば、医療機関や福祉施設の負担軽減につながります。広く社会の役に立てると感じたことも、入社のきっかけでした」
福祉用具が一つあるだけで転倒による怪我を防げたり、散歩にも出かけられたりします。そうすると、家にこもりがちだった方がいきいきとしはじめ、明るい表情になるそうです。
「笑顔を見せていただけるとうれしいですし、この仕事のやりがいを実感できます」
入社1年目の頃、急いで車イスを借りたいという依頼がありました。使われるのは末期ガンの方。大好きな花見に連れて行きたいというのが理由でした。業務を調整し、その日のうちに車イスを届けた渡邊さん。
「一週間ほどして、その方はご逝去されてしまいましたが、花見も実現し、とびっきりの笑顔で家族写真が撮れたと喜んでいただけたんです。そのできごとがこの仕事で忘れてはならないことを私に教えてくれました」
常に最善の方法を考え、迅速に対応することの大切さ。渡邊さんはそれを心に刻みました。
コミュニケーションを密にしながら
お客さまに合った商品を提供する
介護に関する知識はなかった渡邊さんですが、入社前に仕事を経験できる研修があったお陰でスムーズに入っていけたと話します。
「入社後も、仕事の流れから書類作成まで約3カ月かけて先輩がマンツーマンでじっくり教えてくれます。手厚いフォローを受けて、一つひとつ覚えていくことができました」
介護保険制度は福祉サービスのメニューが幅広いため、新人がすでに扱ったケースでも、先輩はまだ経験する機会がないという内容があります。そんな場合には、後輩が教え役になって説明することも。フラットで風通しの良い環境も会社の魅力なのだと渡邊さん。
「すぐれた福祉用具でも、お客さまに合わなければ意味がありません。その方がちゃんと使えてはじめて、一つの商品として機能する。それが福祉用具の特徴ですし、コミュニケーションを密にしてマッチングしていく技術が、私たちには求められているんです」
自動車業界ではありませんでしたが、それはまさに手に職の世界。渡邊さんの言葉に、プロのプライドが感じられました。
シゴトのフカボリ
福祉用具専門相談員(営業)の一日
8:30
始業 朝礼
8:40
営業車への商品の積み込みなど出発準備
9:30
出発、お客さま宅への納品、商品の選定など(2、3軒)
11:30
居宅支援事業所を訪問。お客さまへの納品報告や、新商品のご案内
12:00
お昼休み
13:00
居宅介護事業所を訪問
14:00
お客さま宅で手すり設置工事のための調査や見積りなどの準備
17:00
帰社 日報の作成や見積書の作成、翌日の動きの確認
18:30
帰宅
シゴトのフカボリ
拝見!オシゴトの道具
コンベックス、下地センサー&レンチ
福祉用具が使えるスペースを確認したり、必要な高さを測ったりするコンベックス(メジャー)、手すりをつけるために間柱の位置などを調べる下地センサー(中央)は、調整のために使う六角レンチは福祉用具の仕事には必須道具です。
シゴトのフカボリ
みなさんへ伝えたいこと

私の仕事は、最適な福祉用具をご提案・ご提供することですが、そのために何よりも大切なのが、思いやりの心。「誰かのために」と考えて取り組む気持ちは、どんな仕事でも必要なことではないかと思います。

株式会社 マルベリー

2007年の創業以来、住み慣れた地域で自分らしい生活を送れるようにするための支援を目指し、福祉用具・住宅改修、介護サービスなどを手がけています。

住所
北海道札幌市中央区北6条西16丁目1番地5 ほくたけビル(本社)
TEL
011-611-2381(本社)
URL
http://www.mulberry-hokkaido.co.jp

お仕事データ

商品やサービスを販売!
営業
営業とは
商品やサービスを販売し、
売上に結びつける大黒柱。

一般に自社の商品やサービスを販売するのが営業の主な仕事。企業向けに販売する法人営業と、個人にセールスする個人営業とに大きく分けられます。とはいえ、商材によってスタイルはさまざま。見込み客を訪問し売り込む新規開拓営業、固定客を中心に訪問し取引するルートセールスなどがあり、扱う金額はもちろん、顧客とのコミュニケーション方法も異なります。また、販売戦略を立てたり、課題を分析したり、時にはお客様先に同行する営業企画を担うことも。営業に共通していえるのは商品やサービスを売上に結びつける、企業にとっての大黒柱!

営業に向いてる人って?
人と接することが好きな聞き上手。

営業というと明るく元気で話し上手な人をイメージしがち。けれど、押しが強く、口が達者なだけでは売上にはなかなか結びつきません。相手を尊重し、じっくりと耳を傾けてニーズを引き出すのが得意なタイプが、トップセールスを叩き出すケースも多いようです。「人と接することが好き」で会話のキャッチボールができることが大切です。

営業になるためには

基本的には特別な資格や学歴は必要ありません。ただし、海外との取引をする上で英語力を持っていた方が有利だったり、不動産会社では「宅地建物取引士」の資格が必要だったり、就職先や業界によって専門性が求められることもあります。営業企画の場合は、市場調査や分析などの知識があると活躍の幅が広がります。

ワンポイントアドバイス
タフな反面、結果への見返りも大!

営業職の特徴としては成果や実績をあげた人に、より多くの給料が与えられる「成果給」を取り入れている企業が多いこと。その場合、ビジネスの最前線で奮闘するタフな仕事の反面、結果を残せば見返りとして大きなインセンティブを手にすることができます。

この仕事の求人例

この仕事のほかのインタビュー。